『グノーシア』(GNOSIA)は、ゲーム制作サークル・プチデポットにより開発されたゲームソフト。人狼ゲームを1人用ゲームとしてアレンジしている。
2019年6月20日にPlayStation Vita用ソフトとして配信開始され[3]、2020年4月30日にはグラフィックス・サウンドの強化や機能追加が施されたNintendo Switch版が[4]、さらに2022年1月23日にはSteamにおいてPC版が[5]、2023年12月14日にPlayStation 4、PlayStation 5、Xbox One、Xbox Series X/S、Microsoft Store(PC版)が配信開始された。また、オリジナルサウンドトラックが2020年10月1日に発売された[6]。
なお、元々はPlayStation Mobile向けに2015年初頭より開発されていたが、同年3月に同サービスの終了告知に伴いPlayStation Vita向けに変更され、それから4年あまりをかけてのリリースとなった[7][8]。
ゲーム内容
主人公はある宇宙船の乗員であり、その宇宙船には「グノーシア(グノーシア汚染者)」という人間を消してしまう存在が人間のふりをして紛れ込んでいた[9]。主人公は乗員の1人として、そのグノーシアを排除する議論に参加することになる。しかし主人公と乗員の1人であるセツは時間をループしており、グノーシア対策のための議論を繰り返しながら、2人でループをする原因、およびループからの脱出方法を探すこととなる。そしてループの中で見つかった手掛かりから、グノーシアとは何なのか、なぜループした先には必ずグノーシアが潜伏しているのか、そしてループを止めるためには何をするべきなのか、といった謎を解き明かしていくことになる。
ゲームの流れ
基本的には人狼ゲーム同様、決着がつくまでは議論と投票、そして夜時間を繰り返し、投票によりグノーシアを全員排除すれば人間の勝利、人間の数がグノーシアの数の同数以下になるとグノーシアの勝利となる。ただし特定のイベントが発生すると強制的に終了したり決着が着いたりすることがある。
なお、人狼ゲームとは異なる点として、投票と夜時間の間には自由時間が存在し、主人公のレベルアップを行える他、他の乗員の元を訪ねることができる。その際にイベントが発生することもある。
- 議論
- 基本的なルールは人狼ゲームに則っており、生存者全員で誰をコールドスリープするのかを話し合う。
- 最初は疑う・かばう・同調する・否定するなど基本的なスキルしか使用できないが、スキルを獲得する事で雑談する・他の船員と協力するなど選択肢が増えていく。
- また直感が高い場合、他の乗員が嘘をついたことに気付ける場合がある。人物を指定してから同意や反論が一通り飛び交うまでを1ラウンドとし、5ラウンドが終了した時点で投票に移行する。
- 投票
- 誰をコールドスリープさせるのかを投票により決定し、選ばれた人間はコールドスリープされ、人狼ゲームでの吊られた状態扱いとなる。ただしゲーム内では眠っているだけで死亡してはいないため、それを利用したイベントが発生することがある。
- 複数の人物が同数だった場合は決選投票となり、対象の人物にのみ疑う・かばう事が出来る(他のメンバーの意見に同調・反撃は通常通り可能)。それでも決着が付かない場合は対象全員をコールドスリープさせるか、もしくは誰もコールドスリープさせないかを話し合って決めることとなる。
- 投票によってコールドスリープが決定した場合、その結果を覆す事は出来ないが、低確率ながらコールドスリープを回避できるスキルも存在する。
- 自由時間
- 投票終了後から睡眠までの自由な時間でステータスを上げたり、1日に1度だけ他のメンバーと交流ができる。また条件を満たしている場合はイベントが発生する。
- 大部分のスキルを使うには、自由時間にステータスを上げることでスキルを使う条件を満たすことが必要となる。
- 他の乗員とは好感度がループごとにランダムで設定されており、訪問する事で上昇させることが可能。好感度は議論や投票に影響を与える場合がある。
- また乗員から議論中に気づいたことの密告や、協力を持ちかけられることもある(ただし密告が嘘の場合や敵が協力を持ちかけてくる場合もある)。
- また自由時間にはストーリーを進めるためのイベントが発生する他、乗員からスキルを教えてもらえることもある。
- さらに、特定の条件を満たした上である乗員の元を訪れることで、ステータスの振り直しや一部のイベントスチルの確認が可能。
- 夜時間
