トビエイ目
トビエイ目(トビエイもく、Myliobatiformes)は、軟骨魚綱板鰓亜綱の下位分類群で、エイのグループのひとつ。10科29属221種を含む。 分類本稿ではNelson (2016) の分類に従った。属名の後の括弧内の数字は種数。 Platyrhinoidei 亜目ウチワザメ科ウチワザメ科 Platyrhinidae は、ウチワザメ Platyrhina sinensis など2属3種を含む。体盤はハート形またはスペード形で、尾部は太く背鰭や尾鰭は顕著である。背や尾部に比較的大きな棘列を備える。
トビエイ亜目Zanobatidae 科Zanobatidae 科は、Zanobatus 属のみでStriped panray Z. schoenleinii など2種を含む。形態はウチワザメ科に類似。系統的にはノコギリエイ目に含まれる。
ウスエイ科ウスエイ科 Plesiobatidaeは、ウスエイ Plesiobatis daviesi 1種で構成される。水深780 m までの深海に生息し、全長2.7 mに達する大型のエイである。
ヒラタエイ科ヒラタエイ科 Urolophidaeは、ヒラタエイ Urolophus aurantiacus など2属29種が属する。尾鰭は顕著である。ウスエイを本科に含める場合もある。
ムツエラエイ科ムツエラエイ科 Hexatrygonidae にただ1種のみ所属するムツエラエイ Hexatrygon bickelli は、6対の鰓裂と5対の鰓弓を持つ特徴的なエイ。ウスエイ属 Plesiobatis およびヒラタエイ属 Urolophus (Trygonoptera 属をシノニムとする)を本科に含める分類もある。
アカエイ科→詳細は「アカエイ科」を参照
トビエイ目最大の科でおよそ90種を有する。尾部は非常に長く、背鰭と尾鰭を欠く。毒棘を備える。一部の種は海水だけでなく淡水にも適応する。 ポタモトリゴン科ポタモトリゴン科 Potamotrygonidaeは、4属26種。アマゾン淡水エイなどとしても知られ、完全な淡水に適応する。体液中の尿素濃度は低く、腎臓のネフロンの構造も他の板鰓類とは大きく異なる。マダラエイ属 Taeniura とオトメエイ属 Himantura の一部の種が本科に含まれる可能性もある。Nelson (1994) の分類では、ポタモトリゴン亜科 Potamotrygoninae としてアカエイ科に含まれていた。
ツバクロエイ科ツバクロエイ科 Gymnuridaeは、ツバクロエイ Gymnura japonica など1属14種。体盤幅が著しく長い。尾部は短く、尾鰭を欠く。毒棘を持つ。 ウロトリゴン科ウロトリゴン科 Urotrygonidaeは、2属17種。北米大陸周辺に生息するAmerican round stingray と呼ばれるエイの仲間。体盤は円形で、背鰭を欠く。尾部は長く尾鰭があり、毒棘を有する。Nelson (1994) の分類では、ヒラタエイ科に含まれていた。 トビエイ科トビエイ科 Myliobatidae (鳶鱏、鳶鱝、鳶鰩、鳶海鷂魚)は、頭蓋の形状により3亜科に分けられ、7属37種が属する。小さな背鰭を持つ。尾部は細長く、尾鰭を欠く。1本ないし複数本の毒棘を持つ。胸鰭の先端は尖り、形状は三角形をしている。トビエイ亜科は4属20種で、頭蓋の全部は真っ直ぐに伸びる。ウシバナトビエイ亜科は1属7種で、頭蓋前部は陥没する。
イトマキエイ科イトマキエイ科 Mobulidaeは頭蓋前端は平たく、2本の角のような頭鰭と呼ばれる特殊な鰭をもつのが特徴。現在はイトマキエイ属のみで一科一属だがかつてはエイ類中最大のオニイトマキエイ Mobula birostris とナンヨウマンタ Mobula alfrediがオニイトマキエイ属含まれていた。 参考文献
脚注関連項目 |