紫山大全集

紫山大全集』(しざんだいぜんしゅう)は、14世紀に成立した元代胡祇遹による文集。題名は胡祇遹が紫山と号したことに由来する。

概要

胡祇遹は磁州武安県の出身。門人の劉賡の序によると、原本は胡祇遹の息子の胡持が編纂した67巻本で、延祐2年(1315年)に刊行されたという[1]。しかしその後に散逸し、現在に伝わるのは『永楽大典』に所収されたものを抜き出した26巻本である[1]

26巻本は賦/詩/詩余7巻・文12巻・雑著5巻・語録2巻で構成され、特に雑著には元代の吏治研究上で重要な記述が含まれると評されている[1]

内容

巻目 巻題 節目
巻1
巻2 五言古詩
巻3 五言古詩
巻4 七言古詩
巻5 五言律詩
巻6 七言律詩
巻7 五言絶句
巻8
巻9
巻10
巻11
巻12
巻13
巻14
巻15 懐遠大将軍彰徳路達嚕噶斉揚珠台公徳政去思碑、潞城県尹呉公去思碑、霍僉事世徳碑銘、張彦明世徳碑銘、成安鄭氏世徳之碑、大元故懐遠大将軍彰徳路達嚕噶斉揚珠台公神道碑銘、大元故懐遠大将軍懐孟路達嚕噶斉兼諸軍鄂勒蒙古公神道碑
巻16 舒穆嚕氏神道碑、李隠者墓碑、故磁州安撫使李公神道碑銘、王晋卿父王隠士神道碑、衛輝提領長官蕭公神道碑、徳興燕京太原人匠達嚕噶斉王公神道碑、舒穆嚕某神道碑、故鎮国上将軍総管砲水手軍匠元帥府清州張侯神道碑銘、大元故元帥左都監曲周県令杜公神道碑銘、同知石州事高公神道碑、王忠武墓碑銘
巻17 大元故明威将軍同僉書東川行枢密院事王公神道碑銘、蕭千戸神道碑銘、承直郎江西等処榷茶都転運司副使李公神道碑、故大名路徴収課税所長官耶律公神道碑、大元故奉訓大夫知宿州事張公神道碑銘、守貞玄静散人女冠左錬師墓碑、集真観碑、磁州嘉福寺賢公講主碑、斉聖広祐王廟碑、太清宮碑
巻18 墓誌銘 耶律氏墓銘、正議大夫両浙都運転使李公墓誌銘、怡軒先生胡徳珪墓銘、姜氏墓銘、緱山先生杜君墓誌銘、武略将軍彰徳録事朱公墓誌銘、顕武将軍安陽県令兼輔嵓県令李公墓誌銘、邢洺路都総管府従事解君墓碣銘、唐僉事先徳墓誌銘、奉直大夫僉江西湖東道粛政廉訪司事杜公墓誌銘、隠士高君墓誌銘、李伯宗墓誌銘、瓜爾佳隠士墓誌銘、従仕郎真定阜平県尹蔡君墓誌銘、奉訓大夫知泗州事王伯潜墓誌銘、魏処士墓碣銘、什達爾夫人墓碣銘、雄辨大師塔銘、大聖山孝思禅院広公和尚塔銘、龍虎衛上将軍安武軍節度使兼行深冀二州元帥府事王公行状
巻19 祭文 祭伏羲氏文四篇、祭神農文四篇、祭黄帝文三篇、祭五台山神文、祭汶水神文、祭泗水神文、西冶祭金火神文、皇城啓土祀神文、彰徳路祈雨文、祭杜元伯文、祭趙継先墓文、祭王中丞子勉文、祭宋海卯文、李仲常哀辞
巻20 雑著 原心、原教、雑言、論道、立言、道心人心、読春秋、晋范文子論鄢陵之戦、癸亥冬観綱目、読楚辞雑言、読老子、読呂恵卿荘子解、論荘老、論釈道、論性、論取人、論作養士気、士辨、悲士風、論陰陽家
巻21 雑著 論治道、論治法、論時事、論臣道、論按察失職、論除三冗、政事、銓調、銓詞、論遷転太速、論体覆之弊、論沙汰
巻22 雑著 宝鈔法、論聚斂、論司農司、論農桑水利、論逃戸、論復逃戸、論積貯、時政、即今弊政、論定法律、革昏田弊榜文、軍政
巻23 雑著 県政要式、精選県令、論併州県、論府州県官、民間疾苦状、吏治雑条、折獄雑条、丁糧地糧詳文、論倉糧、匹夫歳費、試典史策問
巻24 語録
巻25 語録
巻26 語録

脚注

  1. ^ a b c 植松1989,131頁

参考文献

  • 植松正「至正集」『中国史籍解題辞典』燎原書店、1989年