腹毛動物
腹毛動物(ふくもうどうぶつ、学名:Gastrotricha)とは、淡水および海産の微小な多細胞動物である。現在では独立の動物門と考えることが多い。 概説腹毛動物門は、極めて小さい水中動物で、イタチムシなどを含む動物の総称である。ごく小さな動物であり、顕微鏡でなければ発見できない。後生動物中で最も小さいと言われ、小さいものは70μmそこそこ、大きいものでも1mmに達するものはほとんど無く、たいていは500μm以下である。 特徴体は前後に細長く、左右対称で、腹背の区別がある。付属肢などはなく、腹面にある繊毛帯で運動する。また、腹面に粘着腺があって、ものに付着することができる。体表はクチクラで覆われ、鱗や細かい刺をその表面に並べるものが多い。 消化管は体の先端に口が開き、直線的に後端近い背面に出る。イタチムシ類では原腎管が一対あり、腹面に開く。縦走筋はあるが環状筋はない。 雌雄同体であるが、同時に成熟することはない。イタチムシ類では雄性器官が発見されておらず、単為生殖を行うのではないかと考えられている。卵は体控の後方に作られる。発生は直接的で、幼生はやや小さいだけで成体とほぼ同じ構造。 水中の藻類や沈殿物の表面やその間をはい回って生活し、微小藻類やデトリタスを食べていると考えられる。寄生性のものはない。オビムシ類には間隙生物であるものも多い。 系統と分類原体控を持ち、繊毛で運動することなど、ワムシ類に共通する部分があり、かつては輪形動物の中に含められた。まとめて袋形動物としたこともあった。現在では独立群と見なすことが多い。 腹毛動物門には12科、150種ばかりが知られる。すべてが腹毛綱に含まれ、2目に分けられる。イタチムシ目(毛遊目 Chaetonotida)はほとんどが淡水性。頭部と腹部の間がくびれる。オビムシ目(マクロダシス目 Macrodasyoidea)は、すべてが海産。体は幅が一定の帯状。腹側面には多数の粘着管が配置する。種数はこちらの方が多い。 参考文献
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