賈 島(か とう、大暦14年(779年) - 会昌3年7月28日(843年8月27日))は、中国唐の詩人。字は浪仙、または閬仙。幽州范陽県(現在の河北省保定市涿州市)の出身。
略歴と逸話
はじめ進士の試験に失敗して、僧となり法号を無本と称した。後に洛陽に出て文を韓愈に学び、その才学を認められ還俗して進士に挙げられた。大和9年(835年)に長江県の主簿となり、会昌元年(841年)に普州司倉参軍となり司戸参軍に赴任するところ、命を受けないうちに牛肉を食べすぎて没したという。享年65。
進士の試験を韓愈に薦められて一度は落ち、「宰相が憎んでいるせいだ」と他人にそそのかされて腹を立て、ちょうど新居を建てたばかりの宰相の裴度にあてて詩を作り、「千家を破却して一池を作る、桃李を栽えずして薔薇を種う、薔薇花落ち秋風の後、荊棘満庭君始めて知らん」と誹謗したことがある。これは不評であり、賈島がなかなか出世しない理由となったという。
賈島は苦吟をもって名高く、「李欵の幽居に題す」中の一句で僧は敲くがいいか、僧は推すがよいかと悩みながら歩いているうちに(一説にはロバに乗っていた、とある)韓愈の行列に突き当たり、賈島が悩みを打ち明けて相談したところ、韓愈は「それはもちろん、僧は敲く、が良い」と言下に答え、それから賈島は韓愈の門下に入ったという話がある。このことから「文章を書いた後、字句を良くするために何回も読んで練り直すこと」を「推敲」という。
「独行潭底影、数息樹影身」の二句を3年かけて練り上げ、自ら注して「一吟双涙流る、知音もし賞せずんば、帰りて故山の秋に臥せん」という。小杉放庵は、「我が事について、ことさら重大に考える癖のある人」と評している。一方、唐代の李洞のように賈島の詩を慕い、ついに賈島の銅像(賈島仏)まで造って仕えた人もいる。
詩風
北宋の蘇軾の評に「郊寒島痩」(郊は孟郊で、島は賈島)という語がある。特に五言律詩に長じた。
著書に『長江集』10巻がある。
題李欵幽居
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閑居少鄰竝
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閑居隣並少なく
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草径入荒園
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草径荒園に入る
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鳥宿池中樹
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鳥は宿る 池中の樹
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僧敲月下門
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僧は敲く 月下の門
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過橋分野色
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橋を過ぎて野色を分かち
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移石動雲根
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石を移して雲根を動かす
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暫去還来此
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暫く去って還た此に来たる
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幽期不負言
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幽期 言に負(そむ)かず
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渡桑乾
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客舎并州已十霜
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并州に客舎し 已に十霜
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歸心日夜憶咸陽
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帰心日夜 咸陽を憶う
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無端更渡桑乾水
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端無くも更に渡る 桑乾水
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卻望并州是故郷
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卻って并州を望めば 是れ故郷
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尋隠者不遇
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松下問童子
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松下童子に問う
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言師採薬去
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言う 師は薬を採りに去る
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只在此山中
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只だ此の山中に在り
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雲深不知處
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雲深くして処を知らず
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関連項目