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この項目では、甲虫目キクイムシ科について説明しています。甲殻類のワラジムシ目キクイムシ科については「ワラジムシ目」を、一般的に木を食べる害虫については「木食い虫」をご覧ください。 |
キクイムシ(木食い虫)とは、甲虫目キクイムシ科[1](Scolytidae)に属する昆虫の総称。ゾウムシ科・キクイムシ亜科(Scolytinae)とする場合もある。
概要
ゾウムシ上科に属するが、同じ上科の他の科の昆虫のように吻が長く伸びず、形態の特殊化の程度は進んでいない。成虫・幼虫とも1mm前後から大きくて数mm程度であり、木材への穿孔生活に適応して短い円筒形の微小な昆虫である。
日本産で少なくとも300種以上記載されており、多様性はかなり高い。森林に多くの種が生息し、坑道が掘られた木の幹を砕くとたくさんの幼虫が出てくる。
その名の通り、基本的に成虫・幼虫とも樹木の材を食べる。材の中や樹皮の下に細い巣穴を掘って生活しているが、ほとんどの種が多かれ少なかれ菌類と共生して材の栄養摂取を行っており、甚だしいものはアンブロシアビートル(養菌性昆虫)と呼ばれ、材中に掘った坑道の中に植えつけた共生菌類(アンブロシア菌)のみを食べて生活する。
幼虫・成虫とも、すべての種類が植物食で、食物とする部位はほとんどのものが木材で、一部のものがドングリなど樹木の種子に穿孔する。通常は衰弱した樹木に穿孔する種が多いが、そういう種でも大発生すると健康な樹木を激しく食害することが知られており、森林害虫として重要視されている種も多い。
上記のアンブロシアビートルの中には、同じ坑道で羽化した兄弟姉妹間で交尾して繁殖し、非常に血縁度の高い群れを形成する種がある。
おもな種類
キクイムシ科 Scolytidae
- カワノキクイムシ亜科 Hylesininae
- Hylastini
- マツノスジキクイムシ Hylurgops interstitialis (Chapuis, 1875)
- Hylesinini
- Hylurgini
- Hyorrhynchini
- Phloeosinini
- ギフキクイムシ Phloeosinus gifuensis Murayama, 1954
- ヒバノキクイムシ Phloeosinus perlatus Chapuis, 1875
- ヒノキノキクイムシ Phloeosinus rudis Blandford, 1894
- Polygraphini
- ヤツガタケキクイムシ Polygraphus fulvipennis Niijima, 1941
- アカエゾキクイムシ Polygraphus gracilis Niijima, 1909
- エゾキクイムシ Polygraphus jezoensis Niijima, 1909
- キソキクイムシ Polygraphus kisoensis Niijima, 1941
- オオヨツメキクイムシ Polygraphus magnus Murayama,1956
- メアカンキクイムシ Polygraphus meakanensis Niijima, 1935
- ヒメヨツメキクイムシ Polygraphus parvulus Murayama, 1956
- ヨツメキクイムシ Polygraphus polygraphus (Linnaeus, 1758)
- トドマツノキクイムシ Polygraphus proximus Blandford, 1894
- シャリキクイムシ Polygraphus shariensis Niijima, 1941
- チンナイキクイムシ Polygraphus squamulatus Niijima, 1941
- サクラノキクイムシ Polygraphus ssiori Niijima, 1909
- トウヒノキクイムシ Polygraphus subopacus Thomson, 1871
- ザイノキクイムシ亜科 Ipinae
- Cryphalini
- Crypturgini
- コガネキクイムシ Cyrtogenius luteus (Blandford, 1894)
- クリノミキクイムシ Poecilips cardamomi (Schaufuss, 1905)
- ドングリキクイムシ Poecilips graniceps (Eichhoff, 1877)
- ケブカキクイムシ Poecilips nubilus (Blandford, 1894)
- コーヒーキクイムシ Taphrorychus coffeae (Eggers, 1923)
- Ipini
- Xyleborini
- クワノキクイムシ Xyleborus atratus Eichhoff, 1875
- ガンショキクイムシ Xyleborus ganshoensis Murayama, 1952
- ザイノコキクイムシ Xyleborus minutus Blandford, 1894
- アカクビキクイムシ Xyleborus rubricollis Eichhoff, 1875
- サクセスキクイムシ Xyleborus saxeseni (Ratzeburg, 1937)
- ユズリハノキクイムシ Xyleborus volvulus (Fabricius, 1775)
- ヒメハネミジカキクイムシ Xylosandrus borealis Nobuchi, 1981
- ハネミジカキクイムシ Xylosandrus brevis (Eichhoff, 1877)
- シイノコキクイムシ Xylosandrus compactus (Eichhoff, 1875)
- サクキクイムシ Xylosandrus crassiusculus (Motschulsky, 1866)
- ハンノキキクイムシ Xylosandrus germanus (Blandford, 1894)
- Xyloterini
- キクイムシ亜科 Scolytinae
ナガシンクイムシ科 Bostrychidae
- ヒラタキクイムシ亜科 Lyctinae
ナガキクイムシ科 Platypodidae
- ナガキクイムシ亜科 Platypodinae
脚注
- ^ 甲殻類のワラジムシ目にも同名のキクイムシ科 Limnoriidae があり、キクイムシ Limnoria tripunctata などが属するが、これは海に棲む動物で、水中に没した木材などに穿孔する。[1]
関連項目
ウィキメディア・コモンズには、 キクイムシ亜科に関連するカテゴリがあります。
参考文献
外部リンク
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