ワラジムシ目(ワラジムシもく)および等脚目(とうきゃくもく、学名: Isopoda)は、軟甲綱真軟甲亜綱フクロエビ上目に属する甲殻類の分類群である。等脚類(とうきゃくるい、英: isopod)と総称され[1]、ワラジムシ、フナムシ、ダンゴムシなどを含む。陸上、海水、淡水に住み、体長は0.5 - 1.5 cmのものが多い。雑食性であるが、寄生性の種や海中の木材に穴をあける種もいる。
概要
等脚類には非常に多様な動物が含まれる。陸に進出した甲殻類は多くがこの類である。その種類数は約5000種とされ、フクロエビ上目では最も多い。あまり大きくなるものは少なく、ほとんどが小型の動物である。最大のものはダイオウグソクムシ(体長50 cm)である。
体は扁平気味で細長く、背甲が大きく発達しないため、全体に体節に分かれ、腹面に足が並ぶ様子は端脚目にも似ている。陸産種もあり、身近なものも含まれるが、その多様性の大部分が海中にある、という点でも共通している。
形態
以下のような共有派生形質を持つ。
- 複眼に柄が無く、固着眼となっている
- 背甲が発達しない
- 胸節の附属肢は歩脚状で、外肢を欠く
- 第二触角は単枝型
- 第6腹節が尾節と癒合し、腹尾節 (pleotelson) となる
- 二相性の脱皮(biphasic moulting、体の前半・後半の殻を別々に脱ぐ)を行う
- 心臓が後方(胸節から腹節)にある
- 主に腹肢でガス交換を行う
- 中腸以外の消化管が外胚葉性
- 横紋筋に特有の微細構造を持つ
- 第一顎脚に触肢を持たない
- 第一触角は単枝型、触角鱗はない
- 尾脚は常に単関節
この内1-4は端脚類、5はタナイス目の一部と共通する[2]。
頭部、胸部、腹部は外見からはっきり区別できる。全体に同じような体節がならんでいるように見える例が多い。
頭部に見える節は胸部の第1節(時に第2節まで)が融合しているので、実際には頭胸部であるが、実質的には頭部をなす。
胸部の附属肢のうち、第1対は顎脚となる。腹部の附属肢は2叉形。この部分が拡張して育児嚢となる例も多い。陸産種ではここに腔所を生じて空気呼吸する。
分類
フレアトイクス亜目 Phreatoicidea
スナナナフシ亜目 Microcerberidea
ミズムシ亜目 Asellota
カラボゾア亜目 Calabozoidea
ワラジムシ亜目 Oniscidea
- フナムシ科 Ligiidae
- ナガワラジムシ科 Trichoniscidae
- ヒゲナガワラジムシ科 Olibrinidae
- ウミベワラジムシ科 Scypacidae
- ヒメワラジムシ科 Philosciidae
- ホンワラジムシ科 Oniscidae
- ハヤシワラジムシ科(トウヨウワラジムシ科) Trachelipidae
- ワラジムシ科 Porcellionidae
- コシビロダンゴムシ科 Armadillidae
- オカダンゴムシ科 Armadillidiidae
- ハマダンゴムシ科 Tylidae
ヘラムシ亜目 Valvifera
ヤドリムシ亜目 Epicaridea
コツブムシ亜目 Spaheromatidea
- コツブムシ科 Sphaeromatidae
- イソコツブムシ属 Gnorimosphaeroma
- シオムシ属 Tecticeps
ウオノエ亜目 Cymothoida
- ウミナナフシ科 Paranthuridae
- Anthuridae
- Hyssuridae
- Antheluridae
- エビヤドリムシ科 Bopyridae
- Cryptoniscidae
- ウミクワガタ科 Gnathiidae
- スナホリムシ科 Cirolanidae
- Bathynomus
- オオグソクムシ Bathynomus doederleini : 日本最大のワラジムシ目
- ダイオウグソクムシ Bathynomus giganteus (Giant isopod) : 体長35 cm。ワラジムシ目中最大の種。
- グソクムシ科 Aegidae
- ウオノエ科 Cymothoidae
- Rhexanella
- タイノエ Rhexanella verrucosa
- Nerocila
- ニセウオノエ科 Corallanidae
キクイムシ亜目 Limnoriidea
- キクイムシ科 Limnoriidae
- キクイムシ属 Limnoria
- キクイムシ Limnoria tripunctata :体長1~4mm程度。黄白色をしていて体表には細かい毛が密生している。木材などにも穿孔するが褐藻アラメの仮根部などからも見つかる。
Phoratopidea
Tainisopidea
脚注
参考文献
関連項目
ウィキメディア・コモンズには、
ワラジムシ目に関連するカテゴリがあります。
外部リンク