シヴェ

Civet de Marcassin

フランスの食文化において、シヴェ(civet, 発音はスィヴェの方が近い)は、スィヴ(cive, いわゆるタマネギ)又はその他の可食鱗茎を使って調理したラグー煮込み)料理の一種である。赤ワインで煮込んだソース動物の血を混ぜるが、この料理の歴史上、常にそのように調理したというわけではない[1]

語源

civet  の語源がオック語にあるのかフランス語にあるのかは、わかっていない[2]civetcivecivette からとられた言葉で、すなわち、「タマネギ、ニンニク又はシブレット[3]を使って調理した料理」を意味していたようである[4]cive という言葉自体はラテン語の caepatum(タマネギを意味する caepa )から来ている。

シヴェの歴史

中世においては、シヴェにノウサギが使われることがほとんどなかった。同様に、血がソースの中に現れるのも遅れた。これは、中世的な象徴体系が理由である。中世的な象徴体系においては、血をソースに混ぜることに心理的な抵抗があった。ソースに血を混ぜて得られるブイヨンが、数あるシヴェのうちで、結果的にこんにち、よく食べられるシヴェの基礎となってはいる。しかしながら、この調理法が定着するのは20世紀の初め頃になってからのことである[5]

調理方法

一般に、シヴェはジビエを食材として調理される。アナウサギノウサギが普通だが、イノシシも材料になることがある。カタルーニャアラン谷でシヴェと言えば、イノシシのシヴェを指す[6]。いわゆる「フランス風」シヴェは、由緒正しくはノウサギを使う。しかし、牛肉豚肉を用いてもよい。マダガスカルレユニオンではテンレックタコを使うことがある。ピレネー=オリアンタル県ではイセエビを使うこともある[6][2]

カタルーニャ南部において、シヴェはセキショクヤケイ(赤色野鶏, le coq sauvage, Gallus gallus)を使って調理したものが何と言っても一番である[6]。次点がキジ(雉子)のシヴェである[6]。カタルーニャでは、フランス北部と異なり、家禽甲殻類に加えるワインの種類がたいてい、白ワインである[2][6]。また、シヴェの仕上げにあたって血を混ぜる直前にピカダというガーリックサフランで作るソースも加える点で、フランス北部の典型的なシヴェと大きく違う[6]

シヴェの一覧

  • Civet de lapin
  • Civet de lièvre[2]
  • Civet de sanglier[6]
  • Civet de langouste[6][2]
  • Civet de chevreuil
  • Civet de cerf

脚注

  1. ^ Définition du civet[リンク切れ]
  2. ^ a b c d e Dalícies: a taula amb Salvador Dalí , pàg. 272.
  3. ^ Allium schoenoprasum. セイヨウアサツキ。エゾネギとも。英語では chive 。
  4. ^ Définitions lexicographiques et étymologiques de « Civet » du Trésor de la langue française informatisé, sur le site du Centre national de ressources textuelles et lexicales(フランス国立文献・語彙辞書センター)
  5. ^ Rambourg, Patrick (2003). Le civet de lièvre. Un gibier, une histoire, un plat mythique (2nd ed.). Paris: Jean-Paul Rocher Éditeur. ISBN 978-2-911361-31-9 
  6. ^ a b c d e f g h La cuina tradicional catalana, pàg. 283.