シェイボンテ・エイシャン・ギルジャス=アレクサンダー(Shaivonte Aician Gilgeous-Alexander, 1998年7月12日 - )は、カナダのオンタリオ州トロント出身のプロバスケットボール選手。NBAのオクラホマシティ・サンダーに所属している。ポジションはポイントガードまたはシューティングガード。愛称は名前の頭文字を合わせた「SGA」。
経歴
カレッジ
トーマス・モア・カトリック・セカンダリースクールからサー・アラン・マクナブ・セカンダリースクールに転校した後、バスケットボールのスキルアップのためにハミルトンハイツ・クリスチャン・アカデミー(テネシー州チャタヌーガにある)に中学・高校時代に編入し、2017年に卒業している。 卒業後はケンタッキー大学にてジョン・カリパリのもとで1年間プレーし、2018年のNBAドラフトにアーリーエントリーした。ケビン・ノックスやハミドゥ・ディアロは大学時代のチームメイトにあたる。
ロサンゼルス・クリッパーズ
2018年のNBAドラフト全体11位でシャーロット・ホーネッツから指名を受け、直後にロサンゼルス・クリッパーズが全体12位で指名したマイルズ・ブリッジズのとのトレードで交渉権がクリッパーズへ移り、その後クリッパーズと契約した。
1年目からレギュラーシーズン全試合に出場。スターターとして定着すると、平均26.5分のプレイで10.8得点、2.8リバウンド、3.3アシスト、1.2スティールを記録しオールルーキー2ndチームに選出された。プレーオフでも全試合で先発出場し、ルーキーながら2連覇中であったゴールデンステート・ウォリアーズ相手に結果を残した。
オクラホマシティ・サンダー
2019年7月10日にポール・ジョージとのトレードで、ダニーロ・ガリナリと複数のドラフト指名権と共にオクラホマシティ・サンダーに移籍した[2]。移籍後は同時期にトレードで加入したクリス・ポールに師事して才能が開花。2020年1月13日のミネソタ・ティンバーウルブズ戦にてキャリア初のトリプル・ダブルとなる、20得点、キャリアハイの20リバウンド、10アシストを記録しチームは117-104で勝利した。サンダーの選手が20–20–10を記録するのはウェストブルック以来の記録となった[3][4]。下馬評の低かったサンダーのウェスタン・カンファレンス上位進出に大きく貢献した。
2020-21シーズンは故障により35試合の出場に留まったが、自身初となる平均20得点超えを記録した。オフの2021年8月6日にサンダーと5年総額1億7200万ドルのマックス契約を結び契約延長した[5]。
2022-23シーズン開幕後の第2週に3試合で平均31.7得点、5.3リバウンド、7.7アシストを記録し、週間最優秀選手に選出された[6]。2022年11月16日のワシントン・ウィザーズ戦で決勝点となる3ポイントシュートを含むキャリアハイの42得点を記録し、121-120で勝利した[7]。12月19日のポートランド・トレイルブレイザーズ戦では第4Qに決勝点となるブザービーターを成功させるなど35得点を記録し、123-121で勝利した[8]。同月23日のニューオーリンズ・ペリカンズでキャリアハイを更新する44得点を記録したが、試合はオーバータイムの末に126-128で敗れた[9]。活躍が評価され、2023年2月2日に初のNBAオールスターゲームに選出された[10]。同月10日のブレイザーズ戦では19本放ったシュートのうち18本を成功させ、44得点を記録。試合は138-129で勝利した。サンダーの選手が1試合でフィールドゴール成功率80%以上、40得点以上を同時に記録したのは史上初であった[11]。シーズンでは68試合に出場して平均31.4得点、4.8アシスト、5.5アシストを記録。サンダーの選手ではケビン・デュラント、ラッセル・ウェストブルックに次ぎ史上3人目となるシーズン平均30得点以上を達成した[12]。また、ガードの選手ではマイケル・ジョーダンに次いでNBA史上2人目となる平均30得点以上・4リバウンド以上・4アシスト以上・1スティール以上・1ブロック以上・フィールドゴール成功率50%以上を同時に達成した選手となり、ジョーダンを抜いてNBA史上最年少でフィールドゴール成功率50%以上、平均30得点以上を記録した選手となった[13]。シーズン終了後のMVP投票では5位にランクインし、初のオールNBAファーストチームに選出された[14]。
2023-24シーズン、2023年11月14日のサンアントニオ・スパーズ戦で28得点、キャリアハイとなる7スティールを記録し、試合は123-87で勝利。5試合連続で25得点以上、フィールドゴール成功率55%以上を記録した[15]。12月16日のデンバー・ナゲッツ戦では決勝点となるジャンプシュートを含む25得点を記録し、118-117で勝利した[16]。2024年1月25日、2年連続となるオールスターゲームに選出され、初のスターターを務めることになった[17]。3月12日のインディアナ・ペイサーズ戦で30得点、10リバウンド、5アシストを記録したが、試合は111-121で敗れた。この試合で、30得点以上を記録した試合がシーズン48回目となり、ケビン・デュラントを抜きサンダーの球団記録を更新した[18]。シーズンでは75試合に出場して平均30.1得点、5.5リバウンド、6.2アシストを記録。MVP投票では2位となり、2年連続でオールNBAファーストチームに選出された。また、チームは57勝を記録し、2013年以来となる第1シードでのプレーオフ出場を果たした[19]。プレーオフでは1回戦でペリカンズに4勝0敗で勝利。ダラス・マーベリックスとのカンファレンスセミファイルでは2勝3敗と追い込まれた第6戦で36得点、8アシスト、2ブロック、ターンオーバーなしと奮闘したが、試合は116-117で惜しくも敗れ、シリーズ敗退となった[20]。
代表歴
