P611級潜水艦 (イギリス海軍)

P611級/オルチ・レイス級潜水艦
P611/Oruç Reis-class submarine
「オルチ・レイス」(「P611」)
「オルチ・レイス」(「P611」)
基本情報
種別 潜水艦
運用者  イギリス海軍
 トルコ海軍
就役期間 1941年 – 1945年(イギリス海軍)
1942年 – 1957年(トルコ海軍)
建造数 4隻
前級 U級潜水艦
次級 V級潜水艦
要目
排水量 624トン(基準), 683トン(満載、水上)
856トン(水中)
長さ 210 ft (64 m)
22 ft 3 in (6.78 m)
吃水 11 ft 8 in (3.56 m)
主機 ヴィッカース式ディーゼルエンジン2基+電動機2基
水上1,200 馬力 (890 kW), 水中780馬力 (580 kW)
速力 13.7ノット (25.4 km/h; 15.8 mph)(水上)、8.4ノット (15.6 km/h; 9.7 mph)(水中)
航続距離 2,500海里 10ノット時(水上)
潜航深度 95m
乗員 35名
兵装 21インチ(533mm)魚雷発射管×5門(艦首4門・後部外装式1門:魚雷9本搭載)
3インチ単装高角砲×1基
20mm単装機銃×1基
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P611級潜水艦(P611きゅうせんすいかん、P611-class submarine)、またはオルチ・レイス級潜水艦Oruç Reis-class submarine)は、トルコ海軍向けに4隻が建造された小型潜水艦。1939年にイギリスヴィッカース・アームストロングへ発注されたが、起工直後に第二次世界大戦が勃発したためイギリス海軍に接収されて完成した。イギリス海軍では固有の艦名は付与されず、Pで始まる潜水艦ナンバーのみだった[1]

設計

全体的な設計は、イギリス海軍のS級潜水艦を小型化したものとなっている。サドルタンク方式の艦体を採用しているのは同じだが、燃料タンクを耐圧殻内に設けているため航続距離が短かった[1]

艦首魚雷発射管の門数もS級の6門から4門に削減されており、艦尾に設けた外装式魚雷発射管1門と合わせて5門となった。搭載魚雷数は9本となっている[2]

備砲は、資料によって4インチ(10.2cm)単装砲英語版とするものもあるが、実際は3インチ(7.6cm)単装砲だったようである[1]

戦歴

本級のうち、ナチス・ドイツの影響力に対抗するため「P611」(元:オルチ・レイス)と「P612」(元:ムラト・レイス)は1942年にトルコへ返還された。

イギリス海軍に留まった2隻のうち、「P615」(元:ウルチ・アリ・レイス)は1943年に戦没し、残存した「P614」(元:ブラク・レイス)は1946年にトルコへ返還された[2]

返還された3隻はトルコ海軍で1957年まで運用されている[2]

艦名一覧

全艦がバロー=イン=ファーネスヴィッカース・アームストロングで建造された。

Construction data
トルコ海軍名 由来 イギリス海軍名 起工 進水 就役 最期
オルチ・レイス オルチ・レイス P611英語版 1939年5月24日 1940年7月19日 1941年12月1日(イギリス海軍)
1942年5月9日(トルコ海軍)
1942年トルコに返還
1957年解体
ムラト・レイス ムラト・レイス P612 1939年5月24日 1940年7月20日 1942年1月7日(イギリス海軍)
1942年5月16日(トルコ海軍)
1942年トルコに返還
1957年解体
ブラク・レイス ブラク・レイストルコ語版 P614 1939年5月24日 1940年10月19日 1942年3月10日(イギリス海軍)
1946年1月17日(トルコ海軍)
1946年トルコに返還
1957年解体
ウルチ・アリ・レイス ウルチ・アリ・レイス P615 1939年10月30日 1940年11月1日 1942年4月3日 1943年4月18日、シエラレオネ沖の大西洋上でUボートU-123英語版」の雷撃により戦没[3]

登場作品

映画

潜水艦シー・タイガー英語版』(監督:アンソニー・アスキス、出演:ジョン・ミルズエリック・ポートマン英語版1943年
  • 「P614」と戦没前の「P615」が、主人公の潜水艦「シー・タイガー」(HMS Sea Tiger)役として撮影に用いられている。

脚注

  1. ^ a b c 世界の艦船 2016, p. 146.
  2. ^ a b c 世界の艦船 1997, p. 102.
  3. ^ Allied Warships - HMS P 615 (P 615)”. uboat.net. 20 April 2024閲覧。

参考文献

関連項目