タクシーに乗った吸血鬼『タクシーに乗った吸血鬼』(タクシーにのったきゅうけつき)は、村上春樹の短編小説。 概要
1991年1月刊行の『村上春樹全作品 1979〜1989』第5巻(講談社)に収録される際、大幅に加筆修正がなされた。 あらすじ「僕」は渋滞した道路上でタクシーの車内にとじこめられていた。何か楽しいことを考えようとしたが、禁煙の三日めときているので何ひとつ思いつけない。仕方ないから「僕」はずっと女の子の洋服を脱がせる順序を考えていた。 「ねえお客さん」と突然運転手が言った。「吸血鬼って本当にいると思います?」 わからないと答えると、運転手は「わからないじゃこまるので、信じるか信じないか、どちらかにして下さい」と迫った。そして「信念というのはもっと崇高なもんです。山があると思えば山がある、山がないと思えば山はない」とドノヴァンの古い唄[1]みたいなことを言った。 話はそれから進み、運転手は吸血鬼の存在を実証できると言った。 だって私が吸血鬼だから。 いつから吸血鬼なのかと尋ねると、ミュンヘン・オリンピックの年からだという。 「時よ止まれ。君は美しい」[2]と「僕」は言った。 脚注
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