エンテロドン科は始新世後期から中新世前期にかけて中国・ヨーロッパ・北アメリカに分布していた。同じ環境に生息した他の動物では、ネコに似たニムラブス科のサーベルタイガー、クマに近縁なアンフィキオン科、肉歯目ヒアエノドン科が頂点捕食者の生態的地位を占めていた。エンテロドン科の歯では肉を切り裂くことができず、既知の動物食性哺乳類が全て歯の鋸歯状構造などを独自に進化させていることから、エンテロドン科が捕食動物であった可能性は高くない。しかしエンテロドン科は当時の環境において最大の生物の1つであり、摂食可能なものは容易に手に入った。歯列の研究から、顎の力が非常に強かったことと歯が極端に摩耗していることが判明している。正面の歯は噛み合っていたため、エンテロドン科は草本植物を刈り取って採食することはできなかったと推測されている。正面の歯の溝の摩耗は、葉や樹皮を剥がして食べていたことを示唆している。しかし、磨り潰すための歯を持たなかったことは、彼らが完全には繊維質な植物に適応していなかったことを表している。アーケオテリウムが持つ三角形の臼歯に見られる pie crust 骨折摩擦は現代のハイエナにも見られ、骨を破砕するための特殊化も複数確認されている。ヒトやブタおよび大半のクマと同様に、エンテロドン科の動物は多様な食物を摂食するために破砕用の大臼歯を持っていた。彼らは動物の死体と、現代のブタやペッカリーと同様に果実・種子・根・樹皮・葉・キノコ・無脊椎動物そして時に小動物を捕食していた可能性がある[15]。
^ abI. A. Vislobokova. "The oldest representative of Entelodontoidea (Artiodactyla, Suiformes) from the Middle Eocene of Khaichin Ula II, Mongolia, and some evolutionary features of this superfamily" Paleontological Institute, Russian Academy of Sciences, Profsoyuznaya ul. 123, Moscow, 117997, Russia
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