アホ (Ajo) は、アメリカ合衆国アリゾナ州南部、ピーマ郡に位置する町。正式な都市・町村ではない所属未定地、CDPである。人口は3,304人(2010年国勢調査[1])。
アホはアリゾナ州道85号沿いにあり、メキシコ国境から70kmほどである。そのため、人口に占めるヒスパニック・ラテン系の割合が37%と高くなっている。また、オルガン・パイプ・カクタス国定公園 (Organ Pipe Cactus National Monument) に最も近い町でもある。
同地の発音は日本語では「阿呆」に近いが、スペイン語ではにんにくを意味する語であり、先住民のパパゴ族(現在のトホノ・オーダム族)の言葉では絵を描くことを意味する。パパゴ族はこの地域から赤色の絵具を得ていたのである。たまねぎのようなアホユリもこの近くに生息する。また、アホにはサワロサボテン(Cactoideae)やオコチロなどのソノラ砂漠の植物も自生している。
歴史
アホには鉱石の埋蔵量が多かったため、古く先住民やスペイン人、アメリカ人は鉱産資源を採取していた。1800年頃には「古いこうもり穴」(Old Bat Hole) とよばれるスペインの鉱山があったが、後に先住民に襲撃されたため放棄された。トム・チャイルズ (Tom Childs) は1847年に最初のアメリカ人としてこの地を訪れ、20m程のシャフトやメスキートのはしご、生皮の手桶などが揃えられている鉱坑跡を発見した。良質の銅鉱石が採掘されたためアホはアリゾナ初の銅鉱山となり、溶錬のために鉱石はウェールズに海輸された。
しかしながら、1900年頃に低質の銅鉱石を製錬する方法が発明されるまで、アホはあまり注目されることはなかった。1906年にはジョン・グリーンウェイ大佐がニュー・コーネリア・カッパー社 (New Cornelia Copper) を立ち上げ大規模な拡大を行った。1921年、アメリカ最大の銅会社であるフェルプス・ドッジ社 (Phelps Dodge) がニュー・コーネリア社を買収した。その後何十年にも渡ってアホでは1,000人以上のフェルプス・ドッジ社の従業員が働いていたが、1983年に激しいストライキの最中に閉山した。現在ではアリゾナ州の多くの他地域同様、リタイアした高齢者が居住する地域となっている。
地理
アホは北緯32度22分53秒 西経112度52分10秒 / 北緯32.38139度 西経112.86944度 / 32.38139; -112.86944 (32.381348, -112.869407) に位置している。日本では八代市(熊本県)や延岡市(宮崎県)とほぼ同緯度である。
アメリカ合衆国統計局によると、アホは総面積 72.7km² (28.1mi²) である。全域が陸地であり、水域はない。
アホはアリゾナ州の多くの他地域同様、1年を通じて温暖で、乾燥している。そのため、リタイアした高齢者が多く住む地域となっている。ケッペンの気候区分ではBW(砂漠気候)に属す。
街は南北に伸び、南端に採掘場があった。銅を露天掘りしていたため、現在でも直径1.5kmほどのほぼ円形のすり鉢型の採掘跡が残っている。すり鉢の底まで約350m掘り進んだ。街の東には一辺が1kmから1.5kmに及ぶ3つの選鉱用池の跡があり、街自体とほぼ同じ面積を占めていた。採掘場の南には小さな山があり、南から北に向かって街は緩やかな坂の上に広がる。乾燥地であるため、無数の枯れ川が南から北に流れ、周囲は一種の悪地を成している。最大の枯れ川はギブソン涸れ谷 (Gibson Arroyo) と呼ばれている。
気候
アホ (1971-2000年; 極値1914-2001年)の気候
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月 |
1月 |
2月 |
3月 |
4月 |
5月 |
6月 |
7月 |
8月 |
9月 |
10月 |
11月 |
12月 |
年
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最高気温記録 °C (°F)
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29 (85)
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33 (92)
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37 (98)
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39 (103)
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44 (111)
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46 (115)
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47 (117)
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46 (115)
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45 (113)
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42 (107)
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35 (95)
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31 (88)
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47 (117)
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平均最高気温 °C (°F)
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18.3 (65.0)
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20.9 (69.6)
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23.4 (74.1)
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27.8 (82.0)
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31.9 (89.5)
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37.6 (99.6)
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39 (102.2)
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38.3 (100.9)
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36.2 (97.1)
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30.4 (86.8)
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23.3 (74.0)
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18.4 (65.1)
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28.8 (83.8)
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平均最低気温 °C (°F)
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6.7 (44.0)
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8.3 (46.9)
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10.1 (50.2)
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13.3 (56.0)
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17.6 (63.7)
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22.5 (72.5)
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25.3 (77.5)
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24.6 (76.2)
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22.4 (72.4)
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17.3 (63.2)
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11.1 (51.9)
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6.8 (44.3)
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15.5 (59.9)
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最低気温記録 °C (°F)
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−8 (17)
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−6 (22)
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−3 (27)
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2 (35)
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−1 (31)
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10 (50)
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14 (58)
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14 (57)
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9 (49)
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0 (32)
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−1 (30)
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−6 (22)
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−8 (17)
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雨量 mm (inch)
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17 (0.67)
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17 (0.67)
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19.3 (0.76)
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5.8 (0.23)
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3.8 (0.15)
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1.3 (0.05)
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19.3 (0.76)
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41.1 (1.62)
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20.8 (0.82)
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16 (0.63)
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12.7 (0.50)
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22.4 (0.88)
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196.5 (7.74)
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平均降雨日数 (≥0.01 inch)
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2.6
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2.6
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3.1
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1.4
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0.7
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0.4
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3.4
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5.0
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2.7
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2.2
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1.9
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2.9
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28.9
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出典:National Oceanic and Atmospheric Administration [2]
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近隣の主要都市
これら3都市はいずれも規模の大きい空港を持っており、アホへの玄関口となる。
人口動勢
以下は2000年の国勢調査による人口統計データである。
基礎データ
- 人口: 3,705人
- 世帯数: 1,659世帯
- 家族数: 1,088家族
- 人口密度: 51.0人/km²(132.0人/mi²)
- 住居数: 2,485軒
- 住居密度: 34.2軒/km²(88.5軒/mi²)
人種別人口構成
年齢別人口構成
- 18歳未満: 20.6%
- 18-24歳: 4.9%
- 25-44歳: 17.2%
- 45-64歳: 25.3%
- 65歳以上: 32.1%
- 年齢の中央値: 52歳
- 性比(女性100人あたり男性の人口)
世帯と家族
- 18歳未満の子供がいる: 19.7%
- 結婚・同居している夫婦: 51.4%
- 未婚・離婚・死別女性が世帯主: 10.6%
- 非家族世帯: 34.4%
- 単身世帯: 30.1%
- 65歳以上の老人1人暮らし: 17.1%
- 平均構成人数
収入と家計
- 収入の中央値
- 世帯: 25,618米ドル
- 家族: 29,310米ドル
- 性別
- 男性: 28,000米ドル
- 女性: 18,571米ドル
- 人口1人当たり収入: 14,548米ドル
- 貧困線以下
- 対人口: 16.5%
- 対世帯数: 22.3%
- 18歳未満: 36.5%
- 65歳以上: 9.0%
脚注
- ^ Citypopulation.de
- ^
“Climatography of the United States, No. 20 – 1971-2000: COOP ID: 020080 (AJO, AZ)”. National Oceanic and Atmospheric Administration (2004年). 2017年2月23日閲覧。
Retrieved on May 11, 2015.
関連項目
参考文献
外部リンク