- グノーシアをはじめとした役職が活動する時間。襲撃や守護・調査の対象を選ぶことが可能。グノーシアに襲撃された乗員やエンジニアに占われたバグはこの時点で消滅してしまう。
これを、陣営の勝敗が決する・投票でコールドスリープされる・グノーシアの襲撃を受ける・役職がバグの場合はエンジニアに調査される、のいずれかを満たすまで繰り返す。終了したら経験値が入り(勝利したほうが高い)、1日目に戻って新たなループとなる。
初期条件設定
ゲーム開始からしばらくは、乗員数・グノーシアの数(基本的にどのループでも必ず1体は存在している)・役職の有無・自分の役職が固定されている。ストーリーが進むにつれて徐々に自由に設定できる項目が増えていき、最終的にはこれらをプレイヤーが自由に選択できるようになる。ただし乗員のうち誰が参加するかの選択はできないため、乗員数が少ない時に誰が登場するかはランダムである。なおセツにはどのループにも必ず登場する。
また、乗員数によってグノーシアの数の上限は決まっており、乗員数が少ない場合には役職の有無に制限がかかる場合もある。人数や役職の有無は自分で全て設定する他、イベントの発生しやすい設定を自動設定することも可能。
議論における制約
一般的な人狼ゲームと異なり、議論では自由な会話は行えず、使用できるスキルを状況に応じて使うことで議論に参加することになる。また、人間側の役職の場合は嘘をつくことができない(これは主人公だけでなく他の乗員も同様である)。嘘をつける役職であっても、騙ることのできる役職はエンジニアかドクターのみである。また2日目以降に騙りに出た場合、エンジニア・ドクターの調査結果はランダムに設定される。そのため、状況によっては2日目以降に騙りに出た瞬間に即座に破綻してしまうことがある。
さらに、主人公がエンジニア・ドクターの時に他の乗員がその役職を「名乗り出ろ」した場合、あるいは「役割を明かす」で同じ役職に騙りが出た場合、主人公は潜伏することはできず、必ず自分も名乗り出なければならない。なお、他のキャラクターが真役職の場合でも、騙りが出た場合は必ず名乗り出る。(このため、誰も欠けていない1日目に名乗り出た場合には、その中に必ず本物の役職がいるという判断がされる。)厳密には名乗り出なくてもすぐに議論が進行不可になることはないが、ゲーム内で行われている確率計算が破綻して特殊なイベントに進む可能性が上がる。このイベントに進んだ場合は議論が強制終了し、経験値も得ることはできない。
役職
本作には様々な役職が存在する。役職の能力は人狼ゲームに則っているが、世界観を考慮して名称は変更されている。
- 乗員
- 「村人」に該当。何の能力も持たない一般的な乗員。
- グノーシア
- 「人狼」に該当。夜時間に指定した1人を消滅させることができる。ただし守護天使に守られた人やバグは消滅させられない。
- エンジニア
- 「占い師」に該当。夜時間に乗員1人を調査して、人間かグノーシアか知ることができる。またバグを調査した場合は消滅させることが可能。
- ドクター
- 「霊能者(霊媒師)」に該当。夜時間中にコールドスリープさせた乗員がグノーシアか否か知る事ができる。
- 留守番
- 「共有者(双子)」に該当。2人1セットでお互いが人間である事を知っている。片方が名乗り出た場合、もう片方も必ず名乗り出る必要がある。(名乗り出なくてもゲームは進行するが、片方だけ名乗り出た留守番は留守番と確定しない。)
- 人狼ゲームなら人外がこの役職を騙る事はできるが、このゲームでは騙ることはできない。
- 守護天使
- 「狩人(騎士)」に該当。夜時間に指定した1人をグノーシアの襲撃から守ることができる。ただし自分を守ることはできない。
- この役職は名乗り出ることができず、騙りに出ることもできない。
- AC主義者(Anti Cosmic -)
- 「狂人」に該当。人間でありながらグノーシアを勝利に導くために行動する存在。
- 本来ならグノーシア(人狼)陣営を勝利させれば勝利となるのだが、このゲームでは生存しないと勝利にならないため、この役職での勝利難易度が大幅に上がっている。
- バグ
- 「妖狐」に該当。人間でもグノーシアでもない第3陣営で、人間とグノーシアどちらかが勝利した時に生存していた場合、バグのみが勝利となる。グノーシアに襲撃されても消滅しないが、エンジニアに調査されると消滅してしまう。
最初は乗員とグノーシアしかいないが、ループを重ねるにつれて他の役職も登場するようになる。
能力値
主人公が得た経験値によって上昇させられる能力値には、次の6種類がある。
- カリスマ
- 議論における影響力。この値が高いほど、他の乗員が自分の意見に賛同してくれやすくなる。
