カム・アズ・ユー・アー
「カム・アズ・ユー・アー」(Come as You Are)は、アメリカのグランジバンド、ニルヴァーナの楽曲である。バンドのフロントマンであるカート・コバーンが作曲し、スタジオアルバム『ネヴァーマインド』からのセカンドシングルとして1992年に発売した。アメリカン・トップ40において2曲目のヒットになり、Billboard Hot 100で32位になった。ミュージック・ビデオはケヴィン・カースレイクが監督した。彼は『ネヴァーマインド』のカバーからインスピレーションを得てビデオを撮っている。 曲の成り立ちと録音「カム・アズ・ユーアー」はニルヴァーナが1991年に『ネヴァーマインド』の録音前にブッチ・ヴィグに送ったリハーサル・テープの中に入っていた1曲である[1]。グループはこの曲を1991年初めにサウンド・シティスタジオでヴィグと録音した。コバーンはギターソロを2テイク録音し、ボーカルを3テイク録音した。1テイク目が使われた[2]。ヴィグはそれからコバーンにボーカルをダブルトラックにするように頼んだ。ハーモニー部分のオーバーダブセッションで、コバーンはギターソロ後に「memoria」と4回歌う部分で「And I don't have a gun」というフレーズを間違えて早く歌ってしまっている。彼はその間違いを最後までそのままにしておいた。ヴィグはコバーンが「memoria」と歌っている部分をサンプリングし、曲の終わりのほうで2回挿入した[3]。 曲の構成と歌詞曲はコバーンがギターリフを8秒演奏するところから始まる。コバーンはリフで淡々とした感じを出すためにエレクトロ・ハーモニクス・スモール・クローンギターペダルを使用している。ヴァース部分はムーディーに抑えられている。コーラスに入ると、曲はフルボリュームになる。ダイナミクスの変化はニルヴァーナが良く使ったテクニックである。この曲はコバーンの長いギターソロが収められている。ヴィグはカートは長いソロを弾かなかったといっている。 コバーンは「カム・アズ・ユー・アー」の歌詞を矛盾して書いているという。そして、この曲が「人々についてと彼らはどう行動するべきか」[2]を描いているという。 発売「カム・アズ・ユー・アー」がポストパンクバンドのキリング・ジョークが1984年に出したシングル「エイティーズ」にあまりに似ていることに警戒して、ニルヴァーナとそのマネージメントは『ネヴァーマインド』からの2枚目のシングルを何にするか決められずにいた。ニルヴァーナのマネージメントをしていたダニー・ゴールドバーグは「カム・アズ・ユー・アー」は他の曲よりも良いと全員が考えていたことと、しかし後にキリング・ジョークが文句を付けてきたことを考えるとコバーンの似すぎているという悩みは正しかったと述べている[4]。「カム・アズ・ユー・アー」はそれでもゴールドバーグがよりコマーシャルな曲を好んだこともあって発売されたと伝記作家は書いている[5]。 キリング・ジョークのメンバーは「カム・アズ・ユー・アー」のギターリフが「エイティーズ」のリフを盗用していると文句を付けた。しかしながらバンドは著作権法違反の訴えを出さなかった。これをローリング・ストーン誌は「個人的かつ財政的な理由」だと推測している[4]。また、キリング・ジョークは訴えを起こしたが裁判所が受理しなかったであったり、コバーンの死で無くなってしまったという相反する記述もある。 リフは「ライフ・ゴーズ・オン」に似ているとの指摘も受けていた。この曲はダムドが1982年に発売したアルバム、『ストロベリーズ』に収録されている[6]。 当初「スメルズ・ライク・ティーン・スピリット」で基礎を作ることで、「カム・アズ・ユー・アー」がラジオでかけられるようにするはずだった。しかし、「スメルズ・ライク・ティーン・スピリット」が驚くほどの大ヒットとなってバンドの知名度を一気に上げ、「カム・アズ・ユー・アー」がその勢いを維持する形になった[7]。1992年3月にシングルとして発売後、「カム・アズ・ユー・アー」はBillboard Hot 100で32位まで上昇した。これは2曲目にして最後のトップ40ヒットとなった[8]。シングルはチャート上に18週登場した[9]。また、ビルボードのメインストリームとモダン・ロック・トラックスでは3位になっている[8]。イギリスではトップ10に入っている。最高で9位になった[10]。 ミュージック・ビデオミュージック・ビデオはケヴィン・カースレイクが監督した。彼は後に「リチウム」、「イン・ブルーム」、「スリヴァー」のビデオも監督している。「スメルズ・ライク・ティーン・スピリット」のサミュエル・ベイヤーが監督したビデオであまり満足いく結果を得られなかったコバーンは、カースレイクの印象主義的なスタイルを選んだ。コバーンはネヴァーマインドのアルバムカバーを越えるアイディアを考え付かず、カースレイクにクリップのアイディアを作らせた[11]。バンドはハリウッド・ヒルズにある公園で外でのシーンをメインのビデオシーンに先駆けて撮った。 ビデオではバンドが暗い部屋にいる。バンドの手前には水が流れていて、メンバーの顔をぼやけさせている(コバーンのアイディア)[11]。ビデオを通して、生命体が胚状態にあるように細胞が驚くべき速さで増殖しているクリップが見られる。ビデオクリップはカート・コバーンがシャンデリアを部屋の中で揺らしている光景も見られる。そして、その部屋は水が流れている。さらに、犬がコーン・カラーを付けている映像もビデオクリップには入っている。赤ちゃんが水の中で泳いでいるイメージ(ネヴァーマインドのカバージャケットへのオマージュ)と銃が水に浮いている部分も出てくる。最後にはバンドが出てきて、コバーンが前にせり出し、地面にもたれてカメラにキスして終了する。 ウェルカム・トゥ・アバディーン![]() 2005年、コバーンの故郷であるワシントン州アバディーンにある標識が立てられた。その標識は「Welcome to Aberdeen: Come As You Are」と読める。これはコバーンへの賛辞である。この標識は2004年5月に設立されたNPOのカート・コバーン追悼委員会が出費して作った。委員会はカート・コバーン・メモリアル・パークとユース・センターを作る計画も持っている[12]。 収録曲
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参考文献
脚注
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