M-1グランプリ2023
『M-1グランプリ2023』(エムワングランプリ2023)は、吉本興業・朝日放送テレビ(ABCテレビ)主催[1]の漫才コンクール「M-1グランプリ」の第19回大会。ABCテレビ・テレビ朝日系列にて放送。大会スローガンは「爆笑が、爆発する。」。優勝者は令和ロマン。 概要通算19回目の開催となった2023年大会には、プロ、アマチュア問わず8540組[注 1]がエントリー。2019年大会から5年連続で史上最多を更新した[2]。 決勝戦は準決勝を勝ち上がった真空ジェシカ、令和ロマン、ダンビラムーチョ、くらげ、モグライダー、ヤーレンズ、さや香、カベポスター、マユリカの9組、そして敗者復活戦を制したシシガシラを加えた10組で争われた。 12月17日、事前特番『超お宝映像で振り返る!M-1衝撃の瞬間SP』[3]にて審査員を発表。前大会から山田邦子、博多大吉、富澤たけし、塙宣之、中川家・礼二、松本人志が続投、勇退を発表していた立川志らく[4]の後任として海原ともこ(海原やすよ ともこ)が就任することが発表された[5]。また、敗者復活戦の芸人審査員も併せて発表された(後述)。 決勝戦の司会は17大会連続の今田耕司と、12大会連続の上戸彩[6]。 大会の流れ日付はいずれも2023年。
予選1回戦から準々決勝まで1回戦は8月1日から10月6日にかけて開催。北海道、仙台、埼玉、千葉、東京、名古屋、大阪、広島、福岡、沖縄に加え、新たに静岡が追加され、11都道府県での開催となった[9]。その後は東京、大阪・京都の2地区に分けて、10月16日 - 27日に2回戦、10月29日 - 31日に京都・大阪で3回戦、11月6日 - 8日に東京で3回戦、11月20日 - 22日に準々決勝が開催された。 前回大会までは、1回戦が免除となるシード権は前年の準決勝進出者に与えられていたが、本大会から準々決勝進出者にまで対象が拡大された[10]。そのため、1回戦は前年の3回戦敗退以下および不参加のコンビのみで争うことになった。 長らく予選の審査員を務めていた倉本美津留、前田政二、長谷川朝二の3人が本大会は審査員から外れることとなった[11]。 エントリーした8540組中、3回戦に進出したのは376組。300組を超えたのは2018年大会以来で、2010年大会(341組)を上回り過去最多となった。11都道府県で開催された1回戦の全会場から3回戦以上の進出者が出た。準々決勝に進出したのは123組で、京都・大阪3回戦を通過したのは37組、東京3回戦を通過したのは86組。 準々決勝初進出組はモンスーン、ぐろう、ボニーボニー、オーサカクレオパトラ、ウイスキーカノン、ハスキーポーズ、盆と正月、ジョックロック、釈迦虎、チューリップフィクサー(白桃ピーチよぴぴ、シゲカズです)、らぶらいken(らぶおじさん、今井らいぱち、kento fukaya)、ヤングタウン(福島暢啓、錦笑亭満堂)、人間横丁、豆鉄砲、ちゃんぴおんず、戦慄のピーカブー、ミカボ、めっちゃ最高ズ、イチゴ、そいつどいつ、春組織、スーパーニュウニュウ、きっと君はくるさ、十九人、ナユタ、マチルダ、1000(蓮見翔、園田祥太)、バンビーノ、Let Me Show You THE まごころ(友田オレ、ピボット福田)、きつね日和、やわら(鈴木バイダン、りゅうたろう)、オダウエダ、スタミナパン、フランスピアノ、モシモシ、サブマごり押し(小籔千豊、ムーディ勝山)、ジグザグジギー、コーツ(永田敬介、栗原泰之)、パーフェクトパワーズ(なかやまきんに君、ケイン・コスギ)、いぬの40組。 話題を集めたコンビ
今大会からナイスアマチュア賞に加え、1回戦全日程を通して「小学生以下のメンバーのみで構成された組」の中から印象に残った漫才師たちへの「ナイスキッズ賞」、同じく1回戦全日程を通して方言や伝統衣装を使用したり、名物や名跡をテーマとしたり、日本全国の民俗的特色を活かした漫才で各エリアを盛り上げてくれた漫才師たちへの「ジモトスター賞」が導入されている[12]。
準決勝(予選)12月7日に東京都のNEW PIER HALLにて開催。第18回(2022年)では準々決勝から勝ち上がるコンビが27組に絞られていたが、今大会では30組に増加[注 3]。これにTVerでの投票企画によってワイルドカード枠で進出したダブルヒガシを加え、31組が準決勝に出場した。 準決勝初進出はフースーヤ、ぎょうぶ、豪快キャプテン、バッテリィズ、エバース、シシガシラ、ナイチンゲールダンス、きしたかの、鬼としみちゃむ、ダブルヒガシ、華山、ドーナツ・ピーナツ、20世紀、スタミナパンの13組。そのうちノーシードはフースーヤ、ぎょうぶ、ドーナツ・ピーナツ、20世紀、スタミナパンの5組。大会復活後(第11回(2015年)以降)としては初めて、女性芸人が1人も準決勝に進めなかった。 出番順はワイルドカード枠のダブルヒガシが1番手を、準決勝進出4度目のマユリカがトリを務めた[42]。