アンドロメダ座υ星b (英語 : Upsilon Andromedae b )は、アンドロメダ座 の方向に約44光年の位置にある太陽系外惑星 である。赤色矮星 で伴星のアンドロメダ座υ星Bと区別するため、アンドロメダ座υ星Abと呼ばれることもある。この惑星は、ソーラーアナログ のアンドロメダ座υ星 を、ほぼ5日間で公転しているのが発見された。1996年6月にジェフリー・マーシー とポール・バトラー が、最初のホットジュピター の1つとして発見した。アンドロメダ座υ星bは、惑星系の中で最も内側を公転している。
発見
既に発見されている他の多くの太陽系外惑星と同様に、アンドロメダ座υ星bは、惑星の重力による視線速度 の変化によって発見された。視線速度の変化は、アンドロメダ座υ星のスペクトルのドップラー効果 の変化から検出された。1997年1月に、かに座55番星b 、うしかい座τ星b とともに発見が公表された[ 8] 。
アンドロメダ座υ星bの軌道。
ペガスス座51番星b とともに、通常の恒星を公転する初めての太陽系外惑星であり、アンドロメダ座υ星bは太陽 と水星 の間よりも近い軌道を公転している。公転周期は4.617日であり、軌道長半径は0.0595天文単位である[ 2] 。
アンドロメダ座υ星bを発見した視線速度法の制限として、質量は下限しか示されない。アンドロメダ座υ星bの場合、この下限は0.687木星質量 と推定されるが、軌道傾斜角から求めた値では、真の質量はもっと大きいと考えられる。しかし現在では、軌道平面からの傾斜角は30°以上であり、真の質量は木星質量の0.687倍から1.37倍と考えられている[ 9] 。共平面性は見られず、c、dとの相互の傾斜角は35°である[ 4] 。
物理的な特徴
その大きな質量から、アンドロメダ座υ星bは表面に固体を持たない木星型惑星 であると推定されている。惑星が間接的にしか検出されていないため、半径や構成成分といった物理的な特徴は分かっていない。
スピッツァー宇宙望遠鏡 により、惑星の表面温度は約1400℃であると測定されたが、惑星の片面は-20℃から230℃、もう片面が1400℃から1650℃であった[ 10] 。この温度の差によりアンドロメダ座υ星bは常に同じ面をアンドロメダ座υ星Aに向けていると推定されている。
Sudarskyらは、この惑星は木星と同じような組成を持ち、環境は化学平衡に近く、大気上層にはケイ素 や鉄 の反射雲があると推定している[ 11] 。反射雲は高温高気圧のガスの上にある成層圏 に存在し、恒星からの熱を吸収している[ 12] 。その周りには暗く不透明な、おそらくバナジウム や酸化チタン でできた雲が取り巻いているが、ソリン のようなその他の成分がある可能性も否定されていない。
潮汐力 のせいで弾き出されてしまうか、惑星系の年齢よりずっと短い期間で破壊されてしまうため、大きな衛星は持たないと考えられる[ 13] 。
アンドロメダ座υ星bとペガスス座51番星bは、超高感度偏光計 で直接観測が期待される候補の惑星となっている[ 14] 。
恒星への影響
アンドロメダ座υ星Aの彩層 の活動の活発化は、アンドロメダ座υ星bの影響だと考えられている。観測により、恒星の惑星側から169°の位置にホットスポットが存在することが分かったが、これは恒星と惑星の磁場 の相互作用が原因だと考えられている。この機構は木星 とイオ の相互作用と同様のものだと考えられている[ 15] 。
名称
2015年 、国際天文学連合が太陽系外惑星系の固有名を募集した際、アンドロメダ座υ星bも対象にされた。募集の結果、アンドロメダ座υ星bにはSaffar という固有名が付けられた[ 7] 。
関連項目
脚注
注釈
^ a b パーセクは1 ÷ 年周視差(秒)より計算、光年は1÷年周視差(秒)×3.2615638より計算
^ 相互比較参照モジュールなどから推定。
出典
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外部リンク