ゼイ・アー・ゼア!ゼイ・アー・ゼア! (英語: They are there!) は、チャールズ・アイヴズが作曲した歌曲。「人民の新しい自由な世界のために戦う」の副題がついている [1]。 概要『ゼイ・アー・ゼア!』は1917年に作曲された愛国歌で、1942年に改題・改訂された[1]。 生涯にアイヴズは歌曲を200曲近く書いているが、そのほとんどすべてが知られていないと言ってよい。その中でこの曲だけは多少は知られており例外的な存在である。 その理由はクロノス・カルテットがジョージ・クラムの弦楽四重奏曲『ブラック・エンジェルズ』を収録したアルバム内 (1990年発売) で録音したことにある。このCDの中で、生前のアイヴズが個人的にテープに記録した『ゼイ・アー・ゼア!』の自作自演の録音にクロノス・カルテットが同時演奏したものが収録されている。 作曲の経緯アメリカ合衆国が1917年4月になってドイツに宣戦布告し第1次世界大戦に参戦すると、アイヴズは大量の愛国歌を作曲するようになった[1]。『ゼイ・アー・ゼア!』もその中の1曲である[1]。 最初に書かれた時のタイトルは『ヒー・イズ・ゼアー!』(英語: He is there!) で1917年に作曲されたが、1942年になって第2次世界大戦用の愛国歌としてアイヴズ自身が改作した際に『ゼイ・アー・ゼア!』に改められた[1]。その際に歌詞も一部変更されている。 初版に相当する『ヒー・イズ・ゼアー!』の方は、私家版である『114の歌』の50番として収録されており、1917年5月30日の日付が印刷されている [2]。ピアノ伴奏や歌の旋律は基本的に『ゼイ・アー・ゼア!』と変わらないが、出だしの歌詞はかなり異なっている[2]。また、サビの部分はユニゾンの合唱が指定されていて、各節最後の近くでは合唱がフォルテ・フォルティシモ (fff) で絶叫する[2]。 『114の歌』では、49番『フランダースの野戦場で』(英語: In Flanders Fields)、51番『トムは沖に漕ぎ出す』(英語: Tom Sails Away) と共に、『3つの戦争歌』と書かれている[2][注 1]。 曲の構成2節からなる有節歌曲。4分の4拍子の行進曲調の歌曲である[1]。 声楽・伴奏パートには『自由の喊声』『星条旗』や起床ラッパなど、12個を越える数の愛国歌が引用されている[1]。 演奏時間は約3分。 編成伴奏はピアノの他に、アド・リビトゥムでヴァイオリン (またはフルート) がついている。 変則的な2管編成のオーケストラとユニゾンの合唱による『ゼイ・アー・ゼア!』が、ニューヨークのPeer International corporationから1961年に出版されている。 歌詞作曲者自身の手による[1]。 三国同盟は愚かで利己的なグループで、独裁者によって統治されていると断じる一方、人民の自由や権利、ヒューマニティーを守ることを理由に、今や戦う時が来たのだとアメリカの兵士たちを鼓舞し、戦争は正しい行いだと讃える内容の歌詞である。 録音
脚注注
出典参考文献
外部リンク |