この結果、真空ジェシカが3年連続、さや香が2年連続3度目、カベポスターが2年連続、モグライダーが2年ぶり2度目、令和ロマン、ダンビラムーチョ、くらげ、ヤーレンズ、マユリカが初の決勝戦進出を果たした。 また、準決勝進出者の出番前に、ベストアマチュア賞を受賞した「ナユタ」がネタを披露したほか、ベストキッズ賞を受賞した「ラブリースマイリーベイビー」がゲストとして出演した。 敗者復活戦(予選)会場は昨年までの六本木ヒルズアリーナから、新宿住友ビル・三角広場に変更され、史上初の屋内での開催となる。12月24日、決勝戦直前の14時40分に開演し、15時から生放送。ワイルドカード枠のダブルヒガシを除く21組に出場資格が与えられ、決勝戦進出の最後の1枠を争う。 審査方法も昨年までの視聴者投票から一新され、「サバイバルラウンド」と「ファイナルサバイバルジャッジ」の2ステージ制となった。 サバイバルラウンド(観客審査)準決勝の順位を元に、21組が7組ずつ3つのブロックに分かれ、ネタ終了ごとに勝者を決めるブロックトーナメント。各ブロックの出番順は番組内で公表される。各ブロック2組目以降のネタ終了後、会場の観客からランダムで選ばれた審査員500名の投票で暫定勝者を決定[注 4]。投票率が少なかったコンビはその時点で敗退となる。これを繰り返し、各ブロックから1組ずつ、計3組が「ファイナルサバイバルジャッジ」に進出する。 Bブロックのトム・ブラウンの披露したネタがネット上で大きな話題となった[43][44]。 投票の結果、Aブロックは7組目のヘンダーソン、Bブロックは6組目のナイチンゲールダンス、Cブロックは3組目のシシガシラが勝利した。 ファイナルサバイバルジャッジ(芸人審査)サバイバルラウンドを勝ち残った3組の中で、最も面白かったコンビを芸人審査員が投票。得票数が最も多かったコンビが、敗者復活組として決勝戦に進出する。審査は投函式で、誰がどのコンビに投票したのかは発表されない。 芸人審査員は、柴田英嗣(アンタッチャブル)、野田クリスタル(マヂカルラブリー)、渡辺隆(錦鯉)、山内健司(かまいたち)、石田明(NON STYLE)が務めた[45][注 5]。 投票の結果、シシガシラが4票、ヘンダーソンが1票を獲得し、シシガシラが決勝戦に進出した。 決勝戦
ファーストラウンド出番順を決める「笑神籤(えみくじ)」を引き演者を発表する役割には、2023 ワールド・ベースボール・クラシック にて侍ジャパンを優勝に導いた、前監督の栗山英樹と読売ジャイアンツの岡本和真が招かれた。
最終決戦最終決戦はファーストラウンド1位のさや香、2位のヤーレンズ、3位の令和ロマンの3組で争われた。前回と同様、CM中にファーストラウンド上位の組からネタ順を選択することになり、その結果、令和ロマン、ヤーレンズ、さや香の順にネタを披露することとなった[注 7]。
最終投票では、邦子、富澤、ともこがヤーレンズに、大吉、塙、礼二、松本が令和ロマンに投票[46]。4票を獲得した令和ロマンが19代目王者となった。 また、ファーストラウンドとは逆の結果に終わったさや香に対し、邦子が「最後のネタが良くなかった[47]:7」と発言する場面が見られた。 結果準決勝(結果)
敗者復活戦(結果)
決勝戦(結果)
記録
三連単人気ランキング三連単順位予想キャンペーンの1番人気は「さや香・令和ロマン・真空ジェシカ」。2番人気と3番人気は番組内と公式サイトで矛盾が起きており、番組内では「令和ロマン・さや香・真空ジェシカ」、公式サイトでは「さや香・真空ジェシカ・令和ロマン」が2番人気とされている。
紹介VTR前回と同様、敗者復活組を除く決勝進出コンビ9組の紹介VTRでは、「○○(コンビ名)とは―」というテロップに、ナレーションの「2人は言う」のあとに、返答がテロップで表記された。
社会的反応PR効果測定ツール「Qlipper」のデータによると、M-1グランプリ2023のニュース記事の総数は過去大会から大きく減少した。特に最終決戦に進出した3組の記事数が過去大会と比べて少なく、優勝者である令和ロマンの記事数はウエストランドの69.4%、錦鯉の77.7%に留まった。松本人志の週刊文春報道が12月26日から芸能ニュースの支配的話題となり、その後も2024年1月1日の能登半島地震、2日の羽田空港における衝突事故が社会的に大きな影響を与えたことで、エンタメに関するニュースが配信されにくくなったことが要因とされる[51]。
一方で、優勝者の令和ロマンが慶應義塾大学お笑い道場O-keis出身であることや、ベストアマチュア賞を受賞したナユタが早稲田大学お笑い工房LUDO所属の現役大学生であったことから、大学のお笑いサークルへの注目が高まった[52]。 スタッフ
配信されたコンテンツ特記の無いものはYouTubeにて配信。なお、前回まではZホールディングス(現・LINEヤフー)が運営しているGYAO!でもM-1グランプリの一部コンテンツを配信していたが、同サービスが2023年3月で終了したため、今回からはNTTドコモが運営しているLeminoに変更することになった[53]。
公式関連出版物
脚注注釈
出典
外部リンク |