『スクール・オブ・ロック』(School of Rock)は、2003年の同名映画『スクール・オブ・ロック』を原作にしたアンドルー・ロイド・ウェバーの作曲、グレン・スレイターの作詞、ジュリアン・フェロウズの脚本によるロック・ミュージカル。失業中のロック歌手でギタリストのデューイ・フィンが名門のプレパラトリー・スクールにて5年生の臨時教師になりすます。生徒たちの音楽の才能に気付きバンドを結成し、コンテスト優勝を目指す。
バンド「ノー・ヴェイカンシー」の演奏が行なわれる。ギタリストのデューイ・フィンは何度もリード・ヴォーカルより目立とうとする("I'm Too Hot for You”)。デューイの悪ふざけはバンド・メンバーの怒りを買い、解雇される。翌朝、長年の友人であるネッド・シュニーブリーとその気の強い恋人パティ・ディ・マルコと共に暮らす自室で目覚める。パティがデューイに家賃を取り立てる後ろでネッドは身を隠す。2人がいなくなると、デューイはスターになるため続けてきたバンドもレコード店の職もなくなり、1日をやり過ごす("When I Climb to the Top of Mount Rock")。デューイは名門ホレス・グリーン学院の校長ロザリー・マリンズから電話を受ける。ロザリーはネッドに週900ドルで臨時教師を募集していると伝えようとする。家賃をまかなえると考えたデューイはネッドになりすまして臨時教師の職を受ける。
ホレス・グリーンにて、ロザリーは生徒を送りに来る親たちに挨拶しつつ、全ての物事が無事に済むよう細心の注意を払う("Horace Green Alma Mater")。二日酔いで準備不足のまま遅刻してデューイが到着し、校長は「ネッド」に学院の校風を乱さぬよう警告する("Here at Horace Green")。教室に入り、「シュニーブリー先生」として自己紹介をする。全13名の生徒たちはデューイをいぶかしく思う。生徒の1人である神経質なサマー・ハサウェイがクラスの状況について説明し、デューイはそのお堅いシステムにうんざりする。二日酔いもおさまらず、デューイは生徒たちが騒ぐのも放置し寝て過ごす。
アパートにて、パティはネッドをジョギングに誘うが仕事が残っているとして断られ、1人で出掛ける。その直後、ネッドはこっそり音楽ゲーム「ギター・ヒーロー」をプレイし始める。デューイが帰宅してゲームに参加し、仕事や以前所属していたバンドのことなど様々な話をする("Variation 7”)。ゲームが終わるとデューイはネッドにスターになる夢を思い出させ、また共に音楽を再開するよう誘う("Children of Rock”)。パティが帰宅し、男たちの夢のセッションは終わる。パティはデューイにロックで成功などする訳もないのに夢ばかり見ていると説教し、30日以内に家賃を払わないと追い出すと最後通告する("When I Climb to the Top Of Mount Rock (Reprise)")。
翌日学校にて、デューイはほかの教師と議論していると、教室から音楽が聞こえてくる。デューイの生徒たちがロザリーの音楽の授業を受けており("Queen of the Night")、デューイは驚いて何の楽器を演奏しているのか尋ねる。デューイはコンテスト「バトル・オブ・ザ・バンド」に参加しようと生徒たちに語る。デューイはザックにエレキギター、ケイティにベース、ローレンスにキーボード、フレディにドラムを担当させる。ショネルとマーシーにバックコーラス、マディソンとソフィにローディーを任せる。さらにメイソンを照明、ジェイムズを警備、ビリーにスタイリストをさせる。何も与えられなかったサマーは怒り、デューイが提案したグルーピーを拒絶し、マネージャーを引き受ける。シャイな転入生トミカのみが残る("You're in the Band")。デューイは著名な音楽のCDを生徒たちに手渡し、聴くことを宿題とする("You're in the Band (Reprise)”)。
生徒たちは帰宅し、フレディは父親にデューイから渡されたCDの話をするが、フレディには音楽の才能もない、学院の落ちこぼれだと語る。ビリーはフットボール好きの父親の手前、『スポーツ・イラストレイテッド』に見せかけた『ヴォーグ』誌を読む。トミカは父親2人に学院で友人もできず馴染めないと語るが、学院を愛する両親は受け入れない。ザックは父親に学校であったできごとを話そうとするが、父親は仕事の電話を続けザックを遠ざける。イライラするザック、トミカ、ビリー、フレディら生徒たちには自分たちの話を聞かない両親や世間に言いたいことを胸に秘める("If Only You Would Listen")。ショネルとマーシーはバンドに「スクール・オブ・ロック」と名付ける。デューイはこれを気に入り、イメージから思い浮かんだ曲を完成させる("In the End of Time (A Cappella Version)")。
職員室にて、ほかの教師たちはデューイの生徒たちがいうことを聞かないと口々に文句を言うが、デューイの教育方針には良い面もあると語る("Faculty Quadrille")。教室では、生徒たちはデューイが作曲した曲の練習を続ける("In the End of Time (Practice Version)")。練習後、デューイは生徒たちを褒める。ザックは緊張気味の堅苦しい演奏をしていたため、デューイは真のロックのためにザックには「誰か」に対する怒りが必要だと語る。世界の悪の全てはその「誰か」の責任であるとし、デューイと生徒たちは怒りにまかせて反抗心を叫ぶ("Stick it to the Man")。デューイと生徒たちはバトル・オブ・ザ・バンドのオーディションに参加するため学院を抜け出す。オーディションに遅刻したため一同は諦めて引き返そうとするが、マネージャーのサマーは病気で遅刻したと仮病を使い、無事オーディションに参加する("In the End of Time (The Audition)")。オーディションに合格し、皆喜ぶ("Stick it to the Man (Reprise)")。