- 直感
- 嘘を見抜く力。この値が高いほど、嘘に気づきやすくなる。嘘に気づいた時には専用のエフェクトが表示される。
- ロジック
- 論理的説明力。この値が高いほど皆を論理的に説得しやすくなり、信頼度への影響力が増加する。
- かわいげ
- この値が高いほど同情を集めやすく、コールドスリープしにくくなる。
- 演技力
- この値が高いほど嘘がばれにくくなり、また好感度への影響力が増加する。
- ステルス
- この値が高いほど発言が目立たなくなり、グノーシアに襲われにくくなる。
- 議論では発言が多すぎたり少なすぎたりすると疑われやすくなるが、ステルスが高いとその可能性を下げることができる。
能力値はスキルの使用条件を満たすのに必要な他、スキルの効果自体にも作用する。例えば、「騙されるな」はスキル使用者の「直感」が高いほど相手への注目度が高まり、相手の嘘がバレやすくなる。
なお、これら能力値は各キャラクターにもあり、おおよその傾向をゲーム内で確認することができる。実際の値はキャラクターごとに設定された特記事項を解放することで大幅に伸びる他、自由時間に会いに行くことでもわずかながら上昇する。能力値によるスキルの効果への影響は主人公以外の乗員に対しても適用される。
スキル
スキル(コマンド)は、乗員から教えてもらい、さらにレベルアップによって能力値を伸ばすことによって使うことができる。必要な能力値はスキルによって異なる。
スキルには、特定の役職に名乗り出るように要請する「名乗り出ろ」や、特定の役職のコールドスリープを提案する「全員排除しろ」など一般的な人狼ゲームでも使われる行動の他、「自分は人間だ」と宣言させてグノーシア・バグに嘘をつかせる「人間だと言え」、土下座をすることで同情を誘いコールドスリープを確率で回避する「土下座する」といった独特なものも存在する。
なお、キャラクターの使うコマンドもキャラクターごとに異なる。
プレイヤーの選択によるキャラクターへの影響
キャラクター達には上記能力値の他にも「社交性」「相性」などの隠しパラメータが存在し、それぞれの乗員の特徴に合わせて内部的に設定されている。これらはプレイヤーのゲーム内での動きや選択肢の選び方によって変化し、議論の展開に影響を与える[10]。これにより、同じキャラクターであってもプレイヤーごとに異なる印象を与えるような仕組みとなっている。このため、キャラクターを見るときには「(キャラクターを見る際には)そのプレイヤーの中のグノーシアのキャラクターであると見た方がいい」とされている[11]。
キャラクター
主人公を含めて全部で15人。最初は人数が少ないが、ループを重ねるにつれて他のキャラクターも登場する。
色と星座について
主人公以外のすべてのキャラクターには、一部に重複があるがそれぞれ個別に色と星座が対応している。この色は一部を除き主人公の「好きな色」として選択できる他、ゲーム画面の各所で主人公の顔イラストの代わりに、選択した色に対応した星座のマークが用いられる。また、Switch版以降にて特定の条件を満たすことで見ることができる、イベントスチル確認画面でも確認できる。
色と星座にどのキャラクターが対応するかはゲーム内で確認することはできないが、Switch版以外のハードにて実績として確認できる。
キャラクター一覧
名前の後の括弧内は、色と星座を表す実績名を表記している。
- 主人公
- 名前、性別、好きな色、初期パラメータはゲーム開始時点に設定可能。性別によって一部のイベント内容が変化する。
- セツ(牡牛座の水色)
- 識別年齢18歳、第52基地出身、汎性[12]。
- 主人公に「銀の鍵」を渡した人物で、主人公と共にループの謎を解き明かそうと奮闘する。
- 主人公と同じくループしているが、ループ自体が同期しているわけではなく、例えば主人公の3回目のループに50回目のループのセツがいる、という事態が発生しうる。主人公のループ数が少ない時に議論での立ち回り方をアドバイスしてくれることも。
- 正義感が強く真面目で、議論も積極的に引っ張っていこうとするが、それ故に目立ちやすく投票や襲撃の標的にされやすい。
- ジナ(山羊座の紫)
- 識別年齢21歳、地球出身、女性。
- 物静かな優しい性格で、人を騙す事に対して嫌悪感があり、自己犠牲に走る事もある。
- 能力は全体的に低めだが、特定の条件により直感が跳ね上がって、高確率で嘘を見抜くようになる。また、嘘を見抜いた乗員について、信頼している主人公に騙されないように警告してくれることがある。
- SQ(牡羊座の赤)
- 識別年齢24歳、リ・リウ小惑星帯出身、女性。
