ノコギリクワガタ属(ノコギリクワガタぞく)またはプロソポコイルス属 (プロソポコイルスぞく、Prosopocoilus) は、クワガタムシ科に属する約100属のうちの1属である。
ネブトクワガタ属に次いで、2番目に種類が多い「属」であり、アジアのほか、アフリカ、オセアニアにも生息する。
日本には4種が生息している。
学名(属名)の Prosopocoilus は、それぞれギリシャ語で「顔、顔つき」を意味する単語 prosōpon と「空ろな、窪んだ」を意味する単語 koilos が由来である[3]。
かつて、日本のノコギリクワガタが属していた Psalidoremus など、いくつかの属が統合されている。
特徴
本属の特徴としては、雌雄の形態や大きさの差(性的二形)が著しいこと、雄成虫の大顎に原歯型(小歯型)、両歯型(中歯型)、大歯型(長歯型)という変異が生じることがあげられる。雄成虫の大顎の形状の変異はおおむね体格の大小に対応するが、必ずしも対応しない例も見られる。
アフリカに分布する本属の分類は不明な点が多く、過去の研究者が地域変異を「種」として記載したり、よく似た「種」であるにもかかわらず明確な記載がないものが多く、今後の研究に期待されている。
ヴァリエガトゥスノコギリクワガタ(P.variegatus)のような20mm程度の小型種から、ギラファノコギリクワガタ(P.Giraffa)のように最大110mmを超えるような超大型種まで幅広い種類で構成されるが、その中では中型種が一番多く、体色が赤、茶色、黒、オレンジなどの鮮やかなものが目立つ。
一生のサイクルはクワガタ属 Dorcus に比較的近く、幼虫は腐朽木や腐植土を食べて育ち、成虫の身体特性でもクワガタ属に近く、脚部形状では脚部横に生えてくる棘が、前脚に3-4本、中脚に一本、後脚には無い点が共通している。アフリカ特産のメンガタクワガタ類も、本属とそうした部分が共通して、近縁関係にある。
闘争本能は強いものの、不利になると戦意を失って逃げ出す傾向も強い。これは本属に近縁のグループであるフタマタクワガタ属 Hexathrius やシカクワガタ属 Rhaetus にも見られる特性である。
分類
百数十種が記載されている[4]ため地域に分けて記した。
日本
4種が[記載]されている。
日本以外
アジア
オセアニア
アフリカ
脚注
- ^ Kim, Sang Il, Kim, Jin Ill (2010). Entomological Research 40: 55–81.
- ^ “Nomenclator Zoologicus Record Detail”. Nomenclator Zoologicus. 2011年5月2日閲覧。
- ^ 『月刊むし』2007年8月号32頁(むし社)
- ^ 例えば148種:“genus Prosopocoilus Westwood, 1845” (1999-2011). 2011年5月2日閲覧。
参考文献