FM-11(エフ・エム・イレブン、FUJITSU MICRO 11)は、1982年に富士通が発表したパソコンである。
概要
FM-11は、FM-8のビジネス向け上位機種として開発された。FDDを内蔵でき、また拡張スロットを本体内に持つため、筐体は大型である。
システムはFM-8から拡張され、2種類のメインCPU(6809/8088)、最大1MBのメインメモリをサポートし、またディスプレイサブシステムも大幅に機能拡張された(サイクルスチール転送による高速化、400ライン表示、テキストVRAM、漢字のサブシステム側でのサポートなど)。拡張された機能の一部は、後に発売されたFM-77シリーズにも装備される。なお名称の由来はこれら2種類の8ビット、16ビットメインCPUの間をとり、かつ6809が初期は標準装備のため8ビット寄りということで「11」としたと言われる。
初期にはF-BASICを利用するために6809が必要であったが (EX)、後にF-BASIC86が開発され、6809を装備しないモデル (BS) が発売された。またモデルチェンジの際、6809モデル (AD2/AD2+) にOS-9 Level2が標準添付となり、OS-9ファンの支持を受ける。
6809モデルはその拡張性と頑丈さと使用するOS-9のリアルタイム性から、FA用途での使用も多く、計測機器制御やラインのコントローラーとして長期にわたり使用された。また、RS232Cポートが純正品オプションでも最大5ポート使用できたことから、5台のモデムをつないだBBSのホスト機としていくつかの主要BBSで使用された。RS232Cは300~19.2Kbpsが利用可能。
8088モデルは後にFM-16βに発展、その後のFMRシリーズ・FM TOWNSにもそのI/O構成等に名残が見られる。6809モデルはFM-7/77シリーズと併売されたが、8ビット時代の終焉とともにその役割を終える。
特徴
- キーボード分離型(FMシリーズ初)
- メインCPU 68B09E(2MHz)/8088(8MHz)
- メインCPUはモデルによって標準装備のものが異なる。同時利用は不可。
- 6809カード、Z80カード(純正オプション)はメモリマッピングレジスタを装備し、最大1MBのメインメモリをサポートする。
- CPUがソケットを用いて実装されていたため、68B09Eから日立 HD63C09Eへ、8088からNEC V20への交換が流行した。
- 純正オプションでZ80カード(Z80A 4MHz、CP/M-80付属)が、サードパーティーからは68008カードや68000カード、独立したRAMを搭載しメインCPUと同時動作が可能なZ80Bのカードも発売された。また、6809モデルには8088カード(CP/M-86付属)をオプションで追加可能(ただし、6809カードはオプションとして販売されなかった)。
- RAM 標準128KB/256KB(モデルにより異なる)、最大1MB
- サブCPU 68B09E(2MHz)
- グラフィックVRAM 192KB
- グラフィック 640x400ドット 8/16色 2画面、640x200ドット 8/16色 4画面
- テキスト画面とグラフィック画面をグリーンモニターとカラーモニターに別々に分けて出力可能
- CRTC HD6845S
- カードスロット
- CPU 2
- 汎用 5
- 漢字ROM用 1
- 320KBフロッピーインタフェース用(STのF-BASIC ROMカードは排他使用) 1
- FDD 5インチ型を最大2台内蔵可能
- BASICをROMで搭載するのはSTのみ(BASICはシステム起動時RAMにロードされる)。他のモデルはディスクの利用を前提とする。
- 外付オプション
- 主要サポートOS
ラインナップ
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FM-11ST |
FM-11AD |
FM-11EX |
FM-11BS
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FM-11AD2 |
FM-11AD2+
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型番
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MB25030 |
MB25040 |
MB25050 |
MB25055
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MB25045 |
MB25046
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発表時期
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1982年11月 |
1984年2月
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1985年2月
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メインCPU
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68B09E 2MHz |
68B09E 2MHz 8088 8MHz
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8088 8MHz |
68B09E 2MHz
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サブCPU
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68B09E 2MHz
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メインメモリ(標準)
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128KB |
256KB
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128KB |
256KB
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グラフィックVRAM
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192KB
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漢字ROM
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JIS第1水準オプション |
JIS第1水準標準装備/第2水準オプション
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内蔵FDD
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オプション |
5インチ2D×1
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5インチ2HD×2 |
5インチ2HD×1 |
5インチ2HD×2
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標準添付OS
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F-BASIC V4.0 (ROM) |
F-BASIC V4.0
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F-BASIC V4.0 CP/M-86 |
CP/M-86 (F-BASIC86)
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F-BASIC V5.0 OS-9/6809 Level2
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脚注
参考文献
- 田辺皓正編著『マイクロコンピュータシリーズ15 8086マイクロコンピュータ』丸善株式会社、1983年4月30日。
関連項目
外部リンク