鉄拐鉄拐(てっかい)は落語の演目の一つ。原話は、文化年間に桜川慈悲成が出版した笑話本・『落噺常々草』の一遍である「腹曲馬」。 あらすじ舞台は上海に店を構える廻船問屋・『上海屋』。毎年、創業記念日に豪華絢爛な余興を見せていたが、あまりにもいろいろとやりすぎたせいでとうとう今年はネタが無くなってしまった。困った主の唐右衛門は、番頭に《珍しい芸人》を探してくるように厳命。 番頭も張り切って捜索に出るが、何しろあらかたの芸は既にやっているためなかなか珍しい芸人が現れない。 そんなある日の事…。山中で迷子になってしまった番頭は、息をフーッと吐くことで、自らの分身を生み出す鉄拐という仙人に助けられる。 これぞ珍しき芸能! そう直感した番頭は、仙人に頼み込んで上海屋の余興に出演してもらった。
こうなると流石の仙人もすっかり乗せられてしまい、興業師にマネジメントをしてもらい、弟子を雇って芸を仕込むなどすっかり増長してしまった。 …と、ここであまりにも人気者となった鉄拐をねたみ、彼の向こうを張るような秘術を持った者を呼んでこようという興業師が出現。
これがまた馬鹿な評判で、段々と鉄拐の人気が落ちてくる。
おかげで張果老の人気は下落。また鉄拐が人気者になってくる。
ところが、客のなかに酔っ払いがいて、腹の中で喧嘩を始めて大暴れ。
概要中国を舞台とした珍しい話で、オチは李白と陶淵明が大の酒豪であったことを考えて初めて理解出来る「考え落ち」。二人の名前をポンと出してサゲるため、マクラで彼らのことには触れない。ただし、李白は阿倍仲麻呂との交流があったことから奈良時代の歴史にて紹介されることがあり、全くのノーヒントではない。また、二人とも詩人であることから「文士の客が来た」「客が腹の中で詩を読んだら作風をめぐって論争となり、喧嘩になった」など、ネタ中でヒントを出すことがある。なお、李白は8世紀、陶淵明は4~5世紀の人物であり、史実上で両者が直接出会ったことはない。 原話から内容がほとんど変化しておらず、昔の落語を知る格好の手がかりとなっている。 昭和期に3代目桂三木助が速記本を参考に口演するようになり、その型が7代目立川談志を通じて現在に受け継がれている。 二人の仙人について鉄拐と張果老はともに道教の『八仙』のメンバー。
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