My Merry May
My Merry May(マイ・メリー・メイ)は、KIDが2002年4月25日に発売したドリームキャスト用恋愛アドベンチャーゲームである。2003年1月30日にPlayStation 2版( 初回限定版にはオープニング曲「BUG?」のレゥ&リースver.他5曲を収めた音楽CDが付属)が発売され、2005年6月30日には本作と続編『My Merry Maybe』を同時収録したほか、3本の新シナリオと全てのアペンドシナリオを収めた『My Merry May with be』が発売された。 ドリームキャスト版には、公式サイトからダウンロードする事でゲームディスクには収録されていないシナリオが楽しめるアペンドストーリー機能を搭載。この機能は本作が最後となったが、同機能を搭載した作品では初めて一部シナリオをゲーム内に収録しており、条件を満たすことでプレイ可能になる(ゲーム内では「内蔵アペンド」と呼称されている。なお、本作以降のドリームキャスト作品でこの機能を搭載しているのはドリームキャスト版僕と、僕らの夏のみ)。PS2版では内蔵アペンドのみが収録されていたが、『My Merry May with be』では全てのアペンドシナリオが収録された。 概要人間そっくりの人工生命体「レプリス」の少女と、図らずも彼女の兄代わりとなった少年をめぐる物語。本作の主題は「成長」である。主人公の少年にとっての越えられない壁として父と兄がおり、それでも肉親を越えようとあがき成長していくことでラブストーリーが展開していく[1]。 5月が舞台に選ばれた理由は、「エンディング付近は雨がいい」という構想から梅雨の来る前に時期を設定したためである[2]。 全体の構成は一般的な恋愛アドベンチャーゲームのものであり、前半の共通シナリオでの選択によって各ヒロインのシナリオへと分岐する形になる。エンディングの数はヒロインごとに異なるが、総じてA・B・Cに分類され、このうちAがいわゆるハッピーエンドに相当する。ただし「みさおAエンディング」はつらく重い展開であり、多くのユーザーがショックを受けた[1]。 本作はオールクリアしてもかなりの謎が未解明のまま残されてしまっており、続編である『My Merry Maybe』でそれらが解明される形になっている。ただし最初から2部作にする構想があったわけではなく、張られた伏線の内容は一切明かされない予定だった。続編の製作が決まったのは本作の発売1週間後である[1]。 なお、本作の舞台となっている津久見高校と同名の学校が大分県に存在するが、本作とは関係ない。 あらすじ全寮制高校「津久見高校」に通う「渡良瀬 恭介」は、退屈ながらも穏やかな学生生活を過ごしていた。高校生になってから2度目のゴールデンウィークを迎えるも、特にすることもなく暇を持て余していた彼のもとに、アメリカにいる父親から大きな荷物が届く。それは父と兄がアメリカで研究開発している甲種人型人工生命体「レプリス」の女性型が収められたカプセルだった。思わぬ贈り物に、恭介はこれから始まる彼女との楽しい生活を想像しつつ、カプセルに組み込まれた起動装置を作動させる。だが起動処理の終了を目前にして起こった落雷によって、処理は中断。程なくして装置は復旧し処理は終了したかに見えたが、目覚めた彼女は突然、赤子のごとく泣き出してしまう。起動時にバグが発生したため、成長した外見に相反し精神が幼児同然になってしまったのだった。 やむなく恭介は「レゥ」と名づけたレプリスの兄代わりとなって面倒を見ることになる。当初は彼女を自室にかくまっていたがすぐに露見し、「アメリカから来た親戚の子」と説明して寮母のたえに預かってもらう。レゥは恭介の友人たちともすぐに親しくなり、それとともに恭介の周囲の人間関係も変化していく。レゥが来る前とは一転して騒がしい日々が続く中、兄の恭平が突然日本に帰ってくる。恭平が連れてきたのは、バグのない、恭介が設定したとおりのレプリス「リース」だった。 登場人物
スタッフ主題歌
オープニングテーマ「BUG?」は「神様、欠点を与えてくれてありがとう」という意が込められた歌である。どんなものであれ完成品はつまらないのに対し、誰かが入り込む隙間があれば成長していけるし、共感を得られるからである。ヒロインのレゥにはバグがあると設定されているが、ARCHIBOLDはこれを「僕らが時折変なことをしでかすのは、きっと誰もがBUGを抱えているせいだ」と解釈している[3]。 「BUG?」は右音声が英語、左音声が日本語でまったく別の歌詞を歌っており、それが空耳で同じことを歌っているように聞こえるという、きわめて特異な構成になっている。たとえば、冒頭の歌詞は以下のようになっている。
この作風は、以前に「We are Self Service!」という曲で試みてビクターのディレクターに気に入られて以来、ARCHIBOLDのお家芸になっている。「BUG?」でこの方式を採用したのは、生まれたてのレゥと恭介の言語的な断絶を左右音声の違いで暗示しているからである。その後お互いが歩み寄って落ち着きどころを見つけていくことの伏線として、英語をローマ字文にしたり、日本語をカタカナにしたりして、サビの部分で両者が同じ意味を歌うようになっている[3]。 エンディングテーマ「ナツノ宇宙」は、もともとオープニングとしてARCHIBOLDが作ったものであり、エンディングは別のもっとしっとりした曲になる予定だった。しかしKIDから「もっとハジケてくれ」と要求されたために差し替え、「BUG?」を1週間で作ることになった[3]。 グッドエンドで流れるにもかかわらず「ナツノ宇宙」は失恋する少女の心情を歌っている。人が幸せにできるのは目の前のひとりだけであり、主人公に選ばれなかったヒロインの気持ちを汲み取ってほしいという意が込められている[3]。 関連商品
脚注
外部リンク
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