第2幕
本番36時間前、デューイの職員会議の間、生徒たちは練習に励む。ビリーはいまだ衣裳はまだ完成していないとして見せるのを渋るが、サマーに強制される。嫌がるローレンスをモデルに衣裳を披露するが、生徒たちはその衣裳が気に入らない。ビリーは戸惑うが、落胆する間もなく最初からやり直す("Time to Play")。保護者懇談会に向け緊張感漂わせる職員会議にて、デューイはロザリーが隠れロッカーでスティーヴィー・ニックスの大ファンであることに気付く。デューイは驚きパニックで歌えなくなり、ヴォーカルの代役を誰にするか考え始める。トミカは勇気を振り絞り、歌いたいとデューイに訴える。デューイがバックコーラスを割り振る時になぜ立候補しなかったのかと尋ねると、トミカはリード・ヴォーカルが良かったからだと語る。最初こそ緊張していたトミカだが、皆が見ていない振りをするとその歌唱力は皆を魅了する("Amazing Grace")。
ロザリーが近付いてくるのに気付き、感謝祭の飾り付けで急いで楽器を隠し、デューイは授業をしている振りをする。ロザリーに不信に思われ、デューイはほかの教師たちはコカインを使っているなどとごまかそうとするが、結局、つまらない題材に興味を持たせるために音楽を使用していると語る。つまらない訳はないと議論になるが、ロザリーはデューイの授業を見てみることにする。焦ったデューイはギターを取り出し、即興で数学の歌を歌う("Math Is a Wonderful Thing")。ロザリーはこれに感心しなかったが、デューイはロザリーを飲みに誘う。バーにて酔ってきた頃、デューイがジュークボックスでスティーヴィー・ニックスの曲を流すと、ロザリーは気を緩してロック魂を失ってきていることを嘆く。デューイはロザリーのロック魂を思い出させると語り、ロザリーは翌日の保護者懇談会がうまくいったらデューイと「スクール・オブ・ロック」がバトル・オブ・ザ・バンドに参加する手助けをすると約束する("Where Did the Rock Go?")。デューイは思わずロザリーにキスをして別れる。
デューイが家に着くとネッドはパティとメールしている。デューイの給料の小切手がネッド宛に届き、デューイはネッドになりすましていることを明かす。ネッドはパニック発作を起こすが、デューイはネッドをなんとか落ち着かせパティには秘密だと約束させる。翌日、生徒たちがリハーサルをしていると、ザックは自分たちのバンドのための曲を作曲してきたと明かし、デューイはザックの才能に驚く。ザックは生徒たちに曲を伝授する("School of Rock (Band Practice)")。練習の途中、ロザリーが無意識に保護者たちを教室に連れてきてしまい、保護者たちはその光景に驚く。デューイは保護者たちに生徒たちの才能を認め温かい目で見守ってほしいと説得する。するとパティとネッドが突入し、ネッドから聞き出したパティが、皆の前でデューイの正体を明かして保護者たちを憤慨させる。混乱に乗じてデューイと生徒たちはその場を抜け出しバトル・オブ・ザ・バンドの会場に向かう("Dewey's Confession")。
ロザリーは落ち着かない様子で会場をうろうろし、メイソンを見つけてデューイは生徒たちが考えているような人ではないと語る。メイソンはたとえ名前が違っていたとしても彼は見習うべき人物であると応える。感動したロザリーは生徒たちのために保護者たちを引き留める。生徒たちは、夢を諦めかけていたデューイに夢を思い出させ、トミカを中心として生徒たちはいかにデューイが必要な存在であるかを語る("If Only You Would Listen (Reprise)")。パティは生徒たちを阻止しようとするが、ネッドはついにパティに反対し、バトル・オブ・ザ・バンドへ同行する。ノー・ヴェイカンシー演奏直後に生徒たちは到着する("I'm Too Hot For You (Reprise)")。デューイはザック作曲の曲の演奏をすることに決め、ビリーの新しい衣裳を採用する。保護者たちが到着するが、警備員たちに楽屋入りを阻まれる。一同が舞台に向かうと、ザックの父は「くだらない、ばかばかしい」と罵る。我慢の限界となったザックは、このバンドはとても意味のある活動だと反抗し、演奏を始める。
ザックが作曲した曲を演奏し、観客は盛り上がる。保護者たちは空いていたボックス席から演奏を聴き、徐々にその演奏の良さを理解し、自分の子供たちがいかに素晴らしいかに気付く。各楽器ごとにソロがあり、トミカもデューイと共にリード・ヴォーカルを務める。ザックの父は態度を硬化させたままであったが、サマーの母にたしなめられる("School of Rock (Teacher's Pet)")。演奏後、ロザリーと保護者たち、そしてヘビーメタルな服装となったネッドは生徒たちを称賛する。デューイは保護者と生徒たちを見ながら何か価値のあることを成し遂げた気がする。優勝者はノー・ヴェイカンシーと発表されるが、デューイは順位は問題ではなく、特別なことを成し遂げたことが重要であると語る。パティが警官を連れてやってきて、デューイを詐欺により逮捕しようとするが、ロザリーは警官にフィン先生は学院の公式バンド・コーチだと紹介し事なきを得る。観衆の要望に応え、生徒たちはアンコールを演奏する("Stick It to the Man (Encore)")。演奏後、デューイとロザリーは再度キスし、ロザリーはクラシックとヘビーロックの歌唱法をミックスして歌い、デューイと生徒たちのおかげによりカリキュラムおよび学院を変えていこうと宣言する("Finale.")[23][24]。
