迎日湾
迎日湾(ヨンイルわん、ハングル:영일만)は、大韓民国慶尚北道浦項市にある湾。日本海に面し、西の達萬岬と東の虎尾串(長鬐岬)を結ぶ内側の海域である。沿岸には浦項市街地と興海邑・東海面・虎尾串面がある。 自然環境湾の東側を虎尾串が遮る風波の少ない天然の良港である[1]。 東北方向に伸びた太白山脈と虎尾串から慶州の吐含山をつなぐ南西方向の山系がこの地域の南部にあり、この二山系の間で南東方向に兄山江が迎日湾に流入して河口付近の浦項市内に広い沖積地である浦項平野を形成している[2][3]。 湾口は北東向き、水深は約200mであり、外海に行くほど水深の傾斜が非常に急な海底地形を示す[2]。 幅約10㎞、湾入は約12㎞に達し、水深は海岸から1〜2㎞地点までは10m程度、湾口では16〜19m程度である[2]。 湾奥には2㎞に達する半月形の砂洲になった松島海水浴場があり、防風林として植林されたクロマツ・ヒノキが鬱蒼とした森を形作っている[2]。 気候は概して海洋性気候の特色を示すか寒暑の差が大きく、冬には気温が最低-15℃以下まで、夏には最高35℃以上まで上下する時もある[2]。 歴史「迎日」という地名は高麗時代の延日県に由来し、『三国遺事』阿達羅王四年(157年)の延烏郎と細烏女の説話に現れる。それによれば、日月の精である延烏郎細烏女夫婦が日本へ渡ったため日月が光を失い、王が使いを寄越したが、延烏郎は日本で王(新羅人が王になったという記録がないことから大王のことではなく地方を治める小王であるとみられる)として迎えられているのを天命として帰国を拒み、代わりに細烏女の織った綃(絹の織物)を与え、それで天を祭ったところ日月が元に戻った事から、天を祭った所を迎日県または都祈野と呼んだのだという[4]。
交通迎日湾港 産業湾内に重工業都市かつ水産都市である浦項市がある。同市は1967年に兄山江河口一帯が総合製鉄工業地域に設定されたことで、本格的な東南海岸工業ベルト地域の拠点都市として開発され始めた[2]。 兄山江の河口付近は浦項工業団地と松島遊園地が位置する[3]。 浦項工業基地には関連産業である金属・機械部品メーカーの工業団地が立地していて、製鉄・金属・機械工業が系列化された一つの重化学工業コンビナートを形成している[2]。 湾奥部に注ぐ兄山江が運搬する土砂によって広大な砂州が形成されており、浦項港への大型船舶の接岸を妨げてきたが、1973年砂州の一部が埋め立てられ,韓国最初の一貫製鉄所である浦項製鉄所が建設された。以来沿岸一帯は韓国屈指の金属工業基地として発展し、港湾施設も整備されてきた[1]。 浦項港内には旧港・新港・迎日湾港などが位置している。2009年8月には浦項迎日湾港第1段階が完成した[2]。 迎日湾沿岸は人口密度の高い市街地地域に隣接して公団地域が密接なところである。兄山江からの排水が流入するため水質保全対策が求められている[2]。 2024年6月3日、尹錫悦大統領は就任後初の国政ブリーフィングで、迎日湾沖の日本海に140億バレルに達する石油とガスが埋蔵されている可能性が高く、専門家の検証も終わったと述べ、試掘を経て開発の可能性を言及した[7]。 軍事大韓民国1海兵師団が浦項に本部を置く。 脚注
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