虹男『虹男』(にじおとこ) は、角田喜久雄の推理小説。 および、それを原作とする映画作品。 小説版1947年に第一新聞に連載され、春陽文庫などで刊行された。『笛吹けば人が死ぬ』等でおなじみ明石良輔、岡田警部が登場、陰陽師の呪いをバックボーンに、虹に取り憑かれた一家、摩耶家の奇怪な連続殺人の謎を追う。 知的障害の少年や囚われの精神異常者といった異常なキャラクター達、「虹男の伝説」といったスリラー風味を前面に押し出しつつ、犯人捜し、アリバイトリック、虹を見せる殺人方法の理由など本格要素も含んだ探偵小説である。 書籍
映画版
ストーリー社会部記者の鳥飼美々は、物理学者の摩耶龍造の別荘で起こった放火殺人事件の容疑者が、学生時代の友人で、龍造の後妻の姪である由利枝と知り、同僚で恋人の明石良輔とともに由利枝の無実を晴らそうとする[1]。 ところが龍造の本宅では女中かねを始め、「虹だ、虹男だ!」と断末魔を遺して次々と人が殺されていく。龍造の屋敷には虹の絵を描く画家の勝人や、最近家に戻って来た豊彦らがいた。保釈された由利枝と共に摩耶家に捜査に入った岡田警部は、摩耶家の人々が「虹」に対して何かを恐れ、秘密を持っていることに気づく。 さらに龍造がかつて大学で友人の研究を奪って学位を取ったことや、由利枝の妊娠、その相手は最初の放火殺人事件で死んだはずの弟子の八郎であることが発覚。事件は混迷を深めていく。 解説角田喜久雄の上述の新聞連載作品を原作とし、大映東京撮影所の制作によって1949年(昭和24年) 7月18日に公開された[1]。大映のミステリー路線大映スリラーの1作[1]。パートカラー、スタンダードサイズ、81分、検閲認証番号:10504。同時上映は『犯罪は防げるか 兇悪犯罪の實態』。 幻覚物質メスカリンによる幻覚の表現として部分的にカラーフィルムを挿入した画期的な作品である。但しこれはドラマをカラー撮影したものではなく、赤、青、黄等の色のコントラストが映画の中途中途に数秒間挿入されるものだったが、カラー映画がまだ無かった日本映画では画面に色が現れるだけでも衝撃的な試みであった。虹男の幻影シーンなど、特撮パートには円谷英二が参加している[2][1]。 なお、現存する本作のネガフィルムは1970年代の不燃化作業の際にデュープされたものであるが、当該作業時にはカラー映像部分のネガは発見されず、デュープネガではカラー部分は欠落している。現在鑑賞することが可能なのは当時の制作関係者や映画を観た人の証言を元にカラーパートを復元したバージョンである[1]。 スタッフ
キャスト
ソフト化大映ビデオから「大映ビデオミュージアム」としてVHSソフトが発売された。1992年にはパイオニアからレーザーディスクが発売された。DVDは2006年に角川書店から発売された。 脚注参考文献
外部リンク |