ジゾシルピン
ジゾシルピン(英語: Dizocilpine)は、MK-801としても知られる、水溶性の非競合的NMDA受容体アンタゴニストである。研究用試薬としてマレイン酸塩が市販されている。習慣性が示唆されているが、精神作用物質としての法規制はされていない。 薬理
統合失調症モデル精神障害モデル動物を作成するために使用される[4]。ジゾシルピンは齧歯類において、過活動・ステレオタイプ行動・抑うつ状態・認知障害・陽性症状・陰性症状を誘発し、統合失調症の完全なスペクトルを有する可能性のある精神病様行動をもたらす[5]。統合失調症の陽性症状を模倣するドーパミン受容体アゴニストとは異なり、ジゾシルピンは陽性症状と陰性症状の両方を模倣する[6]。動物研究において、ジゾシルピンの急性投与は精神病を模倣し、慢性投与は統合失調症と同様の神経病理学的な変化をもたらす[7]。 オルニーの病変ジゾシルピンは1989年に en:John Olney によって他のNMDA受容体アンタゴニストと共に発見された。ジゾシルピンは後部帯状回・脳梁膨大後部皮質で神経細胞の空胞化による高次脳機能障害に繋がる。この部位の神経細胞死はアストロサイトやミクログリアなどのグリア細胞の反応を伴っていた。 →「オルニーの病変」も参照
娯楽用途ジゾシルピンはレクリエーションドラッグとして0.05〜0.1mgの範囲で有効とされる。他の類似薬物と比較し正確な用量を把握することが困難で過剰投与による強力な幻聴に繋がることからユーザーに好まれていない。フェンサイクリジン(PCP)やケタミンなどの類似薬物よりも非常に長期間に渡って異常思考や健忘などの強い後遺症を残すため娯楽用途には向いていない。いくつかの動物研究ではジゾシルピンの習慣性が見出された。 医療用途細胞外の過剰な興奮毒性がグルタミン酸受容体を刺激し神経細胞に害を与える。ジゾシルピンを含むNMDA受容体アンタゴニストは、興奮毒性を有する広範囲な疾患の治療に研究されている。脳卒中・外傷性脳損傷・神経変性疾患(パーキンソン病・ハンチントン病・アルツハイマー病・筋萎縮性側索硬化症)など。 神経保護スナネズミにおける虚血性の海馬神経変性に対する神経保護EC50は0.3mg/kgであり、多くの動物は3mg/kg以下で神経保護するといわれる。
神経毒性→「オルニーの病変」も参照
脚注・出典
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