オルニトミムス
オルニトミムス(Ornithomimus。オルニソミムスの表記も見られる)は、後期白亜紀マーストリヒチアン期に、現在の北アメリカ大陸に生息していた、オルニトミムス属に含まれる非鳥類型獣脚類の恐竜である。学名の意味は「鳥(ornith)に似たもの(mimus)」(中国でも『似鳥龍(スーニャオロン)』と呼ばれる)。一般にダチョウ恐竜とも形容される[1]オルニトミムス科を代表する恐竜で、三本指の脚、細長い腕、長い首、鳥のような頭で特徴付けられる。ダチョウに似た姿で同様に足が速かったとされる[2]。2012年には、カルガリー大学や北海道大学などの研究チームより羽毛を生やしていた可能性が報告された(後述)[3]。 生物学的特徴全長は約3.5メートル。オルニトミムス類の中でも最も早く記載された属であるが、生息年代はグループの中でも最後期にあたる。グループの名称の元になった属であるが、化石資料はストルティオミムス(ダチョウに似たもの、の意)の方が豊富であり、オルニトミムス類として知られる特徴はこちらによるところが大きい。 肉食恐竜からなる獣脚類でありながら口には歯がなく、くちばし状であった。そのため食性が不明であったが、長年はおそらく小動物を丸呑みにしていたのだろうと考えられてきた。しかし、1995年にカナダで発見された非常に保存状態のよい同属の一種、O. edmontonicus の頭部化石の研究からくちばしにアヒルのくちばしに似たスリットを多数持つことがわかった[4]。この特徴から現生の水鳥のように植物を漉き取って食べる植物食の恐竜であった可能性がある。 他のオルニトミムス科との相違点としては非常に細く、まっすぐな手と足の指、およびほぼ同じ長さの中手骨と指骨がある。特にナマケモノに似た手は特徴的で、かつて古生物学者オズボーンはこれは食事の際に枝を引っ掛けるためではないかと指摘していた[5]。 羽毛の発見2012年10月には、その体表に羽毛が存在したことが報告された[3]これはロイヤル・ティレル古生物学博物館に所蔵される、生後1年に満たないと思われる幼若個体から成体までの3つのO. edmontonicusの標本(TMP 2008.70.1, TMP 2009.110.1, TMP 1995.110.1)を精査したことにより得られたものである。幼若個体では明らかな毛状の羽毛が確認され、成体の標本、特にTMP 1995.110.1(本記事のトップ画像の化石)では、特に前脚の骨に、軸を持った(現生鳥類の雨覆羽に近いと思われる)羽毛の跡が発見された。このことから、幼体は毛のような構造で覆われ、成体では両前脚にpennibrachia(ラテン語で「翼腕」の意。鳥の翼状の前脚だが、飛行や滑空を行うには適さない状態)を持つことが示唆された。それまで羽毛恐竜といえば中国の遼寧省などで多く見つかっていたが、この発見により北米大陸などでも多くの羽毛恐竜が見つかる(あるいは保存状態の悪さからこれまで見落とされていた)可能性が示唆される。[3]。 オルニトミムス発見の経緯最初のオルニトミムス属はマーストリヒト期、アメリカ合衆国のデンバー累層から発見された脚の基部と部分的な手の骨に基づくO. ヴェロックス O. velox である。その後エドモントニアン期のO. エドモントニクス O. edmontonicus や恐竜州立公園 (Dinosaur Provincial Park) の完璧に近い標本(種未称)などより状態のよい標本がカナダから見つかっている。 系統上の位置以下に、獣脚類におけるオルニトミムス類の系統的位置の一説を示す。[6]
文化面ジュラシックパークシリーズでは近縁種のガリミムスと役回りが被っているため目立った活躍はない。 第一回において度々登場し、主人公のナイジェル・マーヴェンに素手で捕獲されたり、群れ一つが丸ごとタイムゲートを通って現代へ送られたり、メスのティラノサウルスに狩られるなど、脇役ながら印象に残る場面が多い。 パークでも繁殖や採食について詳しく触れられている。 各メディアに先駆けて最新研究を取り入れ、前腕に翼を生やした姿で登場した。 出典・脚注
参考文献関連項目 |