オロモウツ市電

オロモウツ市電
オロモウツ市電の主力車両である超低床電車(2013年撮影)
オロモウツ市電の主力車両である超低床電車2013年撮影)
基本情報
チェコの旗 チェコ
所在地 オロモウツ
種類 路面電車[1][2][3]
路線網 6系統[4]
開業 1899年[5][6]
運営者 オロモウツ公共交通会社チェコ語版[2]
路線諸元
路線距離 15 km[7]
営業キロ 45 km(2021年現在)[3]
軌間 1,435 mm[5][6]
路線図(2015年
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オロモウツ市電(オロモウツしでん、チェコ語: Tramvajová doprava v Olomouci)は、チェコの都市・オロモウツ市内に存在する路面電車2021年現在は路線バスと共にオロモウツ市の完全子会社であるオロモウツ公共交通会社チェコ語版(Dopravní podnik města Olomouce, a.s.、DPMO)による運営が行われている[1][2][5][6]

歴史

現在のチェコの都市・オロモウツに鉄道が開通したのは1841年10月7日であったが、都市を囲む要塞や周辺の保護区の影響により、ウィーンなど他都市への玄関口となるオロモウツ駅は都市の中心部と離れた場所に建設された。そのため、オロモウツ駅と市街地を結ぶ公共交通機関が必要となり、1845年から乗合馬車の運行が実施される事となった。やがて時代を経る中で、これに代わる新たな交通機関が求められ、1890年代から鉄道の建設計画が進められた。当初はスチームトラムを用いた鉄道路線が検討されたが、実施が困難である事が判明し、発電所建設を含めた路面電車の建設計画へと切り替えられた。そして、運営権を獲得したジーメンス・ウント・ハルスケにより1897年に建設が始まり、1899年4月1日に営業運転を開始した。これは現在のモラヴィア地方における初の電気鉄道である[5][6]

開通後、路面電車は多くの利用客を獲得し、開通翌年、1900年の利用客数は1,123,772人を記録した。その後1904年にオロモウツ市がジーメンス・ウント・ハルスケから運営権を買収した一方、1930年代まで断続的に路線網の延伸が続き、輸送力増強のための複線化工事も進行した。最大の利用客数を獲得したのは第二次世界大戦下の1944年で、19,567,700人を記録した[5][6]

戦後、チェコスロバキア時代には他都市と同様にバスへの置き換えが検討された時期もあったが実現せず、新規路線の建設こそ行われなかったものの新型車両の導入や複線化工事、路線の整備が継続して行われた。そしてビロード離婚を経てチェコが成立した1990年代以降は欧州連合の支援を得た近代化計画やスイスの財政支援を受けた延伸が進められている[1][5][6][8][9]

系統

2021年4月現在、オロモウツ市電では以下の6系統が運行している[4]

系統番号 起点 終点 運行日
(時間帯)
備考
1 Nová Ulice Fibichova 平日 大半の列車は超低床電車で運行[10]
3 Trnkova Žižkovo náměstí 平日・土休日 全列車とも超低床電車で運行[11]
5 Trnkova Žižkovo náměstí 平日 全列車とも超低床電車で運行[12]
7 Neředín Fibichova 平日・土休日 半数以上の列車は超低床電車で運行[13]
U Nová Ulice Neředín, krematorium 平日・土休日 半数以上の列車は超低床電車で運行[14]
X4 Nová Ulice Pavlovičky 平日・土休日 半数以上の列車は超低床電車で運行[15]

車両

オロモウツ市電の車庫(2014年撮影)

2021年1月1日現在、オロモウツ市電に在籍する営業用車両は以下の通り。多くの車両は車体右側にのみ乗降扉が存在する片方向型車両だが、2010年代以降延伸が進められている区間は終端に折り返し用ループ線が設置されていないため、車体両側に乗降扉を設けた両方向型車両の導入も継続して行われている[3][16]

これらに加え、オロモウツ市電では過去に営業運転に使用された2軸車が動態保存用として3両在籍している[3][17]

形式 両数 備考
タトラT3 タトラT3R.P 18両 機器更新車両
シュコダ03T 4両 部分超低床電車
3車体連接車
イネコン 01 トリオチェコ語版 3両 部分超低床電車
3車体連接車
ヴァリオLF ヴァリオLF.E 3両 部分超低床電車
ヴァリオLFR.E 7両 部分超低床電車
機器流用車
ヴァリオLFR.S 11両 部分超低床電車
機器流用車
ヴァリオLF プラス/o 14両 部分超低床電車
両方向型車両
EVO1 5両 超低床電車
EVO1/o 3両 超低床電車
両方向型車両

脚注

注釈

出典

  1. ^ a b c 宇都宮浄人「海外のLRT事情・LRTをめざすチェコ ~路面電車製造の老舗の現状」『路面電車EX vol.13』、イカロス出版、2019年6月20日、111-113頁、ISBN 9784802206778 
  2. ^ a b c O nás”. Dopravní podnik města Olomouce, a.s.. 2021年4月25日閲覧。
  3. ^ a b c d Zajímavosti”. Dopravní podnik města Olomouce, a.s.. 2021年4月25日閲覧。
  4. ^ a b Zastávkové jízdní řády ve formátu PDF”. Dopravní podnik města Olomouce, a.s.. 2021年4月25日閲覧。
  5. ^ a b c d e f I.Hloch, Ing.T.Potěšil, J.Růžička. “Historie tramvajové dopravy”. Dopravní podnik města Olomouce, a.s.. 2021年4月25日閲覧。
  6. ^ a b c d e f Historie tramvajové dopravy v Olomouci”. STATUTÁRNÍ MĚSTO OLOMOUC. 2021年4月25日閲覧。
  7. ^ OLOMOUC”. UrbanRail.Net. 2021年4月25日閲覧。
  8. ^ Slavnostní zahájení stavby tramvajové trati”. STATUTÁRNÍ MĚSTO OLOMOUC (2012年6月14日). 2021年4月25日閲覧。
  9. ^ Projekty z fondů EU”. Dopravní podnik města Olomouce, a.s.. 2021年4月25日閲覧。
  10. ^ Linka 1 /tramvaj/ platnost od 13.12.2020 - výluka přes centrum”. Dopravní podnik města Olomouce, a.s.. 2021年4月25日閲覧。
  11. ^ Linka 3 /tramvaj/ platnost od 6.4.2021 - výluka přes centrum”. Dopravní podnik města Olomouce, a.s.. 2021年4月25日閲覧。
  12. ^ Linka 5 /tramvaj/ platnost od 6.4.2021 - výluka přes centrum”. Dopravní podnik města Olomouce, a.s.. 2021年4月25日閲覧。
  13. ^ Linka 7 /tramvaj/ platnost od 13.12.2020 - výluka přes centrum”. Dopravní podnik města Olomouce, a.s.. 2021年4月25日閲覧。
  14. ^ Linka U /tramvaj/ platnost od 6.4.2021 - výluka přes centrum”. Dopravní podnik města Olomouce, a.s.. 2021年4月25日閲覧。
  15. ^ Linka X4 /tramvaj/ platnost od 13.12.2020 - výluka přes centrum”. Dopravní podnik města Olomouce, a.s.. 2021年4月25日閲覧。
  16. ^ Dopravní podnik města Olomouce, a.s.” (チェコ語). Pragoimex. 2021年4月25日閲覧。
  17. ^ Pronájem vozidel”. Dopravní podnik města Olomouce, a.s.. 2021年4月25日閲覧。

外部リンク