半単純リー環のルート系
数学 において,被約抽象ルート系 と半単純リー環 の間には1対1の対応がある.ここで半単純リー環のルート系 の構成,そして逆に,被約抽象ルート系からの半単純リー環の構成,が示される.
付随するルート系
g を複素半単純リー環 とする.さらに h を g のカルタン部分環 とする.このとき h は g に随伴表現 において同時対角化可能 な線型写像 として作用する.h * の元 λ に対して,部分空間 g λ ⊂ g を
g
λ λ -->
:=
{
X
∈ ∈ -->
g
:
[
H
,
X
]
=
λ λ -->
(
H
)
X
for all
H
∈ ∈ -->
h
}
{\displaystyle {\mathfrak {g}}_{\lambda }:=\{X\in {\mathfrak {g}}:[H,X]=\lambda (H)X{\text{ for all }}H\in {\mathfrak {h}}\}}
で定義する.h * の零でない λ がルートであるとは,部分空間 g λ が自明でないことをいう.このとき g λ は λ のルート空間と呼ばれる.カルタン部分環 の定義により g 0 = h が保証される.各ルート空間 g λ は1次元であることを示すことができる.R をすべてのルートの集合とする.h の元は同時対角化可能であるから,次が成り立つ:
g
=
h
⊕ ⊕ -->
⨁ ⨁ -->
λ λ -->
∈ ∈ -->
R
g
λ λ -->
.
{\displaystyle {\mathfrak {g}}={\mathfrak {h}}\oplus \bigoplus _{\lambda \in R}{\mathfrak {g}}_{\lambda }.}
カルタン部分環 h は g 上のキリング形式 から内積 を引き継ぐ.これは h * 上の内積を誘導する.この内積について R は被約抽象ルート系であることを示すことができる.
付随する半単純リー環
E をユークリッド空間 とし,R を E の被約抽象ルート系とする.さらに Δ を単純ルート たちのある選択とする.次の生成元と関係式で複素リー環を定義する.生成元:
H
λ λ -->
,
X
λ λ -->
,
Y
λ λ -->
for
λ λ -->
∈ ∈ -->
Δ Δ -->
,
{\displaystyle H_{\lambda },X_{\lambda },Y_{\lambda }{\text{ for }}\lambda \in \Delta ,}
シュバレー・セール関係式 (英語版 ) :
[
H
λ λ -->
,
H
μ μ -->
]
=
0
for all
λ λ -->
,
μ μ -->
∈ ∈ -->
Δ Δ -->
,
[
H
λ λ -->
,
X
μ μ -->
]
=
(
λ λ -->
,
μ μ -->
)
X
μ μ -->
,
[
H
λ λ -->
,
Y
μ μ -->
]
=
− − -->
(
λ λ -->
,
μ μ -->
)
Y
μ μ -->
,
[
X
μ μ -->
,
Y
λ λ -->
]
=
δ δ -->
μ μ -->
λ λ -->
H
μ μ -->
,
a
d
X
λ λ -->
− − -->
(
μ μ -->
,
λ λ -->
)
+
1
X
μ μ -->
=
0
for
λ λ -->
≠ ≠ -->
μ μ -->
,
a
d
Y
λ λ -->
− − -->
(
μ μ -->
,
λ λ -->
)
+
1
Y
μ μ -->
=
0
for
λ λ -->
≠ ≠ -->
μ μ -->
.
{\displaystyle {\begin{aligned}[][H_{\lambda },H_{\mu }]&=0{\text{ for all }}\lambda ,\mu \in \Delta ,\\\left[H_{\lambda },X_{\mu }\right]&=(\lambda ,\mu )X_{\mu },\\\left[H_{\lambda },Y_{\mu }\right]&=-(\lambda ,\mu )Y_{\mu },\\\left[X_{\mu },Y_{\lambda }\right]&=\delta _{\mu \lambda }H_{\mu },\\\mathrm {ad} _{X_{\lambda }}^{-(\mu ,\lambda )+1}X_{\mu }&=0{\text{ for }}\lambda \neq \mu ,\\\mathrm {ad} _{Y_{\lambda }}^{-(\mu ,\lambda )+1}Y_{\mu }&=0{\text{ for }}\lambda \neq \mu .\end{aligned}}}
(ここで (λ , μ ) で表されている係数はカルタン行列 の係数で置き換えられなけるべきである.)生成されるリー環は半単純でありそのルート系は与えられた R に同型であることが分かる.
応用
同型 により,半単純リー環 の分類は被約抽象ルート系を分類するいくぶん簡単な仕事に帰着される.
脚注
参考文献
この記事は、クリエイティブ・コモンズ・ライセンス 表示-継承 3.0 非移植 のもと提供されているオンライン数学辞典『PlanetMath 』の項目Root system underlying a semi-simple Lie algebra の本文を含む
Hall, Brian C. (2015), Lie Groups, Lie Algebras, and Representations: An Elementary Introduction , Graduate Texts in Mathematics, 222 (2nd ed.), Springer
V.S. Varadarajan, Lie groups, Lie algebras, and their representations , GTM, Springer 1984.
外部リンク
Hazewinkel, Michiel, ed. (2001), “Coxeter group” , Encyclopedia of Mathematics , Springer, ISBN 978-1-55608-010-4 , https://www.encyclopediaofmath.org/index.php?title=Coxeter_group
Weisstein, Eric W. "Coxeter group" . mathworld.wolfram.com (英語).
Jenn software for visualizing the Cayley graphs of finite Coxeter groups on up to four generators , http://www.jenn3d.org/index.html
Popov, V.L. ; Fedenko, A.S. (2001), “Weyl group” , Encyclopaedia of Mathematics , SpringerLink, https://www.encyclopediaofmath.org/index.php/Lie_algebra,_semi-simple