『Qバート』(英: Q*bert)は、1982年10月にアメリカ合衆国のゴットリーブ(英語版)からリリースされたアーケード用ドットイートゲーム。日本ではコナミから1983年にリリースされた[1] 。
主人公の「Qバート」を操作し、敵を避けてブロックの山をジャンプして色を付けていき、全てのブロックに色をつければステージクリアとなる内容。開発はゴットリーブが行い、ゲーム・デザインおよびプログラムは後に『Joust 2: Survival of the Fittest』(1986年)を手掛けたワーレン・デイビスが担当、音楽は『Reactor』(1982年)を手掛けたデヴィッド・ティールが担当している。
後にAtari 2600、Atari 5200、オセロマルチビジョン、NESなどの家庭用ゲーム機やコモドール64、PC/AT互換機、MSXなどのパソコン各種への移植が幾度も行われており、他のレトロゲームとともにインターネットアーカイブにて公開されている。
概要
1982年のAmusement & Music Operators Association (AMOA) Showにて、パーカー・ブラザーズは本作の家庭用移植に関するライセンスを取得したと発表した[2]。移植版第1作となるAtari 2600版を発売したのち[3]、1983年から84年にかけてでAtari 5200、インテレビジョン、コレコビジョン向けの移植版を出した他、VIC-1001、TI-99/4A コモドール64[4]といった8ビットパソコン向けの移植版も発売し[5]、卓上サイズの電子ゲーム版も発売した[6]。電子ゲーム版は、当時のゲームとしては珍しい蛍光表示管を用いて表示されており、コレクターズ・アイテムとして知られるようになった[7]。パーカー・ブラザーズは、ヨーロッパ向けとしてフィリップス・ビデオパック(英語版)向けの移植も行った他[8]、日本向けにはツクダオリジナルのオセロマルチビジョン、互換元機セガのSG-1000[注 1]、互換機パイオニアのTV VIDEO GAME PACK SD-G5への移植も行った[9]。また、北米にはNintendo Entertainment Systemへの移植がウルトラゲームズ(英語版)[注 2]によって行われていた[10]。
1986年にはアーケード版を販売したコナミからMSX版Qバートが日本とヨーロッパで発売された。このバージョンはQバートの続篇である"Q*bert's Qubes"が基になっている。また、二人対戦にも対応している[11]。
1992年、リアルタイム・アソシエーツはスーパーファミコン向けソフト『Qバート 3』の開発・発売を行った[12]。日本ではバップから発売された。
オリジナルのQバートに関わったジェフ・リーは『Qバート3』にて再びグラフィックを担当した[13]。
『Qバート 3』はアーケード版『Qバート』に近いプレイだが、ゲームボーイ版では変更が加えられている。また、敵の種類も増えた[14][15]。
ゲーム内容
Qバートを操作して敵をよけながらブロックの山をジャンプして色を付け、全てのブロックに色をつければステージクリアとなる。ただしQバートは斜めにしか移動できない上、敵と接触するかキューブの山の外へ出るとゲームオーバーとなる。ステージによっては頂上まで連れて行ってくれるフロートが用意されていることもある。
キャラクター
- Qバート(Q*bert)
- ゲームの主人公、蛸のような顔に2本足が付いたキャラクター。斜めに隣り合う立方体であれば自由に行き来する事が可能。移動すると移動先の立方体の色が変化する。
- コイリー(Coily)
- 最初に出現する蛇の敵キャラクター。
- アグ&ロングウェイ(Ugg and Wrongway)
- 双子の小悪魔の敵キャラクター。
- スリック&サム(Slick and Sam)
- 緑色の敵キャラクターで、一人はサングラスをかけている。乗った立方体の色を変えてしまう。触れてもミスにならず消滅する。
他機種版
スタッフ
- アーケード版
- デザイン、プログラム:ワーレン・デイビス
- グラフィック:ジェフリー・P・リー
- オーディオ:デヴィッド・ティール
- キャビネット・イラストレーション:テリー・ドゥーアーザフ
- ゲームボーイ版
- プログラム:スティーヴン・エッティンガー
- グラフィック:コニー・ゴールドマン
- 音楽:ジョージ・アリスター・サンガー
- プロデュース、ディレクト:デヴィッド・ウォーホル
評価
- ゲームボーイ版
ゲーム誌『ファミコン通信』の「クロスレビュー」では合計25点(満40点)[21]、『ファミリーコンピュータMagazine』の読者投票による「ゲーム通信簿」での評価は以下の通りとなっており、16.3点(満30点)となっている[23]。
項目
|
キャラクタ |
音楽 |
お買い得度 |
操作性 |
熱中度 |
オリジナリティ
|
総合
|
得点
|
2.8 |
2.6 |
2.6 |
2.9 |
2.8 |
2.7
|
16.3
|
関連作品
- 他作品への登場
ディズニーのアニメ映画『シュガー・ラッシュ』(2012年)にQバートを含む本作のキャラクターが登場[24]。ゲームセンターから筐体が撤去されてホームレスになっているところをラルフに励まされたのを機に、彼らはラルフの旅に同行し、フェリックスにラルフがおかしくなりつつあることを知らせるなど重要な役割を演じた。なお、QバートはQバート語という記号を組み合わせたような言語で話しており、フェリックスもQバート語を少し話せる。エンディングではフェリックスのゲームのボーナスステージに本作の敵キャラクターが登場し、Qバートはフェリックスの助手として登場している。
Qバートはソニー・ピクチャーズ エンタテインメントの映画『ピクセル』(2015年)にも登場しており[25]、劇中ではパックマン撃破に対するゲームトロフィーとして登場している。
脚注
注釈
- ^ SC-3000には非対応、初期ロットには対応の表記があったが、後に不具合が発生し非対応表記となった。
- ^ 1992年まで存在したコナミの北米子会社。
出典
- ^ “Q*Bert (Konami)” (Japanese). AM Life (Kabushiki Kaisha Amusement) (3): 10. (March 1983).
