線維芽細胞増殖因子受容体
線維芽細胞増殖因子受容体(せんいがさいぼうぞうしょくいんしじゅようたい、fibroblast growth factor receptors,FGFR)は、線維芽細胞増殖因子(FGF)ファミリーのタンパク質に結合する受容体である。これらの中には疾患に関与するものがあり、例えばFGFR3の点突然変異は軟骨無形成症を引き起こす可能性がある。 構造3つの免疫グロブリン(Ig)様ドメインからなる細胞外リガンドドメイン、1つの膜貫通型ヘリックスドメイン、チロシンキナーゼ活性を持つ細胞内ドメインから構成され、成長因子リガンドの最大のファミリーである22のメンバーからなる線維芽細胞成長因子と結合する[1][2]。 4つのFGFR遺伝子の選択的スプライシングにより、48種類以上のアイソフォームが産生される[3]。これらはリガンド結合特性やキナーゼドメインが異なるが、すべて3つの免疫グロブリン様ドメイン(D1-D3)からなる共通の細胞外領域を有する免疫グロブリンスーパーファミリーに属する[4]。 免疫グロブリン様ドメインD1とD2の間には一連の酸性アミノ酸配列("acid box"と呼ばれる)が存在する[5]。この領域がFGFとの結合能力を制御し、D2とD3領域がFGFを認識し結合する。FGF/FGFRの対応は多対多であり、各FGFRは複数種のFGFによって活性化され、多くの場合、FGFも2種以上のFGFRを活性化できる(例えば、FGF1は7つの主要なFGFRすべてに結合する[6])。しかし、FGF7のようにFGFR2bのみを特異的に活性化するものもある[3]。FGFRは、ヘテロダイマーおよびホモダイマーとして二量体化する事が知られている。 また、5番目のFGFRタンパク質であるFGFR5の遺伝子も同定されている。FGFR1〜4とは異なり細胞内チロシンキナーゼドメインを持たず、アイソフォームは1つのみ(FGFR5γ)で、細胞外ドメインはD1とD2のみを持つ[7]。 遺伝子これまでに、脊椎動物では5つの異なる膜FGFR遺伝子が同定されており、それらは全てチロシンキナーゼスーパーファミリーに属している(FGFR1〜FGFR4)。
医薬品の標的FGF/FGFシグナル伝達経路は様々な癌に関与する[8]。 他のタンパク質も含むFGFR1~4の全てに作用する非選択的FGFR阻害剤と、FGFR1~4の全てまたは一部のみに作用する選択的FGFR阻害剤が存在する[9]。選択的FGFR阻害剤には、AZD4547、BGJ398、JNJ42756493、PD173074等がある[9]。 出典
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