2023年のFIBAワールドカップにカナダ代表で出場した。同大会ではエースとして活躍し、決勝トーナメントに進出。2024年のパリオリンピックへの出場を確定させた。また、3位決定戦でアメリカ合衆国に勝利し、カナダ代表は1936年のベルリンオリンピック以来となる国際大会でのメダル獲得となった[21]。活躍が評価され、ワールドカップのオールトーナメントチームに選出された[22]。ワールドカップとNBAでの活躍が評価され、同年のカナダにおける最優秀スポーツ選手に贈られるノーザンスター賞を受賞した[23]。
2024年のパリオリンピックにカナダ代表で出場。予選リーグを無敗で突破したが、決勝トーナメント初戦でフランスに敗れた[24]。大会平均で21得点・4.3リバウンド・4アシストを記録し、オールトーナメントセカンドチームに選出された[25]。
家族
母親のチャーミン・ギルジャスは1992年バルセロナオリンピックでアンティグア・バーブーダ代表として出場した元トラックスターである。
ミネソタ・ティンバーウルブズに所属するニキール・アレクサンダー=ウォーカーは従兄弟にあたる。
個人成績
NBA
レギュラーシーズン
シーズン
|
チーム
|
GP
|
GS
|
MPG
|
FG%
|
3P%
|
FT%
|
RPG
|
APG
|
SPG
|
BPG
|
PPG
|
2018–19
|
LAC
|
82 |
73 |
26.5 |
.476 |
.367 |
.800 |
2.8 |
3.3 |
1.2 |
.5 |
10.8
|
2019–20
|
OKC
|
70 |
70 |
34.7 |
.471 |
.347 |
.807 |
5.9 |
3.3 |
1.1 |
.7 |
19.0
|
2020–21
|
35 |
35 |
33.7 |
.508 |
.418 |
.808 |
4.7 |
5.9 |
.8 |
.7 |
23.7
|
2021–22
|
56 |
56 |
34.7 |
.453 |
.300 |
.810 |
5.0 |
5.9 |
1.3 |
.8 |
24.5
|
2022–23
|
68 |
68 |
35.5 |
.510 |
.345 |
.905 |
4.8 |
5.5 |
1.6 |
1.0 |
31.4
|
2023–24
|
75 |
75 |
34.0 |
.535 |
.353 |
.874 |
5.5 |
6.2 |
2.0 |
.9 |
30.1
|
通算
|
386 |
377 |
32.9 |
.496 |
.349 |
.852 |
4.7 |
4.9 |
1.4 |
.8 |
22.8
|
オールスター
|
2 |
1 |
18.8 |
.762 |
.727 |
--- |
3.0 |
6.5 |
.5 |
.0 |
20.0
|
プレーオフ
シーズン
|
チーム
|
GP
|
GS
|
MPG
|
FG%
|
3P%
|
FT%
|
RPG
|
APG
|
SPG
|
BPG
|
PPG
|
2019
|
LAC
|
6 |
6 |
28.8 |
.467 |
.500 |
.850 |
2.7 |
3.2 |
1.0 |
.8 |
13.7
|
2020
|
OKC
|
7 |
7 |
39.9 |
.433 |
.400 |
.957 |
5.3 |
4.1 |
1.0 |
.4 |
16.3
|
2024
|
10 |
10 |
39.9 |
.496 |
.432 |
.790 |
7.2 |
6.4 |
1.3 |
1.7 |
30.2
|
通算
|
23 |
23 |
37.0 |
.476 |
.433 |
.831 |
5.4 |
4.9 |
1.1 |
1.1 |
21.7
|
カレッジ
シーズン
|
チーム
|
GP
|
GS
|
MPG
|
FG%
|
3P%
|
FT%
|
RPG
|
APG
|
SPG
|
BPG
|
PPG
|
2017–18
|
ケンタッキー
|
37 |
24 |
33.7 |
.485 |
.404 |
.817 |
4.1 |
5.1 |
1.6 |
.5 |
14.4
|
脚注
- ^ “Shai Gilgeous-Alexander signs multi-year deal with Converse” (英語). OKC Thunder Wire (2020年7月8日). 2023年4月13日閲覧。
- ^ “クリッパーズがポール・ジョージをトレードで獲得”. www.sportingnews.com. 2020年4月17日閲覧。
- ^ “SGA youngest ever with 20-rebound triple-double” (英語). ESPN.com (2020年1月14日). 2020年1月14日閲覧。
- ^ “Thunder's Shai Gilgeous-Alexander records historic first career triple-double in win over Timberwolves” (英語). www.cbssports.com. 2020年1月14日閲覧。
- ^ “Reports: Shai Gilgeous-Alexander expected to sign maximum rookie extension” (英語). www.nba.com. 2021年8月7日閲覧。
- ^ “Giannis Antetokounmpo, Shai Gilgeous-Alexander named NBA Players of the Week”. National Basketball Association (October 31, 2022). 2024年9月16日閲覧。
- ^ Pagaduan, Jedd (November 16, 2022). “Thunder star Shai Gilgeous-Alexander drives dagger into Wizards' hearts with game-winning stepback three”. ClutchPoints. 2024年9月16日閲覧。
