Bve trainsim
Bve trainsim は、mackoy による鉄道運転シミュレーターのフリーウェアである。一般的に BVE(bve) や BVETS(bvets)と略される。 特色mackoy による同ソフトの公開は2000年2月から始まり、様々な試行錯誤を経て現在に至る。画像処理などでは、独自のプログラムを用いた『電車でGO!』などの市販品に劣る部分もあるが、逆に一定の知識があれば一般ユーザーにも理解できるものであるために、ユーザーがプログラムに則った独自の鉄道路線を作ることができる。また、開発者自身もユーザーの路線作成の便宜を図る、様々なプログラムを作成した。例として、BVE 本体を起動せずに路線のプレビューが見られるプログラムや、車両の性能を操作できるプログラムなどがある。 これらが人気の大きな要因となり、多くのユーザーが様々な路線を作成し、インターネット上で公開するようになった。こうして BVE は、2003年あたりから鉄道ファンの中で知名度が徐々に上がっていった。 旧名称旧称は「暴走ビューエクスプレス」(Boso View Express)であり、この名称はJR東日本255系電車の愛称である「Boso View Express」(房総ビューエクスプレス)の「房総」と「暴走」をもじったものである。 現在は、誤解を生みやすい、また英語表記ではどう発音されるか分からない、房総ビューエクスプレスのイメージを悪くしてはいけないという理由で[2]、「BVE Trainsim」「Bve trainsim」に名称統一されている。 バージョンの変遷BVE Trainsim 1 以前BVE 1 公開の4年程前から制作されていたが、この頃はまだ公開はされていなかった。1996年、N88-BASIC で制作されたのが始まり。まだこの当時は架線柱に見立てた枠が後ろに流れるだけのものであった。1997年に Quick BASIC に移行。1999年には VisualBasic で Windows に移植する[3]。 BVE Trainsim 1(最終バージョン:1.22、2000年11月[4]) 2000年2月に公開[注釈 1]。BVE 2 以降とは違い、試験モードとフリーモードがある。また、ファイル形式が BVE 2 とは異なる。現在は公開されていない。 BVE Trainsim 2(最終バージョン:2.6、2004年3月) 2001年2月に BVE 1 のバージョンアップという形で公開された。路線ファイルやストラクチャファイルが新形式となった他、音声関連や車両の挙動関連など、多数の機能追加・改良がなされた[4]。BVE 5 が公開された現在もダウンロード可能である。しかし、Direct3D の関係上、Windows Vista 以降では動作しないとされる。(所定の操作によりWindows Vista以降においても動作可能) BVE Trainsim 3(ベータ版で公開停止) 2003年9月に試験公開されたバージョンである。しかし、抵抗制御の再現に失敗したため[5]、1ヶ月も経たずに公開停止された。 BVE Trainsim 4(最終バージョン:4.2、2005年5月) 2005年1月10日[6]に正式版が公開。保安装置をプラグイン化したことで自作が可能になり、私鉄の ATS や ATC が再現できるようになった(ATO による自動運転も可能)。また、計器とサウンドのコントロールもできるため、モニター装置などの別の用途も工夫次第で可能である。しかし、スペックの低い PC では動作が不完全な場合がある[7]。現在もダウンロード可能である。しかし、 Direct3D の関係上、Windows Vista 以降では動作しない。(こちらもBVE 2と同様に所定の操作によりWindows Vista以降でも動作可能) 他の新機能は以下の通り。 Bve trainsim 5(最終バージョン:5.8、2020年9月) 2008年7月10日に評価版が公開され[8]、2011年9月5日に正式版が公開[9]。このバージョンから、名称が「BVE Trainsim」から「Bve trainsim」に変更された。 BVE 4 以前で使用していた API が DirectX 10 でサポートされなくなり、Vista 以降での動作は基本的に出来なかったが、BVE 5 では別の API を使うことで DirectX 10 以降にも対応し[10]、Windows Vista 以降でも動作するようになった。構文が一新され、以前のデータが一部を除き使用できなくなったため、BVE 2・4 用のシナリオを BVE 5 用に変換するコンバーターが公開されている[注釈 2]。また、BVE 4 以前と比べ設定項目が高度化・複雑化しており、より再現性が向上した一方で、シナリオ制作の難易度も上がっている。 2020年9月23日にバージョン5.8が公開された。[11] Bve6と同等の機能が追加されている。
また、以下の機能が今後実装予定となっている。
BVE Trainsim 6(最新バージョン:6.0、2020年9月) 2020年6月21日にリリース候補版が公開され、同年9月23日に正式版が公開された[13]。 Bve 5 からの変更点
バージョンごとの比較ただし、上限数は現在の最新版の数とする。BVE 3 は省略。
評価これまで市販されてきた多くの鉄道運転シミュレーターは煩瑣な運転規則などを省き、多くのユーザーに受け入れられるよう娯楽性の向上を目指していた。特に『電車でGO!』はその傾向が強く、多くの鉄道好きや一般ユーザーの心をつかみ、2000年前後の大ヒットの大きな理由となった。 しかしながら、Bve trainsim の開発者である mackoy は『電車でGO!』が採用していたテクスチャ付きのグラフィックには憧れていたものの、現実の運転規則と大きく異なる点が数多くあることに対しては不満を抱いていた。そこで BVE は、実際の鉄道車両運行上のルールをプログラム上、できる限り再現することで、リアリティーの高い運転環境のシミュレートを目指し、ある程度、実現に成功した。また、路線データを製作・配布できるのがソフトの発売元のみに限定されている市販のソフトと異なり、BVE の場合は各ユーザーが自分でデータを製作・配布することができる。それにより、ユーザーが積極的に自分の好きな路線を作成して、インターネット上で公開するようになった。また、ユーザー同士の路線作成手法の交換や、各人が作成した路線の品評なども各種電子掲示板などを通じて盛んに行われるようになった。BVE は単なるゲームにとどまらず、ネット上で一大コミュニティーを築き上げた。 動作上の問題点一部の PC では動作が不完全な場合もある。スペックによっては路線データそのものが読み込めない場合、グラフィックボード等の相性やスペックの問題からオブジェクトや画像が透過されない場合がある。また、DirectX 10 対応の一部のグラフィックボードでもオブジェクトが透過されない場合がある。 また、Windows Vista、Windows 7、Windows 8、Windows 10 では OS 本体に内蔵されている Direct3D の仕様上、BVE 2・4 は動作不可能となっている[注釈 12]。 脚注注釈
出典
関連項目
外部リンク |