サッカーサンマリノ代表 (サッカーサンマリノだいひょう、Nazionale di calcio di San Marino )は、サンマリノサッカー連盟 (FSGC)によって編成されるサンマリノ のサッカー のナショナルチーム。
2024年9月19日時点のFIFAランキング で最下位の210位[ 1] [ 2] 。通算成績は206試合2勝9分195敗、得点数34、失点数824、得失点差−790、勝率は約1%である。
歴史
1990年に行われたUEFA EURO '92予選 のスイス 戦(0-4)がサンマリノ代表にとって初の公式戦となった。UEFA欧州選手権 には1992年大会 の予選から、FIFAワールドカップ には1994年大会 の予選から全ての大会に出場している。2024年9月5日に行われたUEFAネーションズリーグ2024-25・リーグD におけるグループ1第1節のリヒテンシュタイン との公式戦(1-0)が、2024年9月現在のサンマリノ代表唯一の公式戦勝利であり、親善試合まで含めても2勝しかしていない[ 3] 。
代表の組織化と連盟加盟
サンマリノサッカー連盟 は1931年に創設されたが、サンマリノ代表 は1986年まで組織されなかった。1986年、サンマリノ代表はU-23カナダ代表と初試合(非公式試合)を行い、0-1で敗れた。1988年、国際サッカー連盟 (FIFA)と欧州サッカー連盟 (UEFA)に加盟した[ 4] 。加盟以前は、国際サッカー界においてサンマリノ人選手はイタリア人選手とみなされていた[ 5] 。
1990年代
UEFA EURO '92
サンマリノ代表が出場した初の国際大会となったUEFA EURO '92予選 ではスコットランド 、スイス 、ルーマニア 、ブルガリア と同組となった。1990年11月14日に行われた初戦のスイス 戦(0-4)がFIFAに認可された初の公式戦となった。特にアウェー戦では苦しみ、全試合で少なくとも4失点を喫して敗れた。予選中にサンマリノ代表が挙げた得点はルーマニア 戦(1-3)の1点だけであり、この得点もPKによって得たものであった[ 6] 。8戦全敗(1得点33失点)で予選を終えた[ 7] 。
1994 FIFAワールドカップ
1994 FIFAワールドカップ・ヨーロッパ予選 ではイングランド 、オランダ 、ノルウェー 、ポーランド 、トルコ と同組となった。予選の初戦はアウェーでのノルウェー戦であり、0-10で大敗を喫した。しかし、ホームでのノルウェー戦は一方的な試合にはならず、0-2の敗北に抑えた。トルコには1-4で敗れたが、FIFAワールドカップ予選での初得点を記録した。また、1993年3月10日に行われたトルコ戦には0-0で引き分け、公式大会において初の勝ち点を獲得した。予選最終戦はイングランド戦であったが、試合開始8.3秒でダヴィデ・グアルティエーリ が得点し、UEFA欧州選手権予選での最速得点記録を更新した[ 8] 。その後7失点し、1-7で敗れて予選を終えた。10試合で1分9敗(46失点)であった[ 9] 。
UEFA EURO '96
UEFA EURO '96予選 ではロシア 、スコットランド、ギリシャ 、フィンランド 、フェロー諸島 と同組となった。アウェーで行われたフィンランド戦には1-4で敗れたが、UEFA欧州選手権予選において初めてアウェーで得点した[ 10] 。ホームでのフェロー諸島戦(1-3)でも得点したが、アウェーでのフェロー諸島戦には0-3で敗れた。トフティル で行われたこの試合で、フェロー諸島は公式戦初勝利を挙げた[ 11] 。サンマリノ代表は10戦全敗(2得点36失点)で予選を終えた。
1998 FIFAワールドカップ
普段から好結果が期待されない(サンマリネーゼ・スタンダード)サンマリノにおいても、1998 FIFAワールドカップ・ヨーロッパ予選 は期待外れの予選となった。オランダ 、ベルギー 、トルコ、ウェールズ と同組となったが、全ての試合で3点差以上の敗北を喫し、1得点も挙げられなかった[ 12] 。8戦全敗(無得点42失点)で予選を終えた。
UEFA EURO 2000
UEFA EURO 2000予選 ではスペイン 、イスラエル 、オーストリア 、キプロス と同組となった。1998年11月18日に行われたキプロス戦は0-1で接戦となったが[ 13] 、8戦全敗(1得点44失点)に終わった。
2000年代
2002 FIFAワールドカップ
