2014年のサラエヴォ映画祭
サラエヴォ映画祭 (英語 :Sarajevo Film Festival 、ボスニア語 ・セルビア語 ・クロアチア語 :Sarajevski filmski festival )は、バルカン半島 で最大で最高の映画祭 である。サラエヴォ映画祭は1995年 、ボスニア・ヘルツェゴビナ紛争 のサラエヴォ包囲 のさなかに、ボスニア・ヘルツェゴビナ のサラエヴォ で始まった。以来、サラエヴォ映画祭は次第にその地位を高め、国際的な有名人を大勢招くようになった。サラエヴォ映画祭は8月に開かれ、劇映画や短編映画 を披露する。映画祭の監督 を務めるのは、マッキャンエリクソン (McCann Erickson )のボスニア・ヘルツェゴビナ支部のCEO であったミルサド・プリヴァトラ(Mirsad Purivatra)である。
歴史
第1回のサラエヴォ映画祭は、1995年 10月25日 から11月5日 にかけて開催された。
当時はサラエヴォ包囲 のさ中であり映画祭の来場者数は大変低調なものとなることが予想されたが、これに反して15000人もの人々が訪れ、15の国々から集まった37点の応募作品を鑑賞した。
サラエヴォ映画祭はその後記録的な成長を遂げて現在では東南ヨーロッパ においてもっとも有名な映画祭となり、毎年10万人以上を動員し、60ヵ国から数百点の作品が応募している。[ 1]
映画祭はサラエヴォ国立劇場 で開催され、期間中国立劇場の手前の広場には赤いカーペットが敷かれている。応募作品の上映はメタラツ野外劇場やボスニア文化センターに加えてサラエヴォ周辺の劇場など五か所で行われる。
ロバート・デ・ニーロ 、アンジェリーナ・ジョリー 、ブラッド・ピット 、エミール・ハーシュ 、オーランド・ブルーム 、ダニエル・クレイグ 、ダニー・グローヴァー 、ジョン・マルコヴィッチ 、モーガン・フリーマン 、オリバー・ストーン 、ジョン・クリーズ 、スティーヴ・ブシェミ 、マイケル・ファスベンダー 、ジェレミー・アイアンズ 、U2 のボノ 、ニック・ケイヴ 、クーリオ 、スティーヴン・フリアーズ 、ミッキー・ローク 、マイケル・ムーア 、ジェラール・ドパルデュー 、ダーレン・アロノフスキー 、ソフィー・オコネドー 、ジリアン・アンダーソン 、ケヴィン・スペイシー 、エリック・カントナ 、ベニチオ・デル・トロ など、多くの著名人たちがこの映画祭に来場している。
ヨーロッパ映画協会はサラエヴォ映画祭を「ヨーロッパの最優秀短編映画賞」に作品をノミネートする11(2001年時点)の映画祭の一つに数えている。2001年のサラエヴォ映画祭の受賞者は、ダニス・タノヴィッチ (Danis Tanović)の『ノー・マンズ・ランド 』であり、この作品は後にアカデミー外国語映画賞 を受賞している。2004年、サラエヴォ映画祭最優秀作品賞は「ハート・オブ・サラエヴォ賞」という名称になった。
受賞作品
ハート・オブ・サラエヴォ(最優秀賞)
公式の「ハート・オブ・サラエヴォ賞」はサラエヴォ映画祭が10周年記念を迎えた2004年 から授与され始めた。この賞のデザインは映画祭のロゴとして2004年 に選ばれたものだが、原形は映画祭の最初期である1990年代から非公式に広まっていたものであり、フランス人のファッションデザイナーであり映画祭の後援者であるアニエス・ベー がデザインしたハートが使われている[ 2] 。
作品賞
監督賞
西暦
監督
題名
監督の国籍
2017
Emanuel Părvu
Meda or The Not So Bright Side of Things
ルーマニア
女優賞
男優賞
短編映画賞
西暦
題名(翻訳)
題名(原語)
監督
監督の国籍
2001
Copy Shop
Copy Shop
Virgil Widrich
オーストリア
2002
10 Minutes
10 minuta
アーメッド・イマモヴィック (英語版 )
ボスニア・ヘルツェゴビナ
2003
The Wallet
Le portefeuille
Vincent Bierrewaerts
ベルギー
2004
Me, Myself and the Universe
Ich und das Universum
Hajo Schomerus
ドイツ
2005
Before Dawn
Hajnal
Kenyeres, Balint Balint Kenyeres
ハンガリー
2006
Good Luck Nedim
Sretan put Nedime
Marko Šantić
スロベニア
2007
Waves
Valuri