- ^ Pagaduan, Jedd (December 19, 2022). “Thunder star Shai-Gilgeous Alexander ruins Damian Lillard, Blazers night with cold game-winner”. ClutchPoints. 2024年9月16日閲覧。
- ^ “Murphy scores 23, Pelicans beat Thunder in OT without Zion” (英語). ESPN (November 23, 2022). 2024年9月16日閲覧。
- ^ “2023 NBA All-Star reserves revealed” (英語). National Basketball Association. 2024年9月16日閲覧。
- ^ “Gilgeous-Alexander has 44, Thunder top Trail Blazers 138–129” (英語). ESPN (February 10, 2023). 2024年9月16日閲覧。
- ^ Salao, R.P. (April 9, 2023). “Shai Gilgeous-Alexander enters Kevin Durant territory with a piece of Thunder history”. ClutchPoints. 2024年9月16日閲覧。
- ^ “Shai Gilgeous-Alexander enters Michael Jordan territory” (December 9, 2022). 2024年9月16日閲覧。
- ^ “Canada's Shai Gilgeous-Alexander named to all-NBA first team after stellar season”. Yahoo Sports. 2024年9月16日閲覧。
- ^ Sampson, Peter (November 14, 2023). “Shai Gilgeous-Alexander secures Thunder scoring feat not even Kevin Durant achieved”. ClutchPoints. 2024年9月16日閲覧。
- ^ Sampson, Peter (November 14, 2023). “Shai Gilgeous-Alexander secures Thunder scoring feat not even Kevin Durant achieved”. ClutchPoints. 2024年9月16日閲覧。
- ^ “2024 NBA All-Star starters announced”. NBA.com. 2024年9月16日閲覧。
- ^ Pagaduan, Jedd (March 12, 2024). “Thunder: Shai Gilgeous-Alexander's true feelings on breaking Kevin Durant's OKC record for 30-point games”. ClutchPoints. 2024年9月16日閲覧。
- ^ “Nikola Jokic, Shai Gilgeous-Alexander lead 2023-24 Kia All-NBA 1st Team”. NBA.com (May 22, 2024). 2024年9月16日閲覧。
- ^ “P.J. Washington's free throws finish rally as Mavericks beat Thunder 117-116 to reach West finals” (英語). ESPN.com (May 18, 2024). 2024年9月16日閲覧。
- ^ “Canada defeats U.S. in overtime to claim bronze, first-ever medal at FIBA World Cup”. The Globe & Mail. (September 10, 2023). https://www.theglobeandmail.com/sports/basketball/article-canada-defeats-us-in-overtime-to-claim-bronze-first-ever-medal-at-fiba/ 2024年9月16日閲覧。
- ^ “Dennis Schroder named FIBA Basketball World Cup 2023 Tissot MVP”. FIBA (September 10, 2023). 2024年9月16日閲覧。
- ^ “After leading Canadian men back to Olympics, Gilgeous-Alexander voted CP male athlete of the year”. CBC Sports (December 28, 2023). 2024年9月16日閲覧。
- ^ “Doing it the French way: Hosts eliminate unbeaten Canada” (英語). FIBA.basketball (2024年8月6日). 2024年9月16日閲覧。
- ^ “Gilgeous-Alexander, Bogdanovic, F. Wagner, Yabusele, Antetokounmpo named to Paris 2024 All-Second Team” (英語). FIBA.basketball (2024年8月10日). 2024年9月16日閲覧。
外部リンク