オリジナル・ロンドン・キャストとしてデイヴィッド・フィンがデューイ役、フローレンス・アンドリュースがロザリー役、オリヴァー・ジャクソンがネッド役、プリーヤ・カリダスがパティ役、ゲイリー・トレイナーがデューイ役代役に配役された。2017年5月15日にデューイ役のフィンが降板し、週5公演を代役であったトレイナーが本役として演じ、週3公演を新たに配役されたスティーブン・リースクが演じ、ジョエル・モンタギューが代役となった。2017年11月13日、大部分の大人役オリジナル・キャストの最終公演となった。11月15日、新たな大人役キャストの初回公演となった。新たなキャストとしてアラン・ピアソンがネッド役、リースクがデューイ役、代役であったミシェル・フランシスがパティ役に配役された。アンドリュースがロザリー役を続行し、クレイグ・ギャリヴァンがデューイ役代役となった。新キャストに伴い脚本および音楽が見直された。第1幕の楽曲『Children of Rock』が削除され、『Here at Horace Green』が引き延ばされ台詞が追加された。
2015年9月14日、12月6日のブロードウェイ公演開幕前にキャスト・アルバムがレコーディングされることが発表された[50]。ボーナス・トラック3曲、プレビュー公演でカットされた『"Give Up Your Dreams" 』を含む20曲が収録された[51]。2015年12月4日、ワーナー・ブラザース・レコードにより配給された[52][53]。
^“Andrew Lloyd Webber: ‘I’m back – and I want another hit’”. The Stage (Aug 2, 2015). 10 August 2015閲覧。 “There’s also a pragmatic reason for premiering School of Rock on Broadway, and that’s because schools of rock actually exist in the US – and they produce the sort of kids required who can actually perform in the show. "If it ever goes to London, it’s going to be a lot harder to cast. There’s a very different culture with the kids here [in the US], where they can go to these schools to learn to play the guitar or whatever at the age of nine or 10. And what’s amazing is that they’re playing British rock from my time when Superstar was being recorded next door to Led Zeppelin at the Olympic studio. Whereas nowadays in Britain the kids are sitting at home with their computers and generating songs that way.”
^“An Exciting Announcement!”. SchoolofRock.com. 20 January 2015閲覧。 “We, here at School of Rock, are so proud and excited to announce that we are now partnered with School of Rock the Musical. Andrew Lloyd Webber and his team have expressed an enthusiastic interest in having School of Rock kids audition for roles in the show!”
^“Audition for a Role in School of Rock”. 12 January 2015時点のオリジナルよりアーカイブ。20 January 2015閲覧。 “We are holding band tryouts for rock stars ages 9-15, male and female, who are great singers and actors. We're also looking for talented kids who play drums, bass guitar, guitar, and piano/keyboard. Show us your kid's chops and he or she could be on Broadway!”