硬口蓋癌

硬口蓋癌(こうこうがいがん)とは、口腔癌の一つで、硬口蓋部に発生する腫瘍。日本では発生は少なく[1]日本頭頸部癌学会の2002年の集計で口腔癌全体の3.1%[2]アメリカ合衆国では8.9%と報告されている[3]。他の口腔癌と異なり、腺系腫瘍の割合が高く、扁平上皮癌とほぼ同程度の割合である[1]

疫学

口腔癌#疫学参照。

症状

口蓋部の腫脹が主訴となることが多い[4]。歯肉や軟口蓋に浸潤することが多いほか、口蓋骨を破壊して鼻腔まで浸潤することもある[4]

検査

腫瘍部位の病理検査のほか、原発部位や転移部位の画像診断として、CTMRIPETUS胸部X線、Gaシンチグラフィ、骨シンチグラフィ、上部消化管内視鏡検査、消化管造影検査等が行われる[5]

治療

外科的療法放射線療法化学療法の治療法が、単独または組み合わせで行われる。また、初期のものを除き、外科的療法を選択した場合には再建術が行われる。

このほか、リンパ節転移に対しては、頸部郭清術が行われる。

治療後は、摂食嚥下発語等の機能が低下するため、医師歯科医師言語聴覚士歯科衛生士看護師らにより、リハビリテーションが行われる。術後のの欠損に対しては顎補綴が行われる。

診療科

主に担当する診療科としては口腔外科耳鼻咽喉科があるが、このほか、再建が必要な場合は形成外科が、放射線治療では放射線科が、化学療法では担当診療科(化学療法科など)がかかわる。また、言語聴覚士をはじめとするリハビリテーション部門も関与する。

脚注

出典

  1. ^ a b 浦出雅裕 著「7章 口腔腫瘍 3.癌腫」、編集 松矢篤三白砂兼光監修 宮崎正 編『口腔外科学』(第2版)医歯薬出版東京都文京区、2000年4月15日、287頁。ISBN 4-263-45469-3 
  2. ^ 日本口腔腫瘍学会口腔癌治療ガイドライン作成ワーキンググループ 日本口腔外科学会口腔癌ガイドライン策定委員会 合同委員会 編「第2章疫学 CQ2-2 わが国における口腔癌の好発部位はどこか?」『科学的根拠に基づく口腔癌診療ガイドライン2009年度版』(初版)金原出版、2009年1月30日、23-24頁。ISBN 978-4-307-45009-6http://minds.jcqhc.or.jp/n/med/4/med0082/G0000273/00102011年3月27日閲覧 
  3. ^ SO Krolls, S Hoffman (1976). “Squamous cell carcinoma of the oral soft tissues: a statistical analysis of 14,253 cases by age, sex, and race of patients”. JADA (アメリカ歯科医師会) 92 (3): 571-574. ISSN 0002-8177. 
  4. ^ a b 覚道健治 著「V.顎口腔領域の腫瘍および類似疾患 5.非歯原性悪性腫瘍」、栗田, 賢一覚道, 健治小林, 馨 編『口腔外科の疾患と治療』(初版)永末書店京都市上京区、1998年11月23日、168頁。ISBN 4-8160-1071-8 
  5. ^ 日本口腔腫瘍学会口腔癌治療ガイドライン作成ワーキンググループ 日本口腔外科学会口腔癌ガイドライン策定委員会 合同委員会 編「第3章診断 II.画像診断」『科学的根拠に基づく口腔癌診療ガイドライン2009年度版』(初版)金原出版、2009年1月30日、31-33頁。ISBN 978-4-307-45009-6http://minds.jcqhc.or.jp/n/med/4/med0082/G0000273/00192011年3月27日閲覧 

関連項目