2002 FIFAワールドカップ・ヨーロッパ予選 ではクロアチア 、ベルギー 、スコットランド、ラトビア と同組となった。アウェーでのベルギー戦には1-10で敗れたが、2001年4月25日にリガ で行われたラトビア戦には1-1で引き分け、アウェーにおいて初の勝ち点を獲得した[ 14] 。国際大会の予選において過去最高の計3得点を挙げ、8戦で1分7敗(3得点30失点)で予選を終えた。
UEFA EURO 2004
UEFA EURO 2004予選 ではスウェーデン 、ラトビア、ポーランド、ハンガリー と同組となった。ホームでのラトビア戦は90分を終えて0-0と健闘したが、ロスタイムに失点して0-1で敗れた[ 15] 。8戦全敗(無得点30失点)で予選を終えた。2004年4月28日、65回目の公式戦にして初の勝利を挙げた。リヒテンシュタイン との親善試合では5分にアンディ・セルヴァ が決勝点を挙げ、その後も点を許さずに完封。リヒテンシュタインのMartin Andermatt監督はこの試合が指揮官としてのデビュー戦であった[ 16] 。
2006 FIFAワールドカップ
2006 FIFAワールドカップ・ヨーロッパ予選 ではセルビア・モンテネグロ 、スペイン、ボスニア・ヘルツェゴビナ 、ベルギー 、リトアニア と同組となった。UEFA EURO 2004予選同様に、ワンサイドゲームで敗れることが多かったが、ホームでのリトアニア戦とベルギー戦では失点を1点に抑えた[ 17] 。10戦全敗(2得点40失点)で予選を終えた。
UEFA EURO 2008
UEFA EURO 2008予選 ではチェコ 、ドイツ 、アイルランド共和国 、スロバキア 、ウェールズと同組となった。2006年9月6日にホームで行われたドイツ戦には0-13で敗れ、最大得点差敗北記録を更新した[ 18] 。ホームでのアイルランド共和国戦、ウェールズ戦ではそれぞれ1点しか許さなかったが、12戦全敗(2得点57失点)で予選を終えた[ 19] 。
2010 FIFAワールドカップ
2010 FIFAワールドカップ・ヨーロッパ予選 ではスロバキア、スロベニア 、チェコ、北アイルランド 、ポーランドと同組となった。ポーランド戦には0-10で敗れ、この試合でポーランドは最大得点差勝利記録を更新した[ 20] 。スロバキア戦(1-3)では同予選唯一の得点を挙げた[ 21] 。10戦全敗(1得点47失点)で予選を終えた。
2010年代
UEFA EURO 2012
UEFA EURO 2012予選 ではオランダ、スウェーデン、ハンガリー、フィンランド、モルドバ と同組となった。ホームでのフィンランド戦は0-1と健闘したが、オランダ戦は0-11で大敗となった。この試合でサンマリノはホームでの最大得点差敗北記録を更新し、オランダ代表は最大得点差勝利記録を更新した[ 22] 。10戦全敗(0得点53失点)で予選を終えた。
2014 FIFAワールドカップ
2014 FIFAワールドカップ・ヨーロッパ予選 ではイングランド、ウクライナ、モンテネグロ、ポーランド、モルドバと同組となったが、10戦全敗で勝ち点0、1得点54失点に終わった。ホームでのポーランド戦(1-5)ではキャプテンのアレッサンドロ・デッラ・ヴァッレ が代表初得点を挙げたが、デッラ・ヴァッレはポーランド戦の半年前のイングランド戦でオウンゴールを記録している。アウェーでのウクライナ戦には0-9で大敗し、ホームでのイングランド戦とウクライナ戦にも0-8の大差で敗れた。この予選での最低観客数は736人(モルドバ戦)、最高観客数は4,980人(イングランド戦)であり、ホームゲーム5試合で平均2,554人を集めた。
UEFA EURO 2016
UEFA EURO 2016予選 ではイングランド、スイス、スロベニア、エストニア、リトアニア と同組となった。10戦1分け9敗、勝ち点1、1得点36失点に終わった。唯一の勝ち点は2014年11月15日、ホームでのエストニア戦での0-0の引き分けによるものだった。唯一の得点は2015年9月8日、アウェーでのリトアニア戦でM.ヴィタリオーリが記録した。
2018 FIFAワールドカップ
2018 FIFAワールドカップ・ヨーロッパ予選 ではドイツ、北アイルランド、チェコ、ノルウェー、アゼルバイジャン と同組となったが、10戦全敗で勝ち点0、2得点51失点に終わった。
UEFA EURO 2020
UEFA EURO 2020予選 ではベルギー、ロシア、スコットランド、キプロス、カザフスタン と同組となった。10戦全敗(1得点51失点)で最下位となり予選敗退した。
