『銀行総務特命』(ぎんこうそうむとくめい)は、池井戸潤の経済小説。『週刊現代』(講談社)2001年11月17日号から2002年6月15日号にかけて連載され[1]、2002年8月9日に同社より単行本が刊行された[2]。
2005年8月15日に講談社文庫版が発売され、2011年11月15日には講談社文庫新装版が刊行された[3]。
帝都銀行で不祥事・スキャンダルの処理を任された特命担当調査役・指宿修平の活躍を描く銀行ミステリー。
2014年と2015年に収録作の5篇を原作として『花咲舞が黙ってない』のタイトルでテレビドラマ化された。
あらすじ
- 漏洩
- 指宿はミカドと名乗る男が名簿業者に流出させた帝都銀行が融資先の信用格付けを評価した名簿の流出経路を追う。
- 煉瓦のよう
- 支店部長となり、役員の肩書をも手に入れた叩き上げの行員が、民事再生法の適用を決めた建設会社に絡む二百億円の損失に関与した疑惑を指宿は調査する。
- 官能銀行
- 帝都銀行の女子行員がアダルトビデオに出演したとスクープされる。指宿は人事部の唐木とその女優を特定すべく調査に着手する。
- 灰の数だけ
- 債権回収の実績が評価され支店長に就任した堂島の妻と子が誘拐される。身代金の運び役となった唐木怜は誘拐犯の指示で都内を駆けずり回る。
- ストーカー
- 帝都銀行渋谷支社のキャリア組・前原美樹が行内の人間と思われる人物にストーキングされ、指宿はストーカーの特定に乗り出す。
- 特命対特命
- 指宿を煙たがる人事部はエース行員の星川に、トレーダー・宮野が百数十億円の損失を出した失敗を指宿に擦り付け追放する特命を実行させる。
- 遅延稟議
- 帝都銀行川崎支社長が夜道で刺される。警察が捜査に乗り出す中、指宿も独自に事件の背景を調査する。
- ペイオフの罠
- 唐木は10年前に夫が投資話に騙されて自宅を売却する処理を担当した女性から、ある行員の人柄を信じ3300万を貯金した銀行が倒産したと相談を受ける。
登場人物
- 指宿 修平(いぶすき しゅうへい)
- 主人公。帝都銀行総務部企画グループ。行内の不祥事を処理する特命担当。
- 鏑木 和馬(かぶらぎ かずま)
- 総務部企画グループの若手行員。指宿の補佐。
- 唐木 怜(からき れい)
- 人事部調査役。鏑木の後任として総務部へ異動し指宿の補佐となる。
- 斉藤 浩二朗(さいとう こうじろう)
- 帝都銀行副頭取。特命を組織外の直属の組織とし、指宿を指揮する。
- 門倉 澄男(かどくら すみお)
- 警視庁捜査一課特殊犯捜査係。金融犯罪で指宿が捜査に協力する。
書籍情報
文庫を元にオーディオブック化されていて、多田啓太の朗読により、2019年にAudibleからデータ配信された。
テレビドラマ
2014年4月期と2015年7月期に、日本テレビ系「水曜ドラマ」枠で放送された『花咲舞が黙ってない』(はなさきまいがだまってない)の第1シリーズおよび第2シリーズの原作としてテレビドラマ化された[5]。
漫画
2014年7月号から2015年9月号まで『花咲舞が黙ってない』のタイトルで、『Kiss』(講談社)六多いくみ作画で漫画化され、本作収録の「ストーカー」と「灰の数だけ」の2篇を原作とするエピソード2篇が掲載され、2015年に書籍化された。
脚注
外部リンク
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