アドリアン・シタル (英語版 )
ルーマニア
2008
寛容
Tolerantia
イヴァン・ラマダン (Ivan Ramadan)
ボスニア・ヘルツェゴビナ
2009
Party
Tulum
ダリボル・マタニッチ (英語版 )
クロアチア
2010
Yellow Moon
Žuti mjesec
Zvonimir Jurić
クロアチア
2011
Mezzanine
Mezanin
ダリボル・マタニッチ
クロアチア
2012
The Return
Kthimi
Blerta Zeqiri
コソボ
2013
Shadow of a Cloud
O umbra de nor
Radu Jude
ルーマニア
2014
The Chicken
Kokoška
Una Gunjak
クロアチア
2015
A Matter of Will
Biserna obala
Dušan Kasalica
モンテネグロ
2016
Transition
Tranzicija
Milica Tomović
セルビア
2017
Into the Blue
U plavetnilo
Antoneta Alamat Kusijanović
クロアチア
学生映画賞
西暦
題名(翻訳)
題名(原語)
監督
監督の国籍
2017
Clean
Čistoća
Neven Samardžić
ボスニア・ヘルツェゴビナ
ドキュメンタリー賞
西暦
題名(翻訳)
題名(原語)
監督
監督の国籍
2006
Facing the Day
Što sa sobom preko dana
Ivona Juka
クロアチア
2007
Interrogation
Informativni razgovori
Namik Kabil
ボスニア・ヘルツェゴビナ
2008
Corridor No. 8
Коридор No. 8
Boris Despodov
ブルガリア
2009
The Caviar Connection
Kavijar konekšn
ドラガン・ニコリッチ (Dragan Nikolić)
セルビア
2010
The Seamstresses
Shivackite
Biljana Garvanlieva
北マケドニア
2011
A Cell Phone Movie
Mobitel
Nedžad Begović
ボスニア・ヘルツェゴビナ
2012
Turn Off the Lights
Lumea in patratele
Ivana Mladenović
セルビア
2013
Sickfuckpeople
Хворісукалюди
Juri Rechinsky
ウクライナ
2014
Naked Island
Goli
Tiha K. Gudac
クロアチア
2015
トトとふたりの姉 [ 6]
Toto şi surorile lui
アレクサンダー・ナナウ (Alexander Nanau)
ルーマニア
2016
A Mere Breath
Doar o răsuflare
Monica Lãzurean-Gorgan
ルーマニア
2017
City of the Sun
Mzis qalaqi
Rati Oneli
ジョージア
名誉賞
2005年から「ハート・オブ・サラエヴォ名誉賞 (Honorary Heart of Sarajevo)」が授与されるようになり、一般的な意味での「地域映画」、つまり旧ユーゴスラビア 、バルカン半島 、東南ヨーロッパ の幅広い範囲で制作された映画だけでなく、映画祭の発展に貢献した個人が表彰されるようになった[ 2] 。2016年、ハート・オブ・サラエヴォ名誉賞の特別功労賞が導入された。初代受賞者はロバート・デ・ニーロ だった[ 7] [ 8] [ 9] 。
審査員特別賞
各部門における最優秀賞であるハート・オブ・サラエヴォ賞 に次ぐ賞。長編映画部門とドキュメンタリー映画部門の2部門を対象に授賞される。このうち長編映画部門での授与は、2013年 以降は長年サラエヴォ映画祭の後見人を務め映画祭と関わりの深いアニエス・ベー が行っている[ 10] 。
長編映画部門
ドキュメンタリー映画
人権賞
この賞は、人権の主題を扱ったドキュメンタリー作品で競われる最優秀映画賞にあたるもの。2004年の第10回映画祭で初受賞が行われて以降、恒例の賞となっている。同賞はスイス連邦 の外務省から授与される。
西暦
題名(翻訳)
題名(原語)
監督
国籍
2004
Imported Crows
Uvozne vrane
ゴラン・デビッチ
クロアチア
2005
Borderline Lovers
Ljubav na granici