2020年代
2022 FIFAワールドカップ
2022 FIFAワールドカップ・ヨーロッパ予選 ではイングランド、ポーランド、アルバニア 、ハンガリー、アンドラ と同組となった。ホームでのイングランド戦では0-10の大差で敗れた[ 23] 。10戦全敗(1得点46失点)で予選を終えた。
UEFAネーションズリーグ2024-25
2024年9月5日、UEFAネーションズリーグ2024-25・リーグD のグループ1第1節はサンマリノ・スタジアム にてリヒテンシュタイン を迎え討ち、1-0で史上初の公式戦勝利を挙げた[ 24] 。親善試合まで含めても、2004年のリヒテンシュタイン戦以来20年ぶりの勝利である[ 3] 。
スタジアム
サンマリノ・スタジアム
サンマリノ代表はセラヴァッレ にある多目的スタジアムであるサンマリノ・スタジアム をホームスタジアムとしている。普段はサンマリノ・カルチョ が使用しており、7,000人を収容する[ 25] 。満員になることは少なく、アウェーサポーターがサンマリノサポーターの数を上回ることもある。例えば、2007年2月にオリンピコでアイルランド共和国 と対戦した際には、3,294人の総観客数のうち2,500人がアイルランド共和国サポーターであった[ 26] [ 27] 。また、サンマリノ代表は国境外で「ホーム」ゲームを行ったことがある。1994 FIFAワールドカップ・ヨーロッパ予選 のイングランド 戦とオランダ 戦は、サンマリノから約120kmの距離にあるボローニャ (イタリア)のスタディオ・レナート・ダッラーラ で行われた。
評価
欧州サッカー連盟 (UEFA)加盟国・地域の中で最少の人口を持つ[ 25] 。アマチュアの選手が圧倒的に多く、プロ選手はアンディ・セルヴァ やアルド・シモンチーニ など少数に限られる。
2001年4月25日には、アウェーで行われた2002 FIFAワールドカップ・ヨーロッパ予選 のラトビア 戦に1-1で引き分けたが、この試合後にラトビアのゲイリー・ジョンソン 監督は辞任を発表した[ 28] 。2004年4月28日、親善試合でリヒテンシュタイン を1-0で破り、初勝利を記録した。2006年9月6日、ホームで行われたUEFA EURO 2008予選 のドイツ 戦は0-13で大敗し、13点差での敗北はUEFA欧州選手権 予選新記録となった[ 18] 。2007年2月にはアイルランド共和国 と対戦し、最終プレーの失点により1-2で敗れたが、試合後にアイルランド共和国代表は痛烈な批判にさらされた[ 29] 。2008年10月から2012年8月には20戦連続無得点のヨーロッパ記録を樹立した。
2016年11月11日に行われた2018 FIFAワールドカップ・ヨーロッパ予選 のドイツ戦では0-8で敗北した。ワールドチャンピオンであったドイツ代表との力の差が際立つ試合となったためか、試合後のインタビューにてトーマス・ミュラー が「サンマリノのようなチームと試合をすることはプロサッカーとは全くかけ離れたものだ。過密日程の中こんな試合をする意味が分からない。」発言し、波紋を呼んだ[ 30] [ 31] 。
成績
FIFAワールドカップ
UEFA欧州選手権
国別対戦成績
2019年11月20日時点
相手
試合数
勝利
引分
敗北
得点
失点
点差
勝率
アルバニア
2
0
0
2
0
6
−6
0%
アンドラ
1
0
0
1
0
2
−2
0%
オーストリア
2
0
0
2
1
11
−10
0%
アゼルバイジャン
2
0
0
2
1
6
−5
0%
ベラルーシ
2
0
0
2
0
7
−7
0%
ベルギー
8
0
0
8
3
46
−43
0%
ボスニア・ヘルツェゴビナ
2
0
0
2
1
6
−5
0%
ブルガリア
2
0
0
2
0
7
−7
0%
クロアチア
3
0
0
3
0
18
−18
0%
キプロス
6
0
0
6
0
18
−18
0%
チェコ
6
0
0
6
0
31
−31
0%
イングランド
6
0
0
6
1
37
−36
0%
エストニア
3
0
1
2
0
3
−3
0%
フェロー諸島
2
0
0
2
1
7
−6
0%
フィンランド
4
0
0
4
1
18
−17
0%
ドイツ
4
0
0
4
0
34
−34
0%
ギリシャ
2
0
0
2
0
6
−6
0%
ハンガリー
4
0
0
4
0
19
−19
0%
イスラエル
2
0
0
2
0
13
−13
0%
イタリア
3
0
0
3
0
16
−16
0%
カザフスタン
