イリス (列車)
イリス(ラテン語: Iris)は、ベルギー王国の首都ブリュッセルとスイス連邦バーゼル=シュタット準州バーゼルを結ぶユーロシティ(EC)列車である。ベルギー国鉄、ルクセンブルク国鉄、フランス国鉄及びスイス連邦鉄道によって共同運行されている。 概要1974年に運行を開始した。列車名の由来はツェンネ川流域に広く群生するキショウブ(黄菖蒲)で、1991年からブリュッセル首都圏地域を象徴する花となっている。 運行開始当初の列車種別は全車1等車のTEE(Trans Europ Express)であったが、1981年からインターシティとなり、1987年5月31日以降はユーロシティとなっている。2011年にジャン・モネが廃止されたことにより、イリスはヴォーバンとともにブリュッセルとスイスを毎日結ぶユーロシティ列車のひとつとなった。 歴史TEE→「エーデルヴァイス (列車)」も参照
イリスは、1974年5月26日にエーデルヴァイスとペアとなるTEEとして、ブリュッセル - チューリッヒ間で運行を開始した。これはヨーロッパの三大権力機構が存在するブリュッセル(欧州連合理事会)、ルクセンブルク(欧州司法裁判所)とストラスブール(欧州議会)を行き来する需要が高まったためで、朝にブリュッセルを発車し、午後チューリッヒから折り返すダイヤであった。 列車には、運行開始時の1974年5月から1981年5月までスイス国鉄RAe TEE II形電車が使用されていた。これはスイス連邦鉄道が1961年からTEEに投入していた電車で、4種類の電化方式に対応していた(直流1,500 V/3,000 V、交流25 kV 50 Hz/25 KV 16⅔ Hz)。車輛は固定編成で、動力車は編成中ほどの4号車に設けられた動力集中式列車であった。運転最高速度は時速160 kmで、車体にはスイスの軽量型客車(Leichtstahlwagen)の設計が採用された[1]。イリスの運転開始当初、車両はエーデルヴァイス、ゴッタルドとの共通運用であった。[2]
イリスの乗車率は想定した需要を大きく下回り、片道の旅客が50人に満たない日もあった。このため、他のTEE列車と共通の経済的な運用は全く不可能となり、ベルギー国鉄とフランス国鉄は、1974年、1975年のダイヤ改正時、すでに編成を5両への短縮する提案を行い、その直後にはイリスとエーデルヴァイスの廃止を呼びかけていたほどであった。その後2回のダイヤ改正実施後でも利用者の増加が見られなかったため、1976年のヨーロッパ時刻表会議で両列車の廃止が決定された。[2] 1979年5月27日より、チューリヒ発列車の停車駅にアールガウ州バーデンが追加された。[4] インターシティ1981年5月30日より、イリスに初めて2等車が連結され、列車種別はインターシティへ降格となった。列車番号はIC394/395が使用され、使用車輌は電車からスイス連邦鉄道の客車Eurofima型客車に切り替えられている。 ユーロシティ1987年5月31日のダイヤ改正でユーロシティが発足した。イリスは新設されたユーロシティに編入され、同時にスイス側起終点駅がグラウビュンデン州クールまで延長された。 ユーロシティ編入後、列車番号はEC94/95となったが、インターシティ時代と運行路線に変化はなかった。その後、列車番号はEC96/97に改められた。2013年12月にダイヤ改正が行われ、運行区間が往復ともブリュッセル - バーゼル間に短縮された。 2015年時点での使用車両はスイス国鉄所属の7両編成で、食堂車の連結は無かった。 2016年4月3日ダイヤ改正により、前日の4月2日にイリス及びヴォーバンの運行終了。 時刻表以下に2014年夏季の時刻表を示す[5]。なお、各国の間に時差はない。
脚註参考文献
関連項目
外部リンク |