ミロスラフ・マンディッチ
ボスニア・ヘルツェゴビナ
2006
Vukovar - Final Cut
Vukovar - poslednji rez
ジャンコ・バルジャック
セルビア
2007
The Mosquito Problem and Other Stories
Problemat s komarite i drugi istorii
アンドレイ・M・パウノフ
ブルガリア
2008
Divorce Albanian Style
Razvod po albanski
アデラ・ピーヴァ
ブルガリア
2009
Hot Blood
Vrela krv
マルコ・マムジッチ
セルビア
2010
Mila Seeking Senida
Mila traži Senidu
ロベルト・トミッチ・ズベル
クロアチア
2011
Ecumenopolis: City Without Limits
Ekümenopolis: Ucu olmayan şehir
イムレ・アゼム
トルコ
2012
Real Man's Film
Muški film
ネボージャ・スリジェプチェビッチ
クロアチア
2013
Married to the Swiss Franc
U braku sa švicarcem
アルセン・オレモビッチ
クロアチア
2014
Judgement in Hungary
Judgement in Hungary
エステル・ハイドゥ
ハンガリー
2015
One Day in Sarajevo
Jedan dan u Sarajevu
ヤスミラ・ジュバニッチ
ボスニア・ヘルツェゴビナ
2016
Scream for me Sarajevo
Scream for me Sarajevo
タリク・ホジッチ
ボスニア・ヘルツェゴビナ
2017
Mr. Gay Syria
Mr. Gay Syria
アイシェ・トプラック
トルコ
2018
Araf
Araf
ディデム・ペクィン
トルコ
観客賞
著名なゲストと参加者
脚注
^ Pond, Steve (17 August 2014). “Sarajevo Film Festival Celebrates 20th Year Under the Long Shadow of War ”. TheWrap . 29 July 2015 閲覧。
^ a b “Awards - Sarajevo Film Festival ” (.html) (Bosnian, English). sff.ba . Sarajevo Film Festival. 2016年7月30日 閲覧。
^ 『花咲くころ』 , 東京フィルメックス, http://filmex.net/2013/fc02.html 2017年10月13日 閲覧。
^ a b 映画『裸足の季節』オフィシャルサイト , Bitters End, http://bitters.co.jp/hadashi/index.html 2017年10月13日 閲覧。
^ 映画『ストロングマン』公式サイト , Faliro House & Haos Film, http://www.finefilms.co.jp/strong/ 2017年10月13日 閲覧。
^ 映画『トトとふたりの姉』 公式サイト , http://www.totosisters.com/index.php 2017年10月13日 閲覧。
^ “Robert De Niro received Honorary Heart of Sarajevo – Lifetime Achievement Award ”. sff.ba (2016年8月11日). 2017年7月10日 閲覧。
^ Barraclough, Leo (2016年8月8日). “Robert De Niro to Receive Lifetime Achievement Award at Sarajevo Film Festival ”. Variety . 2016年8月8日 閲覧。
^ “Robert DeNiro to Receive Lifetime Achievement Award at Sarajevo Film Festival ”. BroadwayWorld.com (2016年8月8日). 2016年8月8日 閲覧。
^ “agnès b. ”. アニエスベー ジャパン (2014年7月). 2017年7月15日 閲覧。
外部リンク
コンペティティブ長編映画祭 コンペティティブ・ スペシャライズド長編映画祭 非コンペティティブ長編映画祭 ドキュメンタリー・短編映画祭