1
0
0
1
1
3
-2
0%
ラトビア
4
0
1
3
1
6
−5
0%
リヒテンシュタイン
4
1
1
2
3
4
-1
25%
リトアニア
4
0
0
4
1
9
−8
0%
ルクセンブルク
2
0
0
2
0
6
-6
0%
マルタ
1
0
0
1
2
3
-1
0%
モルドバ
8
0
0
8
0
17
−17
0%
モンテネグロ
2
0
0
2
0
9
−9
0%
オランダ
6
0
0
6
0
39
−39
0%
北アイルランド
4
0
0
4
0
14
−14
0%
ノルウェー
4
0
0
4
1
24
−23
0%
ポーランド
8
0
0
8
1
33
−32
0%
アイルランド
2
0
0
2
1
7
−6
0%
ルーマニア
3
0
0
3
1
10
−9
0%
ロシア
4
0
0
4
0
25
−25
0%
スコットランド
8
0
0
8
0
27
−27
0%
セルビア
2
0
0
2
0
8
−8
0%
スロバキア
4
0
0
4
1
22
−21
0%
スロベニア
4
0
0
4
0
16
−16
0%
スペイン
4
0
0
4
0
26
−26
0%
スウェーデン
4
0
0
4
0
22
−22
0%
スイス
4
0
0
4
0
22
−22
0%
トルコ
4
0
1
3
1
16
−15
0%
ウクライナ
2
0
0
2
0
17
−17
0%
ウェールズ
4
0
0
4
1
16
−15
0%
通算
160
1
4
155
24
694
−670
0.63%
記録
勝ち点を獲得した試合
FIFAランキングの推移
FIFAランキング は過去48ヶ月間の国際Aマッチを対象とする。1993年、1999年、2006年、2018年に算出方法が改定されている。各年12月のランキングとポイントを掲載している[ 34] 。
1991年
1992年
1993年
1994年
1995年
1996年
1997年
1998年
1999年
2000年
121位(8pt)
131位(8pt)
151位(7pt)
165位(5pt)
173位(5pt)
179位(4pt)
150位(175pt)
168位(159pt)
2001年
2002年
2003年
2004年
2005年
2006年
2007年
2008年
2009年
2010年
158位(211pt)
160位(199pt)
162位(216pt)
164位(221pt)
155位(238pt)
194位(11pt)
197位(6pt)
201位(0pt)
203位(0pt)
203位(0pt)
2011年
2012年
2013年
2014年
2015年
2016年
2017年
2018年
2019年
2020年
206位(0pt)
207位(0pt)
207位(0pt)
179位(55pt)
198位(22pt)
202位(17pt)
204位(11pt)
211位(854pt)
209位(824pt)
210位(810pt)
2021年
2022年
2023年
210位(780pt)
211位(763pt)
210位(742pt)
選手と監督
2006年1月、サンマリノサッカー連盟はUEFAジュビリーアウォーズ (過去50年間の同国最優秀選手)にマッシモ・ボニーニ を選出した[ 5] 。ボニーニはサンマリノ人選手としてUEFAチャンピオンズリーグ 決勝に出場した唯一の選手である。彼は1980年代初頭にU-21イタリア代表の試合に出場し、1981年から1988年までユヴェントスFC でプレーしたが、規則変更によってイタリアA代表でプレーすることができず、選手生活晩年の1990年から1995年までサンマリノ代表として19試合に出場した[ 5] [ 35] 。現役引退後はジョルジョ・レオーニ監督の後任としてサンマリノ代表の監督に就任し[ 5] 、1998年にジャンパオロ・マッツァ 監督に引き継いだ。マッツァ監督は10年以上もサンマリノ代表を指揮しており、ヨーロッパ各国の代表監督中最長の在任期間を誇る[ 36] 。サンマリノ代表の最多出場記録はダミアーノ・ヴァンヌッチ (68試合)が保持し[ 37] 、2位はシモーネ・バッチョッキ(58試合)である[ 38] 。最多得点記録はアンディ・セルヴァ (8得点)が保持している[ 39] 。
歴代監督
歴代記録
2016年11月11日現在
通算出場数ランキング
通算得点数ランキング
歴代選手
GK
DF
MF
FW
脚注
注釈
出典
外部リンク
各列内は五十音順。* UEFA加盟およびFIFA 未加盟 現存 廃止