- 明るい性格で享楽主義。目元にハートのタトゥーをしているが、グノーシアだった場合は本性を現すとドクロマークに変わる。
- 好き嫌いで投票することが多い。また演技力やかわいげが高く、グノーシアだと気づいてもなかなかコールドスリープさせることができない。
- ラキオ(射手座の青)
- 識別年齢18歳、グリーゼ船団国家出身、汎性。
- 超階級社会で生まれ育ち、プライドが高く、皮肉めいた発言が多い。セツ同様に汎性だが肉体的には男性。
- 論理至上主義でロジックの能力が極めて高いため、終盤まで生きていると非常に強い。反面、かわいげやステルスが低く生き残るのが困難な場合が多い。
- しげみち(天秤座の黄緑)
- 識別年齢88歳、惑星シャングン出身、男性。
- 全身を銀色の皮膚で覆われてグレイのような姿をしている。
- カリスマが高いため、他の乗員の同意を得やすく味方に引き込むことがある。またステルスも高いため発言をしてもあまり目立たない。勇敢に騙りに出るが、演技力が低いため、その嘘が露呈しやすい。
- ステラ(蠍座の緑)
- 識別年齢26歳、出身は非公開、女性。
- 真面目で優し気な雰囲気をしており、ジョナスの世話係として舞台となる宇宙船の管理をしている。
- 全体的に能力のバランスが取れており、高めのロジックにより疑わしい乗員に票を集めようとする事がある。一方で献身的な性格が災いし、味方であるグノーシアを露骨にかばって目立ってしまう場面もある。
- 夕里子(ゆりこ)(蛇遣い座の銀[13])
- 識別年齢19歳、出身星は不明、女性。
- ミステリアスな女性。グノーシアの秘密について知っている。誰に対しても非常に高圧的な態度を取る。
- ステルス以外の全ての能力が非常に高く、彼女に標的にされると高確率でコールドスリープさせられることになる。他の乗員からの反論を封じるスキルを教えてくれる。
- シピ(双子座の橙)
- 識別年齢26歳、惑星ハンス出身、男性。
- 猫が大好きな青年。猫になるための手術を受けている最中で、首の部分で肉体が猫と繋がっている。
- 直感が高めのバランスの取れたステータスをしている。他の乗員に対して積極的に協力を持ちかける事が多く、そのスキルを教えてくれる。
- コメット(獅子座の黄)
- 識別年齢16歳、惑星ヴォーモ出身、女性。
- 全身に極彩色の紋様がある。紋様に見えるのは実は粘菌状の生物で共生関係にある。
- とにかく直感が高く、嘘にすぐ気付く。ただし演技力が低いため、自身の嘘は見抜かれやすい。自由時間に乗員にグノーシアかどうかを聞いて回ることがあるなど、勇敢で社交的な性格をしている。
- ククルシカ(牡羊座の緋色[13])
- 識別年齢15歳、出身星は不明、女性。
- 話すことができないが、豊富な表情や身体言語でコミュニケーションが取れる。
- かわいげが高いため、標的にされても周囲から同情を得やすい。嫌いな人物に優先して投票する傾向がある。
- ジョナス(水瓶座の茶色)
- 識別年齢33歳、地球出身、男性。
- 主人公たちが乗る宇宙船の船長。1000年以上前の宇宙船に乗っていた伝説的な人物。
- 能力は全体的に高水準ではあるものの、詩人めいた話し方をして場をかき回すことも多い。都合が悪くなると話をうやむやにすることもある。
- オトメ(乙女座の桃色)
- 識別年齢7歳、海洋惑星ナダ出身、女性。
- 知性化を施されたシロイルカの少女。人間が好きで人懐っこい性格。小型の車両に乗って移動している。
- 知性化を施されたこともあって高いロジックを持ち、またかわいげも高い。バグを警戒してグノーシアへの投票を避けるように提案することがある。
- 沙明(シャーミン)(魚座の黒)
- 識別年齢21歳、惑星アースラ出身、男性。
- 軽い口調で話す青年。セツに非常に嫌がられており、ループによっては議論開始前にセツに殺されてしまい参加しない。(この場合、人狼ゲームにおける役欠けと同じ状態になる。)
- 生き残る事を最優先としており、ステルスが非常に高くグノーシアに襲われづらい。また彼が守護天使の場合、守護の対象は女性あるいはセツばかりになる。
- レムナン(蟹座の白)
- 識別年齢19歳、カナン576出身、男性。
- 非常におとなしい少年。自分に自信を持っていないような言動が多い。SQの事を知っているループの場合、SQに対して酷く怯えている時がある。
- 直感やステルスに優れるが、カリスマが低く発言の影響力が非常に弱い。また、主人公に対する好感度の初期値が低い[14]ため、ループ回数が少ない時は主人公を攻撃することが多くなる傾向がある。
脚注
外部リンク