クロロフィルa
Magnesium [methyl (3S ,4S ,21R )-14-ethyl-4,8,13,18-tetramethyl-20-oxo-3-(3-oxo-3-{[(2E ,7R ,11R )-3,7,11,15-tetramethyl-2-hexadecen-1-yl]oxy}propyl)-9-vinyl-21-phorbinecarboxylatato(2−)-κ 2 N ,N ′]
識別情報
CAS登録番号
479-61-8
PubChem
6433192
ChemSpider
16736115
UNII
YF5Q9EJC8Y
EC番号
207-536-6
RTECS 番号
FW6420000
CCC1=C(C2=NC1=CC3=C(C4=C([N-]3)C(=C5[C@H]([C@@H](C(=N5)C=C6C(=C(C(=C2)[N-]6)C=C)C)C)CCC(=O)OC/C=C(\C)/CCCC(C)CCCC(C)CCCC(C)C)[C@H](C4=O)C(=O)OC)C)C.[Mg+2]
COC(=O)C9C(=O)c6c(C)c3n7c6c9c2C(CCC(=O)COCC=C(C)CCCC(C)CCCC(C)CCCC(C)C)C(C)c1cc5n8c(cc4n([Mg]78n12)c(c=3)c(CC)c4c)c(C=C)c5C
InChI=1S/C55H73N4O5.Mg/c1-13-39-35(8)42-28-44-37(10)41(24-25-48(60)64-27-26-34(7)23-17-22-33(6)21-16-20-32(5)19-15-18-31(3)4)52(58-44)50-51(55(62)63-12)54(61)49-38(11)45(59-53(49)50)30-47-40(14-2)36(9)43(57-47)29-46(39)56-42;/h13,26,28-33,37,41,51H,1,14-25,27H2,2-12H3,(H-,56,57,58,59,61);/q-1;+2/p-1/b34-26+;/t32-,33-,37+,41+,51-;/m1./s1
Key: ATNHDLDRLWWWCB-AENOIHSZSA-M
InChI=1S/C55H73N4O5.Mg/c1-13-39-35(8)42-28-44-37(10)41(24-25-48(60)64-27-26-34(7)23-17-22-33(6)21-16-20-32(5)19-15-18-31(3)4)52(58-44)50-51(55(62)63-12)54(61)49-38(11)45(59-53(49)50)30-47-40(14-2)36(9)43(57-47)29-46(39)56-42;/h13,26,28-33,37,41,51H,1,14-25,27H2,2-12H3,(H-,56,57,58,59,61);/q-1;+2/p-1/b34-26+;/t32?,33?,37-,41-,51+;/m0./s1
Key: ATNHDLDRLWWWCB-WJQLOWBJSA-M
特性
化学式
C55 H72 MgN4 O5
モル質量
893.49 g mol−1
外観
緑色
匂い
無臭
密度
1.079 g/cm3 [ 1]
融点
152.3 °C , 425 K, 306 °F [ 2] 分解[ 1]
水 への溶解度
不溶
溶解度
エタノール 、ジエチルエーテル によく溶けるベンジン [ 2] 、アセトン 、ベンゼン 、クロホルム [ 1] に可溶
吸光度
本文を参照
特記なき場合、データは常温 (25 °C )・常圧 (100 kPa) におけるものである。
クロロフィルa は、酸素 光合成 で使用されるクロロフィル の1種類である。スペクトルで紫から青とオレンジから赤の波長 からほとんどのエネルギーを吸収し、緑や緑に近い部分はあまり吸収しない[ 3] 。クロロフィルは光を反射しないが細胞壁などの構造により拡散反射された緑色の光が反射光に多く含まれるため、クロロフィルを含む組織は緑色に見える[ 4] 。この光合成色素 は、電子伝達系 における主要な電子供与体としての役割があるため、真核生物 、藍藻 、および原核緑藻 の光合成に不可欠である[ 5] 。クロロフィルaはまた、アンテナ複合体 (英語版 ) において共鳴エネルギーを伝達し、特定のクロロフィルP680 (英語版 ) およびP700 (英語版 ) が配置されている反応中心で終了する[ 6] 。
クロロフィルa の分布
クロロフィルa はほとんどの光合成生物が化学エネルギー を放出するために不可欠であるが、光合成に使用される唯一の色素ではない。すべての酸素光合成生物はクロロフィルa を使用するが、クロロフィルb (英語版 ) のような補助色素 (英語版 ) が異なっている[ 5] 。クロロフィルaは嫌気性 光独立栄養生物である緑色硫黄細菌 にもごく少量含まれている[ 7] 。これらの生物はバクテリオクロロフィル と一部のクロロフィルa を使用するが、酸素を生成しない[ 7] 。酸素非発生光合成 (英語版 ) は、この過程に適用される用語であり、光合成の光反応中に酸素が生成される酸素光合成と異なる。
