黒い雪

黒い雪
Black Snow
監督 武智鉄二
脚本 武内鉄二
製作 長島豊次郎
出演者 花ノ本寿
村田知栄子
紅千登世
美川陽一郎
内田高子
音楽 湯浅譲二
八木正生
撮影 倉田武雄
編集 金子半三郎
製作会社 第三プロダクション
配給 国映
日活
公開 日本の旗 1965年6月9日
上映時間 89分
製作国 日本の旗 日本
言語 日本語
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黒い雪』(くろいゆき)は、1965年の日本映画。作中のシーンが「わいせつ物頒布等の罪」に問われ、監督および配給担当スタッフが刑事裁判(黒い雪事件)の被告人となったことで議論を呼び、社会問題となった。

前年に谷崎潤一郎原作の『白日夢』『紅閨夢』を相次いでヒットさせた監督・武智鉄二が自らオリジナル・シナリオを執筆した、性描写と反戦メッセージを込めた作品。

日活スコープ・モノクロ・89分。配給は日活および国映。封切り時の同時上映は『夜霧の脱出』。

あらすじ

崎山次郎の母弥須は、横田基地で売春宿を経営している。弥須の妹由美が、駐留軍のボスの情婦なので、商売は秘密裡に運んでいた。次郎は娼婦たちと関係をもっているが、彼女らが平然と黒人兵と同衾しているのを見て、言いようのない挫折感に襲われた。彼は、ハイヤーの運転手堀田の娘静江の清純さに魅かれたが、自称共産党員黒瀬に、静江を譲った。

だまされて犯された静江は、基地を裸のまま逃れたが、ジェット機の衝撃波によって地上に打ち倒された、-まるで弱小民族の運命を象徴するかのように。次郎は黒人兵を殺し、由美がボスから二万ドル受けとることを知ると、由美のキャバレーを襲い、金を奪い、由美と関係すると、途中次郎は、由美を射殺した。次郎の心の中で、民族的な怒りと、人間的憐みが走ったのだ。

娼婦の同情の中で、次郎は静江にかわる人間像を娼婦の皆子に求めようとするが、その矢先駐留軍に捕えられた。駐留軍は二万ドルの公金紛失と、殺人事件の罪で次郎をせめた。自白を拒否する次郎のもとに、堀田と静江が面会に来た。次郎は、静江の純粋な愛情を知って罪の一切を告白した。

ところが、自白が駐留軍ボスの横領罪に触れると、事件はうやむやにほうむられ、次郎は殺人罪で起訴された。日本の警察に引渡される日、弥須は「本当に悪い奴は他にいるんだよ、基地なんかなければいいんだ」と絶叫した。かつて占領軍に協力的だった母に、こう叫ばせたのは何か、黒い雪は降り積って止むを知らない。

出演

  • 崎山次郎 - 花ノ本寿
  • 母弥須 - 村田知栄子
  • 堀田静江 - 紅千登世
  • 堀田貞雄 - 美川陽一郎
  • 娼婦ユリ - 内田高子
  • 娼婦雪枝 - 月まち子
  • 娼婦英子 - 松井康子
  • 娼婦皆子 - 滝まり子
  • 叔母由美 - 水町圭子
  • 友人黒瀬 - 沢律生
  • 友人山脇 - 野上正義
  • 黒人軍曹 - リカド・ヘモサ
  • 刑事 - 花川蝶十郎
  • 坂口俊
  • 福岡ゆたか
  • ハンス・フォルネフ
  • A・モロヅ
  • ジャック・大井
  • イワン・ベレティ
  • F・ザイノウラ

スタッフ

映像ソフト

  • 2007年12月22日、「彩プロ」から「武智鉄二DVDコレクション」の一環としてDVDが発売された。

黒い雪事件

公開直後の6月16日、警視庁が上映フィルムを一斉押収し[1]、のちに監督の武智および、日活の配給部長がわいせつ図画公然陳列罪で起訴された。武智らは一審および二審で無罪の判決となり、裁判は終結した。

脚注

  1. ^ 世相風俗観察会(編)『現代風俗史年表』(河出書房新社、1986年)p.171

外部リンク