Ableton Live
Ableton Live(エイブルトン ライヴ)は、ドイツのAbleton社によるMacintoshとWindows用のデスクトップオーディオワークステーションソフトウェア。最新のメジャーリリースはバージョン12。競合類似ソフトと同様に、MIDIシーケンスデータとオーディオデータの両方を扱うことができる。SteinbergのVSTプラグイン規格に準拠しており(VST3.0にはバージョン10.1へのアップデートで対応)、サードパーティーのプラグインシンセサイザーやプラグインエフェクターを導入して機能を拡張させることができる。 概要Liveは他の多くのデスクトップオーディオワークステーションソフトウェアと異なり、2つの異なる制作画面(ビュー)を持つ。1つは他の類似ソフトウェアに似たアレンジメントビューであり、もう1つはLive特有の制作形態であるセッションビューである。 アレンジメントビューは他の類似ソフトウェアと同じくマルチトラックテープレコーダーのイメージであり、曲の先頭や途中からトラック毎に録音していき曲を完成させる伝統的な音楽制作スタイルに適する。一方セッションビューは1 - 数小節の短いループをトラック毎に多数作り、再生するループのグループ(シーンと呼ぶ)を動的に切り替えることでリアルタイムに曲を構成していくスタイルであり、Ableton Liveが「ライブ用ソフトウェア」であることを象徴する機能である。アレンジメントビューとセッションビューは相互に行き来可能であり、セッションビューで曲の構想を練り、作成した多数のループをアレンジメントビューにコピー&ペーストして曲を完成させていくなどの手法をとることもできる。 Ableton LiveのパッケージはSuite、Standard、そして機能限定版のIntroに分かれている。Suiteは最新版のAbleton Liveの他にも豊富なライブラリー集、7種類のシンセ (Sampler, Operator, Collision, Electric, Tension, Analog, Wavetable)、サンプルベースのインストゥルメンツ (Essential Instrument Collection , Session Drums, Drum Machines, Latin Percussion)といったものが付属する。逆にIntroは初心者向け、もしくはLiveシリーズ購入を検討している人向けであり、機能的にも制限(使用できるトラック数や入力トラック数、REXフォーマットが読み込めないなど)がある。この他にバンドルソフトとして付属し、Introの更なる機能制限版であるLite版も存在する。 歴史Ableton Liveは、C++で書かれ、商業ソフトウェアのひとつとして2001年に最初のバージョンがリリースされた。よく言われるようにLiveはMaxでプロトタイプされたわけではないが、オーディオデバイスのいくつかのモデルに用いられた[1]。 2009年4月に8がリリースされた。バージョン8.4からWindows、Macintoshともに64ビットにも対応した(但し一部の機能に制限がある[2])。2009年11月には追加パッケージとしてCycling '74が開発していた信号処理ソフトウェアMaxとの連携を深めるため、MaxをLive内で使用可能にするMax for Liveが外部パッケージとして発売された[3]。 2013年3月に約4年ぶりのバージョンアップとなる9が発売され、Max for LiveはSuiteエディションに同梱されるようになった[4]。またAKAI Professionalとの協業によるパッドハードウェアコントローラのPushにも対応した(Pushはその後、独自開発のPush2に置き換わった)。 2018年3月に5年ぶりのバージョンアップとなる10が発売された。以前からAbleton Liveと密接な関係にあったCycling '74を2017年7月に吸収したことで、Maxとの統合がより深化している。Push2の対応機能がより豊富になった。上位版のSuiteでは、新しいソフトウェアシンセサイザーのWavetableや、コンボリューションリバーブを利用できるようになった。
関連項目引用文献
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