クラウン銀貨クラウン銀貨(クラウンぎんか、Silver Crown)とは、イギリスの旧通貨制度における、5シリングに相当する銀貨の名称である。 仕様直径38mm、重量28.2759g、銀純度92.5%のスターリングシルバー。 歴史イギリスが現在のような十進法の通貨制度を取り入れる1971年まで流通していたこの銀貨は、1551年、エドワード6世の時代に初めて発行された。クラウンと言う貨幣単位はそれ以前にも存在したがその時代は金貨として発行された。1526年、ヘンリー8世の改鋳により登場したクラウン・オブ・ダブルローズ金貨が5シリングとされたのに端を発する。 発行当初のクラウン銀貨はハンマーコインであり、現在のような本格的な鋳造コインとしては、1658年発行のオリバー・クロムウェルの肖像を描いたものが最初とされている。 以後歴代の君主が刻まれ、1901年まで流通用として発行されたが、サイズが大きく重量も重いため日常の使用には不便であり、1902年エドワード7世の戴冠記念として発行されて以降は、国家的な行事を記念しての発行となった。ジョージ5世の時代に一時期(1927年〜34年)再度流通用に発行されたがこれを最後に流通貨としての発行は行われていない。 このクラウン銀貨は大型で見栄えがするためコイン収集家の間では人気が高く、特に1847年にヴィクトリア女王即位10周年記念として発行されたクラウン銀貨は、ブラックレターによる銘字が採用されたため、ゴチック・クラウンといわれ、世界で最も美しい銀貨との評判が高い。 1920年にイギリス銀貨はその品位が、.925から.500に引き下げられたため、ジョージ5世とジョージ6世のクラウン銀貨はスターリングシルバーではない。 また、1951年以降は白銅貨となって、額面表示も FIVE SHILLINGS となった。 種類先に述べたとおり、クラウン銀貨の歴史は1551年に遡るが、英国が金本位制を採用した1816年以降に鋳造、発行されたクラウン硬貨には次の各種類がある。
1971年デシマル制度移行後は25ペンス硬貨として、クラウンと同じ仕様の記念硬貨が鋳造されている。これには通常の白銅貨の他に、コレクター向けのプルーフ仕上げのスターリングシルバー製硬貨も鋳造されている。 英連邦のクラウン銀貨イギリス本国以外の英連邦や植民地でも、本国と同じ通貨制度を採用していた国では、クラウン銀貨が発行された経緯がある。ニュージーランドで1935年に発行されたワイタンギ条約の記念クラウンや、南ローデシアで1953年に発行されたセシル・ローズ記念のクラウンはその代表的なもので希少価値も高い。 デシマル後のクラウン十進法制度に移行後は25ペンス硬貨としてこのサイズの記念コインが発行されたが、これも含めてクラウンと呼ぶことが多い。 備考コイン収集の世界では、大型銀貨の代名詞としてクラウンという言葉が用いられている。 クラウン銀貨の図案は当初は紋章が多かったが、ジョージ3世の時代にセントジョージが竜を退治している図案が採用され、以後この図案がクラウン銀貨の代表的な図案になったことはソブリン金貨と同様である。 クラウン銀貨と並行して2シリング6ペンスに相当する半クラウン銀貨も長期に渡って鋳造され流通した。 |