ツィンギ・デ・ベマラ厳正自然保護区
ツィンギ・デ・ベマラ厳正自然保護区(ツィンギ・デ・ベマラげんせいしぜんほごく)あるいはツィンギ・ド・ベマラハ自然保護区(英語: Tsingy de Bemaraha Strict Nature Reserve)[1]は、マダガスカルの西部にある自然保護、景観保護を目的とした保護区。 概要ツィンギィとは、マダガスカル語で「先端」「山頂」「先の尖った」という意味。剃刀のような尖った岩が多数並ぶ、特異な景観が広がっている。この岩山は、石灰岩のカルスト台地が数万年かけて侵食され、形成したものと考えられている。 生態系ツィンギでは降水があっても尖った岩と岩との隙間に吸収されてしまうため、植物は乾燥に強い珍しい種類のものが多数自生している。近くに生えるバオバブも水を蓄えることができるように進化している。 ツィンギの周囲にはサバンナ、森林、湖、マングローブがあり、一帯には独特の動物も数多く生息している。90種類を越える鳥類を始め、ロゼッタヒメカメレオンなどの爬虫類、両生類、セイブアシナガマウスなどの齧歯類やキツネザルなども多数の存在が確認されている[2]。 植物相ツィンギ・ド・ベマラハには固有のトウダイグサ科トウダイグサ属植物がツィンギ上に複数種生育している(Euphorbia bemarahaensis[3]、ユーフォルビア・モラティー (E. moratii)[4]、E. paulianii[5])。このうちユーフォルビア・モラティーは園芸植物としても知られている[6]が、絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約(通称: ワシントン条約、CITES)の附属書Iに掲載されており[7]、商業的な国際取引は一切禁止されている[8]。 歴史
登録基準この世界遺産は世界遺産登録基準のうち、以下の条件を満たし、登録された(以下の基準は世界遺産センター公表の登録基準からの翻訳、引用である)。
2023年の世界遺産拡大登録後は物件名が「アンドレファナの乾燥林群」に改名され、ツィンギ・デ・ベマラ厳正自然保護区以外にマダガスカル島北部のアナラメラナ特別自然保護区、アンカラナ特別自然保護区、アンカラファンツィカ国立公園と同島南部のミケア国立公園、ツィマナンペツォツァ国立公園の5カ所の自然保護区および国立公園を含むようになった。これらの地域にはバオバブ、ホウオウボク属やディディエレア科などの植物、クイナモドキ目、マダガスカルウミワシなどの鳥類、ペリエシファカ、マングースキツネザル、ニシアバヒなどのキツネザル、そしてカメ、サソリなどが見られる[9]。 アクセス公園入口の町ペコバカまでは、マダガスカル西部の町、ムルンダヴァ(Morondava)から車で片道8時間程度。 ツィンギは、大ツィンギ(Grand Tsingy)と小ツィンギ(Petits Tsingy)の2つに分けられ、小ツィンギはペコバカの近くにある。一方、大ツィンギはペコバカより約17kmほど離れており、以前は大ツィンギを観察するためにはトレッキングを必要とした。2005年現在は、車で訪れることも可能。 脚注
関連項目 |