Team GB(チームGB[1])は、1999年からイギリスオリンピック委員会(BOA) がオリンピックのイギリス選手団に冠しているブランド名である。このブランドは1996年アトランタオリンピック後に作られ、現在は BOA の商標となっている。ブランド名は選手団全体を1つのチームとして指すもので、競技の垣根を超えて用いられる。また名称の簡潔さを利点とし、マーケティング戦略の一角も成している。ブランド名は「グレート・ブリテン」(英: Great Britain)の略称である "GB" を用いており、グレートブリテン島に重きを置いていて北アイルランドなどの他地域は無視されている。このことから "United Kingdom" の略称を用いた "Team UK" に名称変更すべきと主張した批評家もいたが、BOA はこの意見を却下している。
歴史
イギリスオリンピック委員会のマーケティング担当理事、マジェナ・ボグダノヴィッツ(英: Marzena Bogdanowicz)は、オリンピックのイギリス選手団(英: The Great Britain and Northern Ireland Olympic team)の公式略称は長たらしいと感じていた。彼女が最初に "Team GB" のコンセプトを思いついたのは1996年から1997年のことで[2]、インタビューで次のように語っている。
「わたしは1996年の大会に行っていて、あの時のロゴはただライオンと輪をあしらったものだったけれど、あの時のわたしたちはそのロゴにふさわしいほど強いブランドではなかった[注 1]。帰国してから、わたしは長たらしくなくて、チームを感じることのできる何かを求め始めた。色々候補を見て Team GB に辿り着いた」
"I went to the games in 1996 and the logo at the time was just the lion and the rings, but we weren't strong enough as a brand to just be a lion and the rings. So coming back I wanted to find something that was less of a mouthful, and also had that team feel. We looked at the options and came up with Team GB."[2]
2000年に開かれたシドニーオリンピックでの成功を受け、Team GB のブランドは、ライセンス契約・商業戦略の一角を成した[5]。ボグダノヴィッツはイギリスオリンピック委員会が「イギリスの一般人の心の中に Team GB のブランドが深く刻み込まれる」(英: "cement the Team GB brand in the minds of the British public")ことを望んでいると述べた。
コメディアンでコラムニストのデイヴィッド・ミッチェル(英語版)[注 3]は、愛称を作って代表チームのイメージを変えた BOA の決断について、「資本主義の最終的勝利」(英: "capitalism's final victory")で「哀れだ」(英: "pathetic")としているほか、このブランド名が多くのメダル獲得に繋がったと考えている人は「馬鹿かアスリートを馬鹿だと思っている」(英: "are either morons or they think our athletes are")とけなした[10]。スコットランドのコラムニスト、ゲリー・ハッサン(英語版)は、「Team GB は政治形態とは一致しない、絵空事や幻想を表しているようだ」とコメントした[11]。
^ ab“FAQ - What is Team GB?”. British Olympic Association. 2016年8月23日閲覧。 “There is only one Olympic team from Great Britain and Northern Ireland; Team GB. There is not an Olympic swimming team or Olympic rowing team. The individual sports join to become Team GB, the Great Britain and Northern Ireland Olympic Team.”