第15回気候変動枠組条約締約国会議
第15回気候変動枠組条約締約国会議(だい15かいきこうへんどうわくぐみじょうやくていやくこくかいぎ、Fifteenth Session of the Conference of Parties to the United Nations Framework Convention on Climate Change)は、2009年12月7日から12月18日の日程でデンマーク・コペンハーゲンのベラセンターで開催された、京都議定書に続く、温室効果ガス排出規制に関する国際的枠組を決定することを主な目的とした国際会議である[1]。通称COP15。同時に開催された第5回京都議定書締約国会合(COP/MOP5)と合わせ、全体としてはコペンハーゲン国連気候変動会議(United Nations Climate Change Conference in Copenhagen[2])と呼ばれる。 概要気温上昇2度以内の目標、2050年までの世界全体の排出量を50パーセント減、先進国全体の排出量を80パーセント減を目指した。どこまで拘束力を持った合意ができるかが焦点となった[3]。 先進国(特にアメリカ合衆国)は、途上国における国内削減努力を国際的に算定・報告・検証させることを目指したが、これまで枠組みの対象外とされてきた最大の排出国である中華人民共和国を始めとする途上国の大国は反発した[3]。 他方で、コペンハーゲン会議の前に、ブラジル・中国・インドは、相次いで2020年の国内目標を発表しており、自主目標とはいえ、途上国が削減行動を国際的な合意の中に書き込むことに賛同したのは、歴史的な転換ともいえる[3]。 主要国間での妥協の末コペンハーゲン合意がなされたものの、本会議では再び紛糾して表現が更に弱められることとなり、正式には国連気候変動枠組条約(UNFCCC)の枠外に追いやられ、同意する国だけの政治合意と位置づけられることとなった[3]。 参加国・人数気候変動枠組条約締約国の約190カ国から1万人以上が出席した。うち98カ国から首脳が出席した。 日程
最終日の17、18日は各国首脳が集まる首脳会合となった。なお、京都議定書の採択されたCOP3では先進国の首脳は誰一人参加していない。 焦点2013年以降の温室効果ガス削減目標第3回気候変動枠組条約締約国会議で採決された京都議定書に定めのない2013年以降の温暖化ガス削減目標が最大の焦点となった[要出典]。ラクイラ・サミットで「先進国は2050年までに温室効果ガス80%減」と合意している。しかし、先進国と途上国の対立は激しく、京都議定書に続く新たな議定書(アメリカと中国が参加するポスト京都議定書)の採択は困難とされた。 先進国から途上国への温暖化防止対策資金・技術移転の問題→「鳩山イニシアチブ」も参照
途上国への2012年までの年間100億ドル規模の資金拠出、2013年以降の長期的な協力の仕組みを議論する[要出典]。 予想されたポスト京都議定書の合意内容米中も参加する新たな議定書の策定合意京都議定書で削減義務を負わないアメリカと中国は、世界の温室効果ガス排出量の4割を占めるため、両国の参加なしではポスト京都議定書の効果はない。日本、EUは全ての国で1つの議定書のもと、排出削減規定の合意を求めている。 京都議定書を延長(米中・途上国は別の枠組みを作成)インドなどの途上国は「温暖化の原因は先進国の問題」と主張する、そのため参加国の目標を引き上げた上で延長し、アメリカや中国は別の枠組みを作り一定の規制を掛けるという構想。 米中は参加しない議定書の内容はそのままで、日本、EUなどの先進各国で目標を引き上げるのみにとどめる。この合意案には日本が猛反対した。これは国連気候条約のイボ・デブア事務局長が「大多数の国が延長を望んでいる」と発言したためである。 各国の2020年までの温室効果ガス削減目標値(特に明記ないものは、AFP BB記事[4]を参照) 一般に干ばつや洪水といった温暖化による被害を回避するためには、2020年までに先進国は25%~40%は削減しなければならないと言われている[5]。
