赤池弘次

赤池 弘次
人物情報
生誕 (1927-11-05) 1927年11月5日
日本の旗 日本静岡県富士宮市
死没 2009年8月4日(2009-08-04)(81歳没)
出身校 東京大学
学問
研究分野 数学
研究機関 統計数理研究所
学位 理学博士
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赤池 弘次(あかいけ ひろつぐ、1927年11月5日[1] - 2009年8月4日[2])は、日本数理統計学者。1970年代に確立した赤池情報量規準(AIC)で知られる。統計数理研究所第8代所長。2006年京都賞受賞者(基礎科学部門)[3]

経歴

1927年、現在の静岡県富士宮市にて生まれた[1]。1945年、海軍兵学校75期)を卒業し、第一高等学校に入学。1948年、第一高等学校を卒業。同年4月に東京大学理学部数学科に入学し、数学を専攻した。1952年、東京大学理学部数学科を卒業。

卒業後は、1952年4月より統計数理研究所に入った(文部技官)。1961年、学位論文『間隔過程の統計的管理について』を東京大学に提出して理学博士号を取得[4]。1962年より統計数理研究所第一研究部第二研究室長、1973年より同研究所第五研究部長、1985年より同研究所予測制御研究系研究主幹を務めた。1986年、統計数理研究所所長に就任。1994年、任期満了により所長を退任、また、総合研究大学院大学名誉教授となった。

学界においては、1988年に日本学術会議会員に選出された(1991年まで)。1989年より日本統計学会会長を務め、IEEEフェローにも選出された。2009年:8月4日午前6時頃死去[5]

受賞・栄典

受賞

栄典

Akaike Guest House

顕彰(Akaike Guest House)

研究内容・業績

1960年代までに携わった時系列解析因子分析で得た知見をもとに、モデル選択英語版のための一般的な手法である赤池情報量規準(AIC)を発表した。この手法はその後、モデル選択の標準的な手法として広く用いられるとともに、ベイジアンの枠組みへの拡張など多数の理論的発展を生んだ[7]。1974年の赤池の論文 "A new look at the statistical model identification"[8] は工学・技術分野でもっとも多く引用される文献のひとつに数えられる[9]

1972年の著書『ダイナミックシステムの統計的解析と制御』[10]において統計モデルに基づくシステム同定システム制御の方式を提案し、PID制御に代わる現代制御論の実用化の道を開いた。この方式は、セメントのロータリーキルン火力発電所最適制御[11][12]など、産業界の様々なシステムの効率化を導いた[9]

著書と論文

  • Akaike, Hirotugu (1974). “A new look at the statistical model identification”. IEEE Transaction on Automatic Control 19 (6): 716-723. doi:10.1109/TAC.1974.1100705. 
  • 赤池弘次、中川東一郎『ダイナミックシステムの統計的解析と制御』サイエンス社、1972年4月。ISBN 4781902537 
    • 新版:赤池弘次、中川東一郎『ダイナミックシステムの統計的解析と制御』サイエンス社、2000年12月。ISBN 4781909728 
    • 英訳:Akaike, Hirotugu; Nakagawa,Toichiro (1988). Statistical analysis and control of dynamic systems. ISBN 90-277-2786-4 
  • Parzen, Emanuel; Tanabe, Kunio; Kitagawa, Genshiro, eds. (1998), Selected papers of Hirotugu Akaike, New York: Springer, ISBN 978-0387983554 
  • Findley, David F.; Parzen, Emanuel (1995). “A Conversation with Hirotugu Akaike”. Statistical Science (Institute of Mathematical Science) 10 (1): 104-117. doi:10.1214/ss/1177010133. 

脚注

  1. ^ a b プロフィール 故赤池弘次先生記念ウェブサイト 赤池記念館”. 2020年2月13日閲覧。
  2. ^ 訃報:統計数理研究所元所長 赤池弘次先生”. 統計数理研究所 (2009年8月6日). 2020年2月13日閲覧。
  3. ^ 赤池 弘次 第22回(2006年)受賞者”. 京都賞. 稲盛財団 (2006年). 2020年2月13日閲覧。
  4. ^ 博士論文書誌データベース。NAID 500000357332
  5. ^ 赤池弘次氏死去 時事通信 2009年8月4日閲覧[リンク切れ]
  6. ^ 朝日賞 1971-2000年度”. 朝日新聞社. 2022年8月29日閲覧。
  7. ^ deLeeuw, J. (1992), “Introduction to Akaike (1973) Information theory and an extension of the maximum likelihood principle”, Breakthroughs in Statistics: Foundations and basic theory, 1 (1 ed.), Springer, pp. 599-600, ISBN 978-0-387-94037-3 
  8. ^ #Akaike1974a
  9. ^ a b #FindleyParzen1995
  10. ^ #赤池中川1972
  11. ^ 木原彬殷 著「セメントプロセスの統計的制御」、赤池弘次、北川源四郎 編『時系列解析の実際II』1994年、p.1頁。 
  12. ^ 中村秀雄 著「統計モデルによる火力発電用ボイラの制御」、赤池弘次、北川源四郎 編『時系列解析の実際I』1994年、p.2頁。 

外部リンク

先代
林知己夫
統計数理研究所
第8代:1986年 - 1994年
次代
清水良一
先代
中村隆英
日本統計学会
第19代:1989年 - 1990年
次代
竹内清