ターキッシュアンゴラ(英: Turkish Angora)は、トルコの山岳地帯における自然発生種の猫の一品種。エレガントな外観と繊細なコートを持ち、敏捷で愛情深い中型の猫。アンゴラはトルコ共和国の首都アンカラの古い呼び名。その毛並みの美しさから、「トルコの生きる国宝」とも呼ばれる。
特徴
- 被毛は繊細で、絹のように光沢があり、非常に柔らかく手触りが良いシングルコート。アンダーコートはない。
- 頭部は緩やかな曲線のV字型。
- 目はつり目がちでアーモンド型。目色は、ブルー、アンバー、グリーンゴールド、グリーン、オッドアイがある。
- 耳は付け根が幅広く、両耳の付け根の間隔は狭く、頭部の高い位置に立った耳の先は尖っていて飾り毛がある。
- 横顔は鼻から目の上までラインと、目の上から頭頂部までのラインから成る。
- ボディはバランスの取れた優美で繊細な骨格に、無駄のないしなやかな筋肉。首は細長く、ボディも細く長いがシャム猫(サイアミーズ)やオリエンタルのようなチューブ状ではなく、胴の中央が卵を細長くした様にオーバル型。胸幅は狭く、前足より後ろ足がやや長く腰高。
- コート(被毛)やボディの完成には3年程を要する。オスはメスより大きく成長する。
- 鳴き声の音色は高い。囁く様な鈴声からカン高い声まで個体により様々。
ターキッシュアンゴラとターキッシュバンは、どちらもトルコを発祥地とするが、気質、外観の特徴ともに大きく異なる。これらの猫種を維持してきたブリーダーらの努力による長年の改良の結果、その差分は著しい進化を遂げた。
アメリカではターキッシュアンゴラ、または略称としてターキッシュ、ターキーと呼ぶ。
歴史
マヌルネコから進化した小型の猫が、タタール人により飼いならされたと推測されている。
純粋な原種は、フランスの歴史には16世紀まで遡って記載があり、1900年代初期、ペルシャ猫の繁殖プログラムに取り入れられ、トルコ国外でターキッシュアンゴラは姿を消した。その後、長毛の猫が単に「アンゴラ」と呼ばれた時代が長く続く。1950年代にトルコのアンカラ動物園で保存飼育されていたターキッシュアンゴラがアメリカ軍人により渡米、1968年にアメリカの愛猫家による血統登録団体CFA(The Cat Fanciers' Association, Inc.,)に登録され繁殖が続き現在に至る。[1]
過去における日本国内の雑誌等に掲載されている間違った説明
日本語ではターキッシュアンゴラについての文献がほとんどなく、過去に出版された雑誌内に次の説明が公開されたものがあるが、原則として他の猫種をターキッシュアンゴラの繁殖には使わない。
「最も古くから存在するネコの一種。トルコで発生し、16世紀にヨーロッパへ、1950年代にアメリカへ持ち込まれた。初期のターキッシュアンゴラは中毛の白いネコであったと伝えられているが、数の減少を受けペルシャとの交配が行われた。結果、頭数を安定させることには成功したものの、ターキッシュアンゴラ独特のスリムな体形が損なわれたため、現代ではシャムなどのフォーリンタイプのネコとの交配によってオリエンタルな雰囲気の漂う本来の体形を取り戻す為の活動が行われている」[2]。
様々な毛の色
当初はホワイトのみがCFAに登録されていたが、現在は多様なカラーとパターン(ラベンダー、チョコレート、ポインテッドを除く)のターキッシュアンゴラが作出され登録されている。
- CFAではシャム猫やオリエンタルとの交雑を示す毛色(ラベンダー、チョコレート)や柄(ポインテッド)の猫は登録できない[1]ことで示される通り、自然派生種であることを尊重し、トルコの猫を元に他の猫種を入れずに繁殖されてきた。シャム猫、オリエンタルを始め、他の猫種を祖先に持つ猫はターキッシュアンゴラとしては承認されない。
- FIFéでもポインテッドパターン、カラーではチョコレート、ライラック、シナモン、フォーンは除外されている[3]。
- WCFも同様にポインテッドパターン、カラーではチョコレート、ライラック、シナモン、フォーンは除外されている[4]。
- TICAでは全てのカラーとパターンを認めている[5]。
性格
自由奔放で陽気、気ままで束縛を嫌う。愛情深く遊び好きで活発。ヒトにすり寄って甘え、肩に乗ることを好む。[要出典]
飼育
非常に繊細な毛質だが、アンダーコートのないシングルコートは、もつれにくく手入れはしやすい。しかし柔らかくもあり、毛玉ができることもある。毎日丁寧にコーミングして抜け毛を取り除く必要がある。[要出典]
エレガントな外見に反して運動能力は高く、敏捷で高いところに登ることを好む。成猫になると落ち着いてくるが、十分に運動できる環境が望ましい。[要出典]
ギャラリー
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高い場所を好む
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ロバート・ケント・ジェームス著『The Angora cat; how to breed train and keep it』(
1898年)
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出典
外部リンク