インターミッション (映画用語)インターミッション(英語: intermission)は、映画館で行われる途中休憩のことで、映画の中でも、上映時間が長時間となる上映途中に行われるものである。 映画館が勝手に上映を中断して休憩を入れているわけではなく、映画の制作者側が休憩を入れること、および休憩を入れる箇所を決めている。インターミッションのある映画は、2023年現在ではほとんど制作されなくなっている。 歴史インターミッションは、フィーチャー映画(長編映画)の登場とともに誕生した。 映写の際、上映用フィルムを巻き取ったリールを映写機にセットして上映するが、リール1本に巻き取れるフィルムの長さには限界がある。このため、リールを2本以上必要とする長さの映画では、映写機にセットしたリールを交換する必要がある。 当時は、リール1本を上映し終わったら、途中休憩(インターミッション)を入れて、その間にリールを交換して、上映を再開していた[1][2]。 その後、映画館ではフィルム映写機を2台設置するようになり、映写機を交互に使うことで、上映を途切れさせることなくリールを交換できるようになった[3]。 その後、ノンリワインド装置が登場したり、フィルムを使わないデジタル上映が登場したため、リール交換そのものが不要になってきている。リール交換のたびに途中休憩を入れる必要は無くなっても、観客に休息を与えるためや、映画館での飲食物の売り上げを伸ばすため、インターミッションは入れられ続けていたが、2015年の段階ではインターミッションのある映画はほとんど制作されなくなっている。 長編映画に観客が慣れていないときは、観客に休息が必要ではあったが、長編映画に観客が慣れてしまうと、休息は不要となった。2015年の段階では、観客は2時間前後の上映時間を長いとは感じず、3時間近い作品であっても途中休憩が入らないことがほとんどである。 また、かつては4時間を超えるような映画も制作され、長編映画に慣れた観客でもさすがに休息が必要であったため、途中休憩が入れられていた。しかし、2015年の段階ではそのような長時間の映画はほとんど制作されなくなり、作ったとしても前後編に分けて公開し、入場料を2回取ることで採算を取るようになってきている。長編かどうかは関係なく現在でもインターミッションがあるボリウッド映画を除けば、インターミッションを用いることは一般的ではなくなった。 とはいえ、上映時間が2時間を超えるような長い映画を映画館で見るのをためらう傾向もあり、2023年のGEM Partnersの調査によると、普段あまり映画館に行かない人ほど上映時間を気にしていることが判明しているほか、トイレ休憩を設けてほしいという声もあったとしている[4]。他方、2023年の映画『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』(上映時間:3時間26分)は製作者の意向によりインターミッションは設けられなかったものの、一部の映画館が独自にインターミッションを入れたことに対し、製作会社が契約違反を指摘した[5]。 このほか、旧作上映の際、公開当時はインターミッションがあっても、再上映の際の観客には上映時間の休息が必要ないと判断され、インターミッションが無くなる場合もある。 また、2作以上の作品を同枠で公開する所謂「同時上映」の場合や、旧作の再上映で初編と続編を連続上映するような場合は、フィルムの入れ替えが必要になるため、観客の休息も兼ねて休憩を入れるが、これは休憩前と休憩後で作品が別であるため、通常はインターミッションとは見做されない。 インターミッションのある映画日本で劇場公開された映画のうち、インターミッションのある主な作品を以下にあげる。 作品によっては、上映プリントにサウンドトラックのみが記述された映像の無いコマが設けてあり、インターミッション中も映写は続いており、場内には上映プリントに刻まれた音楽のみが流れる。この場合、その音楽(もしくはインターミッションそのもの)を間奏曲と呼んだりし、作品の上映分数にインターミッションの時間も含まれている。 洋画
日本映画
参考インターミッションのない映画劇場公開時の上映時間が3時間を超えても、インターミッションを入れない映画もある。以下は、その主なもの。 洋画(休憩なし)
日本映画(休憩なし)前後編に分けて公開された映画以下は、前後編に分けて公開された主な映画。 洋画(前後編)
日本映画(前後編)日本映画においては、2010年前後、人気ドラマの映画化作品『のだめカンタービレ 最終楽章』『SP THE MOTION PICTURE』など以降、前後編2部作の形で公開される大作映画が多くなった[11]。これらの作品はプロモーションなども大々的に行われる傾向が大きいが、興行収入は物語の完結する後編の収入が前編よりも下がる傾向がある[11]。
関連項目
脚注
|