私の世界に徳丹城はない

私の世界に徳丹城はない』(わたしのせかいにとくたんじょうはない)は、綿世景による恋愛小説である。略称は「わたとく」[1]2023年11月28日から翌年2月にかけて、公式ウェブサイトで順次公開開始した。2024年7月からはIBC岩手放送ラジオドラマが放送。2025年2月には舞台化が予定されている。徳丹城は、岩手県紫波郡矢巾町にある国指定史跡である。

登場人物

高校1年生の、写真部に所属する少女。歩空に想いを寄せている。
高校2年生。バスケットボール部のキャプテンで、飾らない性格。
小学校のころからの、紗夏の幼馴染

あらすじ

写真部の紗夏は、上級生の歩空に密かに思いを寄せていた。目立たないように、もめ事を起こさないようにと生きてきた紗夏であったが、体育祭では我を忘れて300枚もの歩空の雄姿を撮りまくってしまう。その体育祭のさなか、バスケ部の部室が荒らされる事件が起きる。写真を通じて解決に協力したことをきっかけに、紗夏と歩空の関係は進展していく。ある日、歩空に呼び出された紗夏は、トラックに轢かれてしまう。翌朝に目を覚ますと傷一つなかったが、見慣れた徳丹城の風景と、歩空の存在が消失していた。しばらくして、澪の知り合いのミステリー研究サークルの男性から、「歩空と再び会うには、都市伝説の『ワタリドリノスバコ』の力を借りる必要がある」と知らされた。紗夏は、歩空を取り戻すため、1200年前の世界へ赴く…[2]

原作

徳丹城は、812年文室綿麻呂により、雫石川の氾濫の被害に遭った志波城[注釈 1]から移転し造営された。1969年城柵の遺構が国の史跡に指定され、史跡公園として整備されたが、隣接する国道4号を通り過ぎられてしまうことも多かった。矢巾町で地域活動を行うNPO法人「やはば協働センター」は、矢巾町在住の小説家綿世景[注釈 2]に若者向けの小説の執筆を依頼した。1200年前のストーリーにすれば徳丹城を舞台にすることができるが、歴史小説では若者向きとは言えなくなってしまう。そこで現代の矢巾を舞台にしつつ、ある日突然徳丹城がなくなってしまうSF要素を取り入れた展開にし、執筆には3か月を要した[3]。主人公が通う高校は不来方高校をモデルにしており[3]矢幅駅前の屋台村「ヤハバル」、国道4号に架かる歩道橋、ひまわり畑など実在の店舗や施設も作中に登場する。

2023年11月28日に公式ウェブサイトで第1部を公開[3]。2023年12月22日、2024年1月24日、同2月26日に、第2~4部がオンライン小説として順次公開を開始した[4]

挿絵は、グミぺろ(北上市在住)、四宮迅(雫石町在住)、不来方高校から選抜された学生、たじ(福岡県北九州市在住)が担当した[1]

ラジオドラマ

2024年7月よりIBC岩手放送アニラジラジオで、キミと大好きなアニメやまんがについて語ってみた。(キミかた)」内の箱番組として、各話5~10分[5]ラジオドラマ全16話が放送された[6]。同局の公式YouTubeチャンネル[7]およびradikoポッドキャスト[8]で全話のアーカイブが公開されている。

以前からIBC岩手放送にはラジオドラマのノウハウがあり、全100話を越える高橋克彦原作のミステリードラマを放送したこともあった[9]。本作の収録は2024年6月4日にIBCのスタジオで行われ、盛岡市出身の佐々木未来伊東みやこ軽米町出身の神久保翔也(アイドルユニット甘党男子所属)をはじめ岩手県出身・在住の声優・俳優や、岩手県立不来方高等学校放送部員、同局のアナウンサーが出演する[5]

2025年2月8日・9日には矢巾町民劇場の第28回公演として、矢巾町文化会館で演劇が上演される[10]。キミかた司会のIBCアナウンサー川島有貴も出演を予定している[11]

脚注

注釈

  1. ^ 徳丹城の約10km北、現在の盛岡市街の南西にあった。
  2. ^ 2019年の第25回星海社FICTIONS新人賞受賞作『遊川夕妃の実験手記 彼女が孔雀の箱に落ちたわけ』でデビュー。

出典

  1. ^ a b 私の世界に徳丹城はない
  2. ^ 私の世界に徳丹城はない 第1章
  3. ^ a b c “矢巾の国史跡・徳丹城跡巡る青春小説…町在住・綿世景さん執筆 特設HPで順次公開 「活性化起爆剤に」”. 読売新聞. (2023年12月6日). オリジナルの2024年8月23日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20240823035524/https://www.yomiuri.co.jp/local/iwate/news/20231205-OYTNT50207/ 2025年1月4日閲覧。 
  4. ^ インフォメーション(私の世界に徳丹城はない公式HP)
  5. ^ a b “矢巾舞台の小説がラジオドラマに 岩手出身の声優ら出演”. 岩手日報. (2024年6月8日). オリジナルの2024年6月11日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20240611204316/https://www.iwate-np.co.jp/article/2024/6/8/164362 2025年1月10日閲覧。 
  6. ^ ラジオドラマ「私の世界に徳丹城はない」の制作始まる 盛岡市出身の声優・佐々木未来さんや原作者の綿世景さんも出演 7月からIBCラジオで放送”. TBS_NEWS_DIG (2024年6月5日). 2024年6月6日時点のオリジナルよりアーカイブ。2025年1月1日閲覧。
  7. ^ ラジオドラマ『私の世界に徳丹城はない』 - YouTubeプレイリスト
  8. ^ 『私の世界に徳丹城はない』(radikoポッドキャスト)
  9. ^ ラジオで、キミと大好きなアニメやまんがについて語ってみた。(IBC岩手放送)
  10. ^ 矢巾町民劇場 第28回公演「私の世界に徳丹城はない」”. 矢巾町文化会館. 2025年1月13日閲覧。
  11. ^ IBC_Kimikataのツイート(1875484513280942242)

外部リンク