- ^ “Parker Grabs Two Hot Licenses”. Electronic Games (Reese Publishing Company) (Volume 1, Number 14): 8. (April 1983).
- ^ Brownstein, Mark (March 1984). “Follow the Leader: Spin-offs Jump To The Q*bert Challenge”. Video Games (Pumpkin Press) (Volume 2, Number 6): 28–31.
- ^ “Q*Bert”. Computer Games (Carnegie Publications) (Volume 3, Number 2): 60. (June 1984).
- ^ “How to Get Q*bert Out of your System”. Electronic Games (Reese Communications) (Volume 2, Number 10): 101. (December 1983).
- ^ Worley, Joyce (January 1984). “The Block Bouncer Busts Loose!”. Electronic Games (Reese Communications) (Volume 2, Number 11): 122–125.
- ^ Ellis, David (2004). “Classics Handheld and Tabletop Games”. Official Price Guide to Classic Video Games. Random House. p. 237. ISBN 0-375-72038-3
- ^ “Parker Video Game Cartridge: Q*bert”. RetroMO. 2014年4月30日閲覧。
- ^ “Q*bert”. SMS Power!. 2014年4月30日閲覧。
- ^ “Q*bert for NES”. MobyGames. 2014年4月30日閲覧。
- ^ “Qbert: De toutes les couleurs!” (French). MSX News (Sandyx S.A.) (5): 12. (September–October 1987).
- ^ “Q*bert 3 for SNES”. MobyGames. 2014年4月30日閲覧。
- ^ Davis, Warren. “The Creation of Q*Bert”. Coinop.org. 26 September 2011閲覧。
- ^ Weiss, Brett A. “Q*bert 3 – Overview”. Allgame. 2009年6月2日閲覧。
- ^ “IGN: Q*bert 3”. IGN. 2009年6月2日閲覧。
- ^ a b “Q*bert for Arcade (1982)” (英語). Moby Games. Blue Flame Labs. 2018年8月16日閲覧。
- ^ “Q*bert for ColecoVision (1983)” (英語). Moby Games. Blue Flame Labs. 2018年8月16日閲覧。
- ^ a b “Q*bert for NES (1989)” (英語). Moby Games. Blue Flame Labs. 2018年8月16日閲覧。
- ^ a b “Pogo for ZX Spectrum (1983)” (英語). Moby Games. Blue Flame Labs. 2018年8月16日閲覧。
- ^ a b “Q*bert for Game Boy (1992)” (英語). Moby Games. Blue Flame Labs. 2018年8月16日閲覧。
- ^ a b “Q・bert まとめ [ゲームボーイ]” (日本語). ファミ通.com. KADOKAWA CORPORATION. 2018年8月16日閲覧。
- ^ “Q*bert for Atari 2600 (1983)” (英語). Moby Games. Blue Flame Labs. 2018年8月16日閲覧。
- ^ a b 「超絶 大技林 '98年春版」『Play Station Magazine』増刊4月15日号、徳間書店/インターメディア・カンパニー、1998年4月15日、471頁、ASIN B00J16900U。
- ^ Zeitchik, Steven (2012年11月3日). “Wreck-It Ralph Cheat Code: Which Video Games Get Shout-Outs?”. The Los Angeles Times. https://www.latimes.com/entertainment/movies/la-xpm-2012-nov-03-la-et-mn-wreck-it-ralph-video-games-20121102-story.html 2012年11月5日閲覧。
- ^ “Classic video game characters unite via film 'Pixels'”. Philstar (July 23, 2014). July 23, 2014閲覧。
外部リンク