分子構造
クロロフィルa は、4つの窒素原子が中央のマグネシウム 原子を取り囲むクロリン 環から構成され、他のいくつかの側鎖 と炭化水素 の尾を有する。
長い炭化水素の尾を示すクロロフィルa 分子の構造
クロリン環
クロロフィルa の中心環構造であるクロリン
クロロフィルa は、クロリン と呼ばれる大きな環構造に囲まれたマグネシウムイオン が含まれる。クロリンはピロール に由来する複素環式化合物 である。クロリンの4つの窒素原子がマグネシウム原子を囲み、結合する。マグネシウム中心はその構造をクロロフィル分子として独自に定義する[ 8] 。バクテリオクロロフィル のポルフィリン環は飽和しており、光の吸収に変化を起こす交互に配列した二重結合と単結合はない[ 9] 。
側鎖
緑で囲んだCH3 はC-7位のクロロフィルa のメチル基 である。
側鎖 はさまざまなクロロフィル分子のクロリン環に結合する。側鎖が異なることでクロロフィル分子の特徴が異なり、光の吸収スペクトルを変化する[ 10] [ 11] 。例えば、クロロフィルa とクロロフィルb の唯一の違いはクロロフィルb がC-7位にメチル基ではなくアルデヒド を有する点である[ 11] 。
炭化水素の尾
クロロフィルa は長い疎水性 の尾を持ち、葉緑体 のチラコイド膜 にある他の疎水性タンパク質に分子を固定する[ 5] 。長い炭化水素の尾は、ポルフィリン環から分離すると、地球化学 の研究と石油源の決定に重要なプリスタン やフィタン というバイオマーカーの前駆体となる。
生合成
クロロフィルa の生合成経路はさまざまな酵素 を利用する[ 12] 。ほとんどの植物では、クロロフィルはグルタミン酸 に由来し、ヘム とシロヘム と共有される分岐経路に沿って合成される[ 13] [ 14] [ 15] 。最初の段階では、グルタミン酸をアミノレブリン酸 (ALA) に組み込む。次に、ALAの2つの分子がポルフォビリノーゲン (PBG) に還元され、PBGの4つの分子が結合してプロトポルフィリンIX を形成する[ 8] 。
クロロフィル合成酵素 (英語版 ) [ 16] は反応EC 2.5.1.62 を触媒することにより、クロロフィルa [ 17] [ 18] の生合成を完了する酵素である。
クロロフィリドa + フィチル二リン酸
⇌
{\displaystyle \rightleftharpoons }
クロロフィルa + 二リン酸
これにより、20個の炭素ジテルペン アルコールフィトール がついたクロロフィリドa のカルボキシ基のエステルが形成される。
光合成の反応
光吸収
光スペクトル
クロロフィルa とクロロフィルb の吸収スペクトル。2つを一緒に使用すると、エネルギーを生成するための光の吸収の大きさが高まる。
クロロフィルa は紫 、青 、赤 の光を吸収し、緑 の光を主に反射する。この反射により、クロロフィルは緑色に見える。補助的な光合成色素は吸収される光のスペクトルを広げ、光合成に使用できる波長の範囲を広げる[ 5] 。クロロフィルa にクロロフィルb を並べると、吸収スペクトルが広がる。暗い場所では、植物はクロロフィルa 分子に対するクロロフィルb 分子の比率を大きくし、光合成の収量を増やす[ 10] 。
集光
葉緑体のチラコイド膜内でのエネルギー伝達を伴うアンテナ複合体。反応中心のクロロフィルa は、励起された電子を受容体に伝達する唯一の色素である。
光合成色素による光の吸収により、光子が化学エネルギーに変換される。葉緑体 に放射される光エネルギーは、チラコイド 膜の色素に当たり、それらの電子を励起する。クロロフィルa 分子は特定の波長のみ捕捉するため、生物は黄色の円で示された補助色素を使用して、より広い範囲の光エネルギーを捕捉することがある[ 6] 。次に、捕捉された光を共鳴エネルギーとしてある色素から次の色素に伝達し、反応中心の特殊なクロロフィルa 分子に到達するまでエネルギーを色素から色素へ渡す[ 10] 。これらの特別なクロロフィルa 分子は光化学系II と光化学系I の両方に存在する。これらは光化学系IIではP680、光化学系IではP700と呼ばれる[ 19] 。P680とP700は電子伝達系への主要な電子供与体 である。これらの2つの系は一電子酸化の酸化還元電位が異なる。P700のEm は約500 mVであり、P680のEm は約1,100-1,200 mVである[ 19] 。
主な電子供与
クロロフィルa は光合成のエネルギー段階で非常に重要である。光合成の過程を進めるには2つの電子 を電子受容体 に渡す必要がある[ 5] 。両方の光合成系の反応中心内には酸化還元反応を介して電子を伝達系 に渡すクロロフィル分子の対がある[ 19] 。
出典
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関連項目
外部リンク