石田亨
石田 亨(いしだ とおる、1953年7月17日 - )は、日本の情報学者。京都大学名誉教授。現在、香港浸会大学客員教授、静岡文化芸術大学理事。京都大学工学博士。父は歴史学者の石田一良。 人物・来歴1976年京都大学工学部情報工学科卒業、1978年同大学院修士課程修了。同年日本電信電話公社電気通信研究所入所。横須賀研究所においてソフトウェア工学、知識処理などの研究開発に従事した。1991年NTTコミュニケーション科学研究所設立に参加した後、1993年7月に京都大学大学院工学研究科情報工学専攻教授に就任した。1998年4月から2019年3月まで京都大学大学院情報学研究科社会情報学専攻教授を務めた[1]。また、2019年4月から2022年8月まで早稲田大学理工学術院教授を務めた[4]。これらの在職中に、ミュンヘン工科大学、パリ第6大学、メリーランド大学、上海交通大学、清華大学、香港浸会大学、新疆大学などの客員教授を務め[5]、香港浸会大学からDistinguished Professor of Scienceの称号を受けた[6]。この間、電子情報通信学会の情報・システムソサイエティ会長(2011年度)[7]、電子情報通信学会副会長(2014-2015年度)[8]、同次期会長(2020年度)、同会長(2021年度)[9]、日本学術会議会員(22-23期、第三部、2011年10月-2017年9月)[10][11]を歴任。情報処理学会、電子情報通信学会、IEEE各フェロー[12][13][14]。電子情報通信学会名誉員[5]。 専門は自律エージェントとマルチエージェントシステム。この分野において1980年代後半から活動を続けており、マルチエージェントと協調計算 (Multi-Agent and Cooperative Computation : MACC)、合同エージェントワークショップ&シンポジウム (Joint Agent Workshops and Symposium : JAWS)、マルチエージェントシステムの原理と実践の国際会議 (International Conference on Principles and Practice of Multi-Agent Systems : PRIMA)、マルチエージェントシステム国際会議 (International Conference on Multi-Agent Systems : ICMAS)、自律エージェントとマルチエージェントシステム国際会議 (International Conference on Autonomous Agents and Multiagent Systems : AAMAS) などの国内会議/国際会議の立ち上げに尽力し、第1回AAMASの共同大会委員長 (General Co-Chair) を務めた[5]。また、自律エージェントとマルチエージェントシステム国際財団 (International Foundation on Autonomous Agent and Multiagent Systems (IFAAMAS)) の理事を務めた[15]。 主導した研究プロジェクトにデジタルシティ京都、異文化コラボレーション実験、言語グリッドなどがある。デジタルシティ京都プロジェクトは1998年に開始し、そのポータルサイトは2001年まで運営され、技術開発はJST CREST「デジタルシティのユニバーサルデザイン」に引き継がれ2005年まで続けられた。異文化コラボレーション実験 (Intercultural Collaboration Experiment : ICE) は、2001年9月11日のアメリカ同時多発テロ事件後の2002年に中国・韓国・マレーシアの大学と連携し、機械翻訳によるオープンソース開発の実験を行った。この時、異文化間コミュニケーション (Intercultural Communication) の工学的応用として、異文化コラボレーション (Intercultural Collaboration) という概念を提唱した。この実験を踏まえて、2006年にインターネット上に多言語サービス基盤を構築する言語グリッドプロジェクトを開始した。言語グリッドは、京都大学大学院情報学研究科社会情報学専攻で運営された後 (2007-2017)、NPO言語グリッドアソシエーションに運営が移管された。2018年9月時点で、24カ国、183組織が参加している[1][5]。 教育面では1998年に京都大学情報学研究科社会情報学専攻の発足に尽力し、2009年に課題解決の方法としてのフィールド情報学を提唱、2013年には情報学研究科、工学研究科建築学専攻、工学研究科機械系専攻群、経営管理大学院、教育学研究科教育科学専攻と連携し、京都大学デザインスクールを発足させるなど[1]情報技術による社会課題解決を目指した。
著作著書
編著
脚注
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