MyISAM
MyISAMは、かつてMySQLリレーショナルデータベース管理システムで既定として採用されていたストレージエンジン[1]。古いISAMコードを基礎としており、多くの便利な拡張がされている。2009年12月リリースの MySQL バージョン5.5より前のバージョンにて既定のエンジンであり、バージョン5.5からはInnoDBが既定のエンジンとなった[1]。 ファイルシステムMyISAMの各テーブルは、3つのファイルとしてディスクに保存される(パーティション化されていない場合)。ファイルの名前はテーブル名で始まり、ファイルの種類を示す拡張子が付いている。 MySQLは.frmファイルにテーブルの定義を格納する。.frmファイルはMySQL Databaseの仕様として定義されており、MyISAMの仕様には含まれない。データファイルは拡張子 .MYD(MYData)、インデックスファイルは拡張子 .MYI(MYIndex)。インデックスファイルが破損した場合は、再作成が可能である。 ファイル形式は、ROW_FORMATテーブルオプションによって異なる。オプションは以下の通り。
MyISAMファイルはシステム非依存でトランザクション非対応のため、使用しているサーバー機能に依存しない。そのため、MyISAMファイルを異なるサーバー間でそれらをコピーして利用することができる。 特徴MyISAMは、読み取り操作が多く、書き込みが少ない環境向けに最適化されている。 MyISAMを採用すべき典型的な領域はデータウェアハウスであり、非常に大きなテーブルへのクエリを発行し、テーブルの更新はデータベースが使われない夜間などに行われる場合である。 MyISAMが高速読み取りを可能にする理由は、そのインデックス構造にある。各エントリはデータファイル内のレコードを指し、ポインタはファイルの先頭からオフセットされている。そのため、特にフファイル形式がFIXの場合、レコードをすばやく読み取れる。行の長さは固定されている。挿入操作も簡単で、データファイルの最後に新しい行を追加するだけである。一方、削除や更新の操作には課題がある。削除する場合は、行のオフセット値を変更しないで済むようにするには、削除後の空のスペースはそのまま残す必要がる。行の長さが変更される更新の場合、短くなる場合はからのスペースはそのまま残り、長くなる場合は行は断片化されて格納されることになる。行をデフラグして空きスペースを生み出すには、OPTIMIZETABLEコマンドを実行する。このように、仕組みが単純なため、MyISAMのインデックス統計は非常に正確である。 ただし、MyISAMの単純さには欠点がいくつかり、トランザクションのサポートがないことが大きな課題である。外部キーもサポートされていない。また、通常のユースケースでは、InnoDBの方がMyISAMよりも高速に動作する[2]。 MySQL 5.5以降のバージョンは、参照整合性の制約とより高い同時実行性を確保するため、InnoDBエンジンに切り替えられた。 MyISAMは、FULLTEXTインデックス作成とOpenGISデータ型をサポートする。 MariaDBでの実装MariaDBはAriaと呼ばれるクラッシュに強いMyISAMの代替ストレージエンジンを使う[3]。ただし、MariaDB開発者は引き続きMyISAM機能も開発しており、"キーキャッシュのセグメント化 (Segmented Key Cache)"機能を実装した[4]。 有効にすると、MyISAMインデックスのキャッシュがセグメントに分割される。これを使うと、スレッドがキャッシュ全体をロックする必要なくなり、同時実行性が向上する。 MariaDBでは、MyISAMは仮想列もサポートする。 DrizzleはMyISAMを含まない。 関連項目脚注
外部リンク
|