音色、空間、運動


音色、空間、運動(おんしょく、くうかん、うんどう,フランス語: Timbres, espace, mouvement)は、アンリ・デュティユー1978年に作曲した管弦楽曲。フィンセント・ファン・ゴッホの絵画に倣って「星月夜(ほしづきよ,フランス語: La Nuit Etoilée)」という副題も付けられており、「絵が生み出している天空が巻くような印象」を音楽に写し取ろうとした作品である[1]。従って、絵画に着想を得た一種の交響詩と看做し得る。

《音色、空間、運動》に霊感を与えたゴッホの「星月夜」

ムスティスラフ・ロストロポーヴィチの依嘱に応じて作曲され、1978年11月7日ワシントンD.C.において、ロストロポーヴィチの指揮とナショナル交響楽団の演奏で初演された。ただし、作品はシャルル・ミュンシュの追想に捧げられている。初版では2つの楽章から構成されていたが、1991年に改訂された際に、チェロのみで演奏される間奏曲が追加された。全曲の演奏には約15分を要する。

大規模なオーケストラのために作曲されており、16の木管楽器奏者フルート4、オーボエ4、クラリネット4、バスーン4)と11の金管楽器奏者ホルン4、トランペット3、トロンボーン3、チューバ1)、12人のチェロ奏者、10人のコントラバス奏者に加えて、打楽器群とティンパニーハープチェレスタが用いられている。興味深いことに、ヴァイオリンヴィオラは使われておらず、これらの不参加は、絵の下半分の(相対的に)うつろで静止した印象を写し取ろうとしてのものだった。反面、木管楽器と打楽器の活躍がとりわけ顕著である。これらのソロ楽句は、の動きや、星空との輝きとを表している。天空(空間)は、珍しい位置に配置されたチェロによって表現される(一群のチェロ奏者は、手前側、指揮台の周りを半回転するように陣取っている)。動き(運動)は、静的なエピソードと掻き回すようなソロ楽句との交代によって象徴される。

参考書籍・外部リンク

  1. ^ French,"effet de tournoiement quasi cosmique qui s'en dégage" - Dutilleux.