各国詳細日本日本からは小沢鋭仁環境大臣が出席。最終日には鳩山由紀夫首相も合流した。 1990年比で25%の削減を掲げて国際交渉に臨んだ。 日本の目的は主に(1)次期枠組み作りにおいて、不平等条約と揶揄された京都議定書の単純延長の阻止と(2)途上国支援の道筋を作ることだった。 (1)(2)ともに達成することができたが、会議の本来の目的である次期枠組みの法的拘束力が伴う合意には至ることができなかった[6]。 また(1)を主張した際、日本は、NGOが国際交渉で足を引っ張った国に贈る「本日の化石賞」を受賞した。 このことに対し小沢環境大臣は「納得できない。NGOは主要排出国である米国や中国に削減義務がない京都議定書でもいいと考えているのか。逆に聞いてみたい」とコメントした[7]。 中国温室効果ガス排出国世界1位の中国は11月26日、自主的な目標としてGDPあたりの二酸化炭素排出量を2020年までに2005年比で40%~45%削減すると発表。最終日に温家宝首相が出席した。 アメリカ合衆国京都議定書から離脱した排出量世界2位のアメリカはバラク・オバマ大統領が最終日に出席すると発表。当初はノーベル平和賞授賞式が10日にオスロで行われるため、その前日についでに訪れる予定であったが、中国やインドの首脳らが出席を表明したため急遽変更。グリーン・ニューディール政策を打ち出し再生可能エネルギーの拡大、ハイブリッド車の普及など対策を勧めている[8]。 2020年までには2005年比で17%、2050年までに83%減を表明しているが、途上国が求める2020年までの40%には遠く及ばず、また1990年(京都議定書基準年)比で換算すれば5%にも満たない。 カナダ90年比で25%削減を表明[要出典]。 インド世界4位の温室効果ガスの排出国とされるインドは、2020年までの排出量を2005年比で20~25%削減すると、12月3日にラメシュ環境相が発表。17日にシン首相が参加した[要出典]。 欧州連合EUは、基準年から2020年までに20%削減を表明。他の先進工業国が続くなら30%に引き上げる[要出典]。 ロシアロシアは11月18日に行われたEUロシア首脳会議で、ドミートリー・メドヴェージェフ大統領は2020年までに20~25%削減を表明。ただし公式発表はされていない[要出典]。 デンマーク議長国デンマークは、産業革命前と比べ気温上昇を2度以内に抑える目標と、2050年までの温室効果ガスを1990年比で半減する目標を示した[要出典]。 環境問題に都市レベルで取り組む開催地コペンハーゲンでは自転車が目立つ。自転車専用レーンが町の至る所に整備され全長は360kmにも及び、自転車の速度に合わせた信号もある。一般の道路より近道になる自転車専用の橋までもあり、さらには自転車専用高速道路の開通も予定されている。すでに20%もの二酸化炭素削減に成功しており、実に会社通勤者の50%が自転車通勤であるとの統計が出ている。[9] また、デンマーク売春婦団体はCOP15参加者を対象に無料で売春サービスを提供すると発表。コペンハーゲン市議会で審議中の「反売買春条例案」に対抗しているものと見られる[10]。 イギリスすでに京都議定書が定める12.5%の削減目標を達成したイギリスは、火力発電を使う際に排出される二酸化炭素を地下に貯留する二酸化炭素回収・貯留技術の導入を検討し、2020年までの削減目標を1990年比で34%削減目標を掲げる[要出典]。 温室効果ガスの新たな削減目標で合意を求めるデモがロンドンのアメリカ大使館近くで行われ、約2万人が参加した[11]。 オーストラリアオーストラリアは、世界全体で二酸化炭素濃度の水準を450ppmまで安定させるか、それ以下にするために野心的で世界的な取引に同意するならば、2020年までに2000年水準より二酸化炭素排出量を25%削減するとしている[12]。また、大規模な発展途上国が大幅な排出抑制を約束し、先進国がオーストラリアに相当する責任を負うという合意があれば、2020年までに排出量を2000年水準より15%削減すると表明している[12]。 突然の議長解任COP15の議長を務めていたデンマークのコニー・ヘデゴーCOP15担当相が16日、突然解任された。後任には同国のラース・ロッケ・ラスムセン首相が引き継いだ。 コペンハーゲン合意19日午前、全体会合でコ日米欧含め28カ国が合意(Copenhagen Accord)を作成。ただし中南米諸国の一部が反対したため、合意そのものではなく「合意に留意する」ことを決定した。 全文(特に明記ないものは全文を参照[13]) コペンハーゲンで行われた2009年国連気候変動会議に出席した各国元首、首脳、閣僚、その他の首席代表は、気候変動枠組条約第2条に記載された究極の目標を追求し、条約の諸原則と条項に導かれ、2つの特別作業部会の作業結果に留意し、長期協力行動のための特別作業部会(Ad hoc Working Group on Long-term cooperative action)に関する決定x/CP.15[14]および、附属書Iに掲げる締約国の京都議定書のもとでのさらなる約束に関する特別作業部会に作業の続行を求める決定x/CMP.5[15]を承認し、即座に運用される本コペンハーゲン合意に合意した。
脚